旅の目的は「たったひとつ」で良い
旅の目的は「たったひとつ」が潔いと思いませんか。
あれもこれもと盛りだくさんは、大人には野暮というもの。情報が氾濫している現代だからこそ、余計なものは削ぎ落として、自分の「たったひとつ」を選び取るのが粋。旅の荷物はシンプルに、期待だけを詰めて。
私たちがまだ訪れたことのない、未知の場所や絶景。
笑顔で迎えてくれる、あたたかい地元のひと。
生産地ならではの、新鮮で美味しいもの。
珠玉のように散らばる日本各地の魅力を発信する「ONESTORY (ワンストーリー)」。「ONE=1ヵ所」を求めて日本を旅するメディアから、私たちの「たったひとつ」が見つかりそうです。
初秋の夜更かしを楽しみたい
9月になると、気持ちはまっ直ぐ秋に向かいます。
過ごしやすい気候になると、新しいことに興味が湧くもの。
好奇心の扉を開いてみると、思ったより奥は深くて、
ここでやめようと思ってもキリがなくなります。
秋の夜長は夜更かしが楽しくて。
早く寝てしまうのがもったいなくて。
いっそのこと、夜更かしをするための旅に出てみましょう。
初秋の夜更かしを楽しむ旅へ。
宇宙の秘密基地みたいな名前のホテル
道央の旭川市と道北の稚内市の真ん中にある美深(びふか)町は、1931年(昭和6年)に日本で最低気温のマイナス41.5℃を観測した豪雪・極寒の地。特別豪雪地帯に指定された厳しい気候の土地に、宇宙の秘密基地みたいな名前のホテルがあります。たった3部屋だけのホテル、「青い星通信社」が。
北海道の草原にある石煉瓦の小さなホテル
草原の中に建つ石煉瓦造りのホテルの周りには、釣り愛好家に嬉しい日本で4番目に長い天塩川があり、JR宗谷本線のディーゼル車が汽笛の響きを残して通り過ぎてゆきます。ホテルは南北に並んだ二棟続きの築60年以上の廃屋を、リノベートしたもの。
居心地のいいソファがあるライブラリー
「青い星通信社」は、「草原の書斎」がコンセプトです。風の音を聞きながら読書に耽るのも良し、天塩川で釣りをするのも良し、鉄道マニアのあなたは宗谷本線のディーゼル車を終日眺めていたいかもしれませんね。都会の日常から切り離されたホテルには、600冊ほどの書籍や雑誌が並ぶ素敵なライブラリーがあります。宿泊者はラウンジで挽きたての珈琲を何杯でも自由にいただけますので、石壁に面したカウンターや線路が見える小部屋など、あなたの好きなコーナーでカップを片手に本のページをめくりましょう。書棚には、美深町が舞台のモデルともいわれる「羊をめぐる冒険」など村上春樹氏の小説も並んでいます。
ダイニングにもバーにもなる、ライブラリーラウンジ
ライブラリー・ラウンジは夕食・朝食時にはダイニング、夜はバーとして、ゲストを迎えます。厳寒の地では、暖かい薪ストーブのおもてなしが心地よく感じます。
夕食には、どんなご馳走が出るのでしょうか。
[夕食メニューの一例]
3種のアペタイザー
(奈良漬を合わせた美深産ポテトのサラダ/ミニトマトの白ワインと蜂蜜漬け/豆のピクルス)
道産野菜のグリーンサラダ
オニオンのドレッシング
季節の食材と胡瓜のピクルスのラクレットチーズがけ
自家製フォカッチャ
美深特産エアリアル・ビーフのスネ肉のシチュー
デザート
料理 青い星通信社 より
旅先から手紙を書くための小部屋
ライブラリーラウンジの片隅には、「旅先から手紙を書くための小部屋」が、石壁の中にひっそりと潜んでいます。普段使っている携帯のテキストやメールではなくて、自筆でしたためる手紙。あなたが草原に佇む宿で自分と向かい合った時、手紙を書きたくなる相手は誰でしょうか。
トレインビューの客室
3部屋ある客室の中で、窓から列車が見えるゲストルーム「風笛」。宗谷本線の特急が、日本の最北を目指して走り過ぎてゆくのを眺められます。「風笛」には畳が敷かれた「小上がり」もあり、ゴロゴロ寝転んで読書するのにも最適。
今回のたったひとつは、旅先から想いを伝えたい人がいるあなたのための「TOURIST HOME & LIBRARY 青い星通信社」。私たちが旅へ向かわずにいられないのは、日常で求められない「たったひとつ」に出逢うためなのです。
sara-aoyama ライター
はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。
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