
自転車は歩道ではなく、車道を走る

フランスでは、自転車は歩道ではなく車道を走ります。現在パリでは車規制が進められていて、交通手段のひとつとして自転車が推奨されています。自転車専用レーンも年々増え続け、自転車でパリを移動しやすくなったように感じられます。
しかし、全ての道に自転車専用レーンがあるわけではないので、車がビュンビュン走る横を通行しなければならないことがしばしば。フランスは自動車の走行速度も速いので、自転車に乗る時はハラハラの連続。日本人の筆者にとっては、ちょっとした恐怖でもあるのです・・・。実際、フランスでは、自転車と自動車の接触事故も増えていると問題になっているほどなのです。
フランスは日本に比べて自転車人口が圧倒的に少ない
自転車ブームのフランスですが、それでも自転車人口は日本に比べ、圧倒的に少ないことが特徴的です。日本では買い物や子どもの送り迎え等で自転車が必要で、ママチャリという言葉があるほど、多くのお母さんにとって自転車は必需品のひとつ。
一方、フランスでは日本のママチャリのように、カゴ付き自転車や子どもを乗せて自転車を使う人を見ることは、かなり珍しいことなのです。フランスは圧倒的な車社会。習い事など子どもの送迎や買い物には、車を使うことが多いのです。
路上駐輪はあまりない

日本では駅前などでの路上駐輪が問題となっていますが、フランスでは路上駐輪をする人はほとんどいません。筆者の住む郊外の街の駅に無料の自転車置き場がありますが、日本のように満車になることさえもありません。その理由は先ほどお話したように、そもそも自転車人口が日本に比べて少ないのと、路上駐輪をすると自転車が盗難にあうリスクがかなり高いからです。
いくら頑丈な盗難防止装置をつけていても、サドルやタイヤだけが盗むまれるなんていう悲惨な光景に出くわすことも・・・。ですので、自転車で駅まで行く人は、自転車ごと電車に乗る人も少なくありません。実際に、自転車を乗せてもよい車両がフランスにはあるほどです。
あえて、シェア自転車を選ぶ人も

パリで自転車通勤をしたくても、盗難はこりごりという人は、「Velib’(ヴェリブ)」という自転車のシェアサービスを利用しています。月額1,000円以下で利用することできて、パリの至る所にVelib’の駐輪場があるので、メトロに乗るよりも、Velib’を使う方がお得!となっています。Velib’がパリでサービスを始めた当初は、返却したい場所に空きがないなど問題がありましたが、現在は、移動のための延長時間がもらえるなど、サービスの改善もあり、定期的に利用する人が増えてきているようです。
パリでは折りたたみ自転車が人気
また、現在パリでは、折りたたみ自転車が人気となっています。盗難が多いフランスで、折りたたみ自転車は折りたたんでオフィスに置いておけるから安心。また、ラッシュ時においても、普通の自転車に比べてコンパクトなので、ほかの人の迷惑になることもありません。このご時世、折りたたみ自転車はますます人気となる予感です。
自転車はスポーツ

パリでは自転車通勤がブームですが、フランスでは、自転車に乗ることは日常生活のためというよりも、スポーツの一環として考えられています。日本でも、自転車は有酸素運動になると話題にもなっていますよね。フランスでは、マウンテンバイクやロードバイクが人気となっています。「ツール・ド・フランス」みたいに、夏になると山道をロードバイクで走る人や、週末は自然の多い田舎道をサイクリングする人など、自転車はスポーツや趣味の一環として楽しむ人が多くいるのです。

パリではで近年、車の排気ガスを減らすための環境政策の一環として、自転車を推奨しており、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、日本円でおよそ350億円を投じて自転車専用レーンを設置する計画まで打ち出すなど、積極的に自転車利用政策が進められています。「自転車に乗って毎朝通勤すると、いい運動になって、健康効果がある!」という意見が出てくるほど、自転車通勤の魅力に楽しさに目覚めた人も多く、これからもパリの自転車ブームはますます加速しそうです。
■参照
コロナ後の移動は自転車で 仏政府、利用促進へ修理費補助-毎日新聞
フランス 外出制限大幅緩和へ 自転車利用を呼びかけ|NHKニュース
[All photos by Shutterstock.com]
Nanako Kitagawa ライター
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。
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