バンライフは決して特別なことではない
欧米を起点として広がりをみせるバンライフ。その波をキャッチするかのように、ここ日本でも、バンライフに意識を向け始めた人々がいます。しかし、バンライフという言葉を耳にする前から、じつは私たちの身近にも、ひっそりとバンライフをしている人々がいました。
その例が、サーファーや釣り人、写真家などです。
サーファーに関して言えば、彼らはバンライフを特別に意識せずとも、もうずっと前から車中泊をしながらサーフトリップに繰り出していた、潜在的なバンライファーと言えます。
早朝の波を求めるサーファーは今も昔も変わらず、海辺に停めた車でたびたび夜を明かします。夜明けとともに波と戯れ、陽が沈む頃には、地平線から昇る月を海で眺めることも。
そして、海のコンディションに合わせて各地を旅することで、彼らは人生の一部にバンライフをとり入れてきたのだと思います。
つまり、何が言いたいかというと、バンライフって、特別なことでも珍しいことでもないのです。今まで“そこにあった”けれど、人々が意識を向けられる機会がなかった事柄。少なくとも、筆者はそう考えます。
とは言え、さすがに長期にわたるバンライフは、休日を楽しむバンライフよりも、ハードルが高いのは事実。実際、筆者の知る人で、バンライフ歴が数十年にもおよぶバンライファーがいますが(現在も記録更新中!)、これに関してはごめんなさい、「珍しいこと」の類に入るでしょう・・・。
日本はバンライフがしやすい?
さて、ブーム以前から日本にもバンライファーが存在していたわけですが、それは、“バンライフがしやすい”という日本の環境(状況)もあいまってのこと。
まず、全国各地に道の駅などの施設があるため、僻地にさえ行かなければ、バンライフにおける食事やトイレの心配はありません。最近では、しっかりと整備されたオートキャンプ場(温泉付きのところも!)も増え、さらに快適なバンライフの旅ができるようになりました。
また、筆者の経験になりますが、海岸の駐車場に一晩停泊をしたとしても、お巡りさんに職業質問はされど、強制的に移動を迫れることは稀です(道の駅が存在しなかった頃、金欠サーファーはこの車中泊パターンが定番)。
しかし海外では、場所によってはそれが許されません。規定によって、公園や海岸をはじめ、駐車場などでの野宿(キャンプ、車中泊含む)が禁止されている国もあります。
海外のバンライフ事情
例えば、オーストラリア。ここでは、海岸や公園などの公共の場(駐車場含む)で車中泊はできません。キャンプ場以外での野宿は基本的に禁止されています。観光地などの人が多いエリアでは、監視員が目を光らせており、野宿をしないように人々に注意を促します。
ニュージーランドでも、指定された場所以外での車中泊は禁止です。それを厳しく取り締まっているエリアもあります。
<ニュージーランドのPiha beach。海岸の駐車場にオートキャンプ場が隣接しており、サーファーたちはそこで夜を明かした(10年前当時)。>
ですが、そんなことはつゆも知らず、(不運にも監視員不在で注意も受けられず!)禁止エリアで一晩を明かすとどうなるか・・・?
オーストラリアで実際にそれを経験した人によると、『翌朝、“罰金◯ドル”と書かれたラブレターが車に添えられていた(笑)』と言います。
バンライフを気持ちよくおこなうコツ
このように、国によっては車中泊についての厳格なルールがあり、それが、公共の場を皆が気持ちよく利用できるように機能していることも理解できます。
しかし、明確なルールがあってもなくても、周囲との調和はバンライフには欠かせません。そのために、ルール以前のこととして、“思いやり”という心もバンに積み込んで旅を続けられるといいな、と筆者は思うのです。
もちろん、自分では気づかず、誰かに理不尽な想いをさせてしまうこともあるかもしれません。その時は、自分を見直せばよいのです。
バンライフを気持ちよく行うコツは、あなたの心ひとつ。その胸のなかに、答えがあるはずです。
All Photo by YONEVANLIFE
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