
愛称は、みんなのリビングルーム

フィンランド人は、読書の時間をとても大切にする文化で、各地域によってそれぞれ異なった分野に特化した図書館があります。子供から大人まで実に多くの人が図書館に通い、じっくりと読書を楽しみます。本と図書館は生活の中でなくてはならない存在です。
昨年12月に、独立100周年記念の一大プロジェクトとして、国を挙げて完成させた、ヘルシンキ中央図書館「Oodi(オオディ)」。既にヘルシンキのアイコニック的な存在となり、地元の人のみならず世界中から多くの観光客が訪問する人気の図書館です。そのユニークな建築はもちろんのこと、充実した機器設備やイベントなど、従来の図書館のイメージをガラリと変えてくれる斬新で現代的な図書館です。そして、「新しい図書館で世界一位」に選ばれフィンランド国内でも大きなニュースとなりました。
ヘルシンキ中央駅から徒歩3分の場所にあり、設計は、ヘルシンキの建築事務所ALA Architects(アラ アーキテクツ)。なんともユニークな曲線のラインでどの角度から見ても楽しめる建築も必見です。

3フロアの1階はシアター、イベントスペース、ランチもできるカフェ。

2階はスタジオ、個室のオフィス、ワークスペース、3Dプリンタやミシンなどの機器完備。事前予約をして誰でも利用することが可能です。

3階は本棚がずらりと並ぶほか、イベントスペース、子供&ファミリースペース。バギー置き場はいつも混雑、親子連れでいつも賑わっています。パパ率も高め。緑の木がところどころに置かれ、白と木の空間にぴったりな心地のよいオープンスペースが広がります。

両端が傾斜になっており、子供のみならず誰もが登りたくなる構造。一番端に登ってフロアを見渡すと、広がる眺めがユニークです。

夏の間はテラスもオープンし、並べられた椅子に座り日光浴をしながら皆それぞれの時間を楽しんでいるのが印象的です。

窓には、雪が舞っているような白いドット柄がデザインされています。テラスからは、目の前に国会議事堂、ミュージックセンター、フィンランディアホールやトーロ湾を見渡すことができます。
メッセージが刻まれた遊び心のあるらせん階段

らせん階段の壁に刻まれているメッセージ。読みながら上り下りでき、細部まで遊び心があり工夫されています。
刻まれているメッセージは、「この図書館がどんな人のためのものか?」 一番上から、一部単語をご紹介すると、すべての人へ(=Kaikille)、クレイジーな人へ、寂しい人へ、プリンセスへ、TVでスポーツ観戦するのが好きな人へ、アナキストへ、外国人へ、怠惰な人へ、神道を信仰する人へ、物乞いする人へ、サウナに入る人へ、ユダヤ人へ・・・など。
ジェンダーフリー、男女共用のトイレ

ジェンダーフリーのフィンランドでは、近年新しくできる公共の建物は、男女共用のトイレが主流です。影絵のようなトイレに、カラフルで高さもそれぞれ異なる実験室のような面白いデザインの手洗い場。
オオディは、いたるところに遊び心のあるデザインで、誰もが一日中過ごしたくなる、そしてまた来たいと思う、そんな心地の良い空間です。ここを訪れると、フィンランドの人々の日常生活を少しだけ垣間見ることができ、なぜフィンランドが幸せの国なのか?その秘密が少しは解るかもしれません。
これからも地元の人のみならず世界中の人々から愛されるリビングルームであり続けるでしょう。

[All photos by Yuko Räsänen]
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Yuko Rasanen
2015年よりヘルシンキ在住のライター・コーディネーター。
15歳から7年間高校と大学教育をロンドンで過ごす。2011年夏に訪れたフィンランドの自然とライフスタイルに魅了され、現地企業で仕事を得て、単身移住。
コーディネーターとして企業視察や個人旅行など、フィンランド及びヨーロッパと日本をつなぐコミュニケーション全般に携わる。
ライターとして、フィンランドのライフスタイルや暮らしの様子などを日々発信している。
ヘルシンキの自然が豊かな島にフィンランド人の夫と暮らしている。夏はサマーコテージで過ごし森で摘んだブルーベリーでパイを作り、冬はサウナと凍った湖の上を散歩したりと、自然のなかでの生活を楽しんでいる。
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