【手話で考える世界の国名クイズ】あなたはいくつ答えられますか?

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Oct 24th, 2020

なかなか海外旅行に出られない2020年。そんな今こそ、ちょっと立ち止まって、例えば手話で世界の国名をどのように表現するか考えてみませんか? 今回は数ある国名の中から、日本の渡航先として人気の国々を、手話でどのように表現するのかまとめてみました。

「ビヨーん」とした国土は?

日本を意味する手話 最初の問題はウォーミングアップ。問題のイラストは筆者が書いているので、クオリティの低さはご容赦ください。

手話の動きとしては、親指と人差し指で何かをつまむような手の形をつくり、その手を両方、胸の前に持ってきて、「ビヨーん」とチューインガムを引っ張るような動作をします。左右に引いた指は最後につまみます。

この手話は、どこの国を意味するのでしょうか? ヒントは、指の形が国土を表しています。左右に長細い国土を持つ国。どこでしょうか。

答えは「にほん」、もしくは「にっぽん」です。確かにそう言われて考えてみると、この手の動きで日本列島を表現できますよね。

ちなみにこの表現は、日本の手話の話です。筆者もこの記事を書くまで知らなかったのですが、手話は世界共通ではない様子。言い方を変えれば、全世界で手話は異なっているのですね。

例えばタイでは、手の5本の指先をすぼめて、「どうも、すみません」といった感じでおでこに当てると「日本」を意味し、アメリカの一部地域では、右手の小指で目じりを跳ね上げると「日本」を意味するとの話です。

後者の由来は「J」の頭文字を表現しているといいますが、ちょっと違う意味も含まれているかもしれませんね。

アイドルの決めポーズ?

アメリカを意味する手話

上のイラストを言葉で説明すると、顔の前(体の前)で開いた手のひらを内から外に横切らせながら、指先をイルカの尻尾みたいに軽くバタバタと動かします。

今回のクイズをつくるにあたって、『NHK手話CG』を基にイラストを作成しています。その情報源には、手話の由来が書かれていないのですが、ほかの情報源を調べてみるとこの手話は、ある国の国旗が風に揺れている様子をイメージしているとの話です。

国旗に横線(条、筋道)が描かれている国とはどこでしょうか? もちろんいくつもありますが、この場合は星条旗。星条旗と言えば、星と線(条)、アメリカ合衆国ですね。

アメリカ国旗

野球のサイン?

中国を意味する手話

『NHK手話CG』によれば、野球のピッチャーがキャッチャーにマウンドからサインを送るように、人差し指と親指で何かをつまむようにした手を、左肩、右肩、右足の付け根と直線に動かすと、ある国を表す手話になるのだとか。

一体、どこの国を意味するのでしょうか?ヒントは日本と極めて深い関係がある国。日本からもたくさん人が旅行に出て、この国からも日本にたくさんの旅行者が来ています。

手話の由来としては、この国の伝統的な衣装の形を表現しています。

中国服

答えは中国。この手の動きは、チャイナドレスの前身ごろの形を表現しているのですね。

ちなみに同じ中国でも、日本の中国地方の「中国」は、また表現が異なります。こちらの場合は、右手の親指と人差し指で円をつくり、その円を貫くように、左手の人差し指を立て、くし刺しにします。

ちょっと試してみてください。左右の手で「中」の字ができあがったはずです。

その次に、冒頭で学んだ日本の列島を表現する「ビヨーん」を付けます。その組み合わせで、日本の「中」、日本の中国地方と表現できるのですね。

伊達政宗のかぶと?

フランスを意味する手話

最後は旅行メディアのTABIZINEらしく、世界最大の観光大国の1つを、どのように手話で表現するのかクイズにします。

右手で「拳銃」をつくり、その指先でナイキ社のロゴを描くように、額の中央から外側に向かって手を動かします。顔から離したタイミングで、人差し指と親指を閉じ、ロゴの跳ね上がりの部分をつまむような仕草をします。見方を変えれば、伊達政宗のかぶとに装着された三日月を描くような動きですよね。この動作を胸の前で行っても、同じ国が表現できるとの話。

さらに別の表現として、右手の親指を立てて(サムアップして)、その指で自分の右肩を指差し、その手を下におろす動作でも、この国が表せるのだとか。

最後の動作については、この国の歴史上の人物がマスケット銃(肩にあてて構え、先込め式で弾を入れる銃)を好んだため、マスケット銃を肩に掛ける動作=ヨーロッパの某国と表現されるようになったといいます。

ナポレオン像

(C) byvalet / Shutterstock.com

歴史上の人物は、ナポレオン。この時点で答えがわかりましたね。世界の観光大国、フランスです。

以上、世界の国名を日本の手話でどのような表現をするのか、幾つか代表的な話をまとめてみました。気になる国があれば、その国の名前を日本の手話でどのように表現するか、確かめてみても面白いはずです。

さらに突っ込んで言えば、気になる外国の手話で、「日本」をどう表現するのか、併せて調べてみると面白いはずですよ。きっといつか、役立つ瞬間が訪れるはずです。

[参考]
国名手話ガイドブック – 全日本ろうあ連盟
NHK手話CG – NHK
手話ちゃんねる – YouTube
[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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