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さようなら、5つ目の季節
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なんとドイツには、春夏秋冬に加えて、5番目の季節があるんです。その名は「ファストナハト(Fastnacht)」、別名「ファシング(Fasching)」や「カーニバル(Karneval)」と、地方によって沢山の呼び方があります。一般的にはカーニバルという名前のほうがピンときますよね、リオのカーニバル、ヴェネツィアのカーニバルとか。
この5つ目の季節は11月11日の11時11分に始まり、翌年の「灰かぶりの水曜日(Aschermittwoch)」に終わりを告げます。
最高に盛り上がるのは最後の一週間
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この5番目の季節を大雑把に言うのであれば復活祭への準備期間といえるでしょうか。その最後を飾るのが「ヴァイバーファストナハト(Weiberfastnacht)」という「灰かぶりの水曜日」の前の週の木曜日から始まり、「灰かぶりの水曜日」で終わる一週間です。
この一週間はどんちゃん騒ぎで盛り上がりますが、翌日からは復活祭へ向けて40日間の「ファステンツァイト(Fastenzeit)」という禁欲期間が始まります。この盛り上がり、ドイツではケルンのカーニバルが有名ですが、デュセルドルフ、マインツ、ミュンヘンや他都市でも盛大に行われます。
ファストナハトの日程
普段味わえないドイツを楽しむことができるカーニバルを見逃す手はありません。では、どのような日程でカーニバルが行われるのか、渡独の参考として、ここで紹介したいと思います。なお、これから紹介する日にちの名前は地方によってかなり違います。
2020年2月20日(木):ヴァイバーファストナハト(Weiberfastnacht)
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ヴァイバーというのは女性達という意味で、この日は女性が主導権を握ります。この慣習は、19世紀の半ばにボン近郊から始まったそうです。なんでも“男性陣がこの時期飲み歩いているのに、女性は家にいなければいけない”という風習に堪忍袋の緒がきれた女性たちが集まって、男どもに負けじとカーニバルを楽しみ、次第に男性陣を圧倒したんだとか。
この風潮が次第に広まり、各地でヴァイバーファストナハトとして定着したんですね。デュッセルドルフでは、女性たちが市長を拘束し、行政を乗っ取るそうですよ。
さらに、この日は女性はネクタイをちょんぎることができると言われていて、その後にはほっぺにキスしてくれるそうです。この時期にビジネスでドイツへ来られる方は注意してくださいね。
HP: https://www.duesseldorf-tourismus.de/erleben/veranstaltungen/karneval
2020年2月24日(月):ローゼン月曜日(Rosenmontag)
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この日、ケルン、デュッセルドルフを中心とした地方ではパレードが催され、ファシングは最高潮を迎えます。ケルンではパレードの参加者はダンスグループ、音楽隊、仮装行列やおみこしなど、なんと1万2千人が3時間、全長7キロものパレードを行います。
その間、300トンのお菓子、100万枚のチョコレートやプラリーネ、30万本の花束がばらまかれるというのだからすごいですね。
HP: https://www.cologne.de/events/cologne-carnival
2020年2月26日(水):灰かぶりの水曜日(Aschenmittwoch)
禁欲の40日間 がこの日から始まります。つまりカーニバルはこの日で終わり。昔、この日に懺悔者に灰を振りかけたことからはいかぶりの水曜日という名前がついたそうです。
HP: https://www.muenchen.de/veranstaltungen/fasching.html
ファストナハトの楽しみ方【1】:ベルリーナー、クラプフェン
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この時期食べられるのが揚げたパンの中にジャムなどの入った食べ物。地方によって名前は異なります。ミュンヘンではクラプフェン、ベルリンではプファンクーヒェン、ケルンではベルリーナー。
何故ベルリンではベルリーナーと呼ばれないのかは、ドイツではウィンナーソーセージと呼ばれるものがオーストリアではフランクフルトソーセージと呼ばれる原理と同じですね。
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基本は揚げパンの中にジャムが入っていてパウダーシュガーがかけられているもの。
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しかし、最近では色々な創作物が登場し華やか。こちらはハンバーガーみたいになっているチョコクリームクラプフェン。
(C)川合英介
ファストナハトの楽しみ方【2】:仮装
ファストナハトでは老若男女、仮装して街に繰り出します。どの国から来たのか、旅行者か定住者かなどは関係ないです。ただ眺めているだけではなくみなさんも仮装して街に繰り出し、らんちき騒ぎを楽しみましょう。さて仮装すると言われても、何をどうすればいいのやら、という人もご心配なく。適当に街の百貨店に入ってみてください。
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そこにはほぼ100パーセント、仮装の衣装や道具が販売されています。一番簡単で帰国の際の荷物にならないのは鼻ボールとフェイスペイントでしょうか。さらに上を目指すのであればコスチューム。
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購入しても持ち帰り、帰国してパーティーなどで着て友人を驚かしたり、カーニバルでの仮装について話のネタにもなるので一石二鳥ですね。
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5番目の季節の終わりには、勤勉で生真面目だといわれるドイツの、普段は見られないような側面をみることができます。ビールを片手に、または最近は評価の高いドイツワインを飲みながら、狂騒の一週間を楽しんでください!