McDonaldsの「Mc」って何!?身近な英語の意外な意味3つ

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Mar 7th, 2020

気が付けば身の回りには、英語の表記(カタカナ英語)がたくさんありますよね。何気なく意味を理解して、何気なく使っている言葉もたくさんあるはずですが、意外にその意味や語源を聞かれたら、困ってしまう言葉も少なくないはずです。今回は身近な英語の意外な意味や成り立ちをまとめてみました。

McDonaldsの「Mc」って何?


最初はマクドナルドの「マク」。この「マク」とはどういう意味なのでしょうか。正式にはMcDonald’sと書きます。なんとなく「マック」だとか「マクド」だとか言っているだけで、つづりにはそれほど強く意識が向いていないと思いますが、この「Mc」とは何なのか、言われてみると分からないですよね。

『ジーニアス英和辞典』(大修館書店)を調べると、「Mac-」「Mc-」「M’-」で意味が掲載されていて、

<son ofの意味を持ち、スコットランド系・アイルランド系の姓に付けられる>(『ジーニアス英和辞典』より引用)

とあります。要するに、「○○さんの息子」という意味だったのですね。その知識を持った上でMcDonald’sの正式な表記を見ると、「ドナルドさんの息子の」という意味になると分かります。ドナルドさんの息子のハンバーガー屋さん。そのハンバーガー屋さんが今では世界中に展開する一大チェーン店に成長したのですね。

米ドルの記号「$」は何から来ている?


海外旅行に出かける際、円を外貨に交換すると思います。アメリカに行けばアメリカドル、カナダに行けばカナダドル、オーストラリアに行けばオーストラリアドル、ニュージーランドに行けばニュージーランドドルに交換します。このドルを表す記号「$」、アルファベットのSに縦線が入っていますが、どういった意味なのでしょうか。

何気なく「アルファベットのSに」などと書きましたが、佐久間治著『英語の語源のはなし』(研究者出版)を読むと、実は「S」は何にも関係ないのだとか。

大航海時代に、海外で広く流通した通貨はスペインのお金。その通貨単位はレアルです。レアルの中でも世界中に特に流通していた銀貨が8レアルで、その表面には「8R」と彫刻されていたそう。この「8」と「R」をくっつけた記号が「$」だと言われているのだとか。

8Rは1ペソで、1ペソが1ドルだったため、1ドルを$1と表記するようになったみたいです。ペソとは、

<(1)古いスペインの金貨・銀貨(2)現在、中南米などで用いる貨幣単位>(『広辞苑』(岩波書店)より引用)

とあるように、スペインと歴史の深い国々で使われている通貨です。当のスペインは現在、ユーロを使っていますが、アジアのフィリピンなども含めて、スペインの植民地だった時代を持つ国々には、広く流通している通貨単位です。

その通貨単位で言えば、1ペソは実は1ドルと同じく、$1と表記します。例えばメキシコで流通する1ペソの硬貨には、「$1」と刻まれています。「$」は「ドル」とは限らないのですね。

トランプのJackって誰?


最後はトランプのカードについて。トランプにはキング、クイーン、ジャックのカードがあります。キングは王様、クイーンは女王様。ここまでは簡単に分かるのですが、このジャックとは一体、誰なのでしょうか。

Jackと言われると、筆者の場合はレオナルド・ディカプリオが演じた映画『タイタニック』の主人公、ジャック・ドーソンを思い浮かべます。アメリカのウィスコンシン州で生まれ、ポーカーの勝負でタイタニックのチケットを手に入れ、乗船した無名の絵描きですね。

このJackを英英辞典『Macmillan English Dictionary』で調べると、「たいしたことない」「なんでもない」といった感じの意味も見つかります。Jackとはどこにでもある名前、どこにでも居る男といった雰囲気で、日本語で言えば「山田太郎」の「太郎」といった感じ。さらに言ってしまえば、「太郎=男の子」と同じように、「男子全体」を意味するとも言えます。

実際に国際トランプ連盟によれば、

<The word jack also had ‘a common man’ as one of its meanings.>(International Playing-Card Societyのホームページより引用)

とあります。日本語に訳すと、「ジャックという言葉には、『一般の男』という意味も、その中の1つに含まれる」となります。一般の男とは、城を守る大事な兵士でもあります。つまり、キングが王様、クイーンが女王、ジャックが衛兵の代表といった感じなのですね。

もともと英国では、キング、クイーン、ネイブ(knave)というカードが普及していたそう。しかし、「K」「Q」「Kn」という表記が見づらいという理由から、さらにはknaveという言葉自体が古びていった背景も手伝って、Jackが定着したと考えらえるみたいですね。ちなみに「knave」の意味は、「悪漢、ごろつき」といった意味になります。併せて、覚えておいてくださいね。

[参考]
Why are Jacks called Jacks? – International Playing-Card Society

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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