人気の5人の浮世絵師の作品が集結「大浮世絵展」
日本だけでなく、海外からも注目を集める浮世絵師5人にフォーカスした特別展「大浮世絵展」。「喜多川歌麿」「東洲斎写楽」「葛飾北斎」「歌川広重」「歌川国芳」といったスター絵師たちが手掛けた浮世絵の傑作が、国内や欧米の美術館や博物館、個人コレクションから特別に集められました。
今回フィーチャーされる、5名の浮世絵師たち
個々の表情を見事に表現した美人画【喜多川歌麿】
(C)The Metropolitan Museum of Art / Image source:Art Resource, NY
[婦女人相十品 ポペンを吹く娘(大判錦絵、1792-3(寛政4-5)年)メトロポリタン美術館蔵]
1782年頃から美人画絵師として活躍した「喜多川歌麿」。女性一人一人の個性や感情を、繊細に描く作風が高く評価されています。ガラスの玩具で遊ぶ娘を描いた「婦女人相十品 ポペンを吹く娘」は、無邪気な若い娘の一瞬の表情を捉えた作品。楽しそうな女性の感情が、見事に描かれています。
謎の多い絵師、役者絵を残した【東洲斎写楽】
(C)The Art Institute of Chicago / Image source:Art Resource, NY
[3代目大谷鬼次の江戸兵衛(大判錦絵、1794(寛政6)年)シカゴ美術館蔵]
存在の詳細が判明しておらず、いろいろな説が伝わる「東洲斎写楽」は、奇抜な役者絵で有名な絵師。一年という短い期間で有名になったものの、突然制作をやめてしまった謎の多い人物です。悪になりきる役者の姿を描いた「3代目大谷鬼次の江戸兵衛」は、役者の真の姿を描き出すようなあまりの迫力に、浮世絵界に衝撃を与えたと言われています。
世界的に有名なリアルな波の描写【葛飾北斎】
(C)Minneapolis Institute of Art
[冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏(横大判錦絵、江戸時代/1831-33(天保2-4)年)ミネアポリス美術館蔵]
有名な「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」という作品を残した「葛飾北斎」。大胆かつ精密に描写されたリアルな大波と富士山が描かれたこの浮世絵は、世界的にも有名な作品です。役者絵や美人画を描いた後、さまざまな画風を学び、長い生涯を通じて多くの版本挿絵を制作。70代前半には、挿絵の経験や洋風画の学習をもとにした風景画を描いています。
親しみやすい叙情的な画風【歌川広重】
[名所江戸百景 亀戸梅屋舗(大判錦絵、江戸時代/1857(安政4)年)東京都江戸東京博物館蔵]
温和な画風で各地の風景を叙情的に描く「歌川広重」。北斎とは全く違う画風で人気を得ていたのだそうです。親しみやすく愛らしい図様と情緒的な画風が特徴の花鳥版画もまた、気持ちを和ませるような優しいタッチで描かれています。
驚きのアイディアやユーモアセンスが光る【歌川国芳】
[宮本武蔵の鯨退治(大判錦絵3枚続、江戸時代/1847(弘化4)年)]
斬新な発想と奇抜な画風で、幕末の浮世絵界に新風を吹き込んだといわれる「歌川国芳」。大きなクジラの背の上に小さな武蔵が乗った「宮本武蔵の鯨退治」は、大判を3枚つなげるという、国芳ならではの驚きの工夫で制作された作品です。
動物を擬人化したり、影絵を利用するなど斬新なアイディアを劇画に取り入れたことでも知られる国芳。東海道五十三次の宿場が猫の姿で描かれた「其まゝ地口猫飼好五十三疋」は、一匹一匹の可愛らしい猫の仕草にだじゃれが取り入れられ、彼のユーモアのセンスを物語るような作品となっています。
[其まゝ地口猫飼好五十三疋(大判錦絵3枚続、江戸時代/1848(嘉永元)年)]
今回の大浮世絵展は、国際浮世絵学会監修により、作品の保存状態の優れた作品が集められました。鮮やかな色合いの作品がそろっているそうですよ。
【大浮世絵展】
会期:2020年4月3日(金)~5月31日(日)※会期中に展示作品の入れ替えがあります。
開催時間:10:00~18:00(金曜日は20:00まで)
会場:愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)
所在地:名古屋市東区東桜1-13-2
お問合せ: ハローダイヤル050-5542-8600(全日/8:00~22:00)
主催:愛知県美術館、国際浮世絵学会、読売新聞社、中京テレビ放送
協賛:光村印刷
休館日:毎週月曜日(5月4日開館)、5月7日(木)
観覧料:一般1,400(1,200)円、高校・大学生1,100(900)円、中学生以下無料
※ ( )内は前売りおよび20名以上の団体料金。
※ 上記料金で同時開催のコレクション展もご覧になれます。
※ 「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」のいずれかをお持ちの方、また、その手帳に「1種」または「1級」と記載のある方に付き添われる方は1名まで当日料金半額。
公式サイト:https://dai-ukiyoe.jp/
公式Twitter
【新型コロナウイルス感染予防の対策について】
愛知県美術館での「大浮世絵展」に関連して開催を予定していた、記念講演会やスライドトークはすべて中止となっています。新型コロナウイルス感染予防対策として、スタッフの健康管理や、館内の定期的な消毒、空気環境の維持を実施しながら開館しています。さらに、来場に関する注意もありますので、詳細は愛知県美術館の公式サイトをご確認ください。
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