「ビヨーん」とした国土は?
最初の問題はウォーミングアップ。問題のイラストは筆者が書いているので、クオリティの低さはご容赦ください。
手話の動きとしては、親指と人差し指で何かをつまむような手の形をつくり、その手を両方、胸の前に持ってきて、「ビヨーん」とチューインガムを引っ張るような動作をします。左右に引いた指は最後につまみます。
この手話は、どこの国を意味するのでしょうか? ヒントは、指の形が国土を表しています。左右に長細い国土を持つ国。どこでしょうか。
答えは「にほん」、もしくは「にっぽん」です。確かにそう言われて考えてみると、この手の動きで日本列島を表現できますよね。
ちなみにこの表現は、日本の手話の話です。筆者もこの記事を書くまで知らなかったのですが、手話は世界共通ではない様子。言い方を変えれば、全世界で手話は異なっているのですね。
例えばタイでは、手の5本の指先をすぼめて、「どうも、すみません」といった感じでおでこに当てると「日本」を意味し、アメリカの一部地域では、右手の小指で目じりを跳ね上げると「日本」を意味するとの話です。
後者の由来は「J」の頭文字を表現しているといいますが、ちょっと違う意味も含まれているかもしれませんね。
アイドルの決めポーズ?
上のイラストを言葉で説明すると、顔の前(体の前)で開いた手のひらを内から外に横切らせながら、指先をイルカの尻尾みたいに軽くバタバタと動かします。
今回のクイズをつくるにあたって、『NHK手話CG』を基にイラストを作成しています。その情報源には、手話の由来が書かれていないのですが、ほかの情報源を調べてみるとこの手話は、ある国の国旗が風に揺れている様子をイメージしているとの話です。
国旗に横線(条、筋道)が描かれている国とはどこでしょうか? もちろんいくつもありますが、この場合は星条旗。星条旗と言えば、星と線(条)、アメリカ合衆国ですね。
野球のサイン?
『NHK手話CG』によれば、野球のピッチャーがキャッチャーにマウンドからサインを送るように、人差し指と親指で何かをつまむようにした手を、左肩、右肩、右足の付け根と直線に動かすと、ある国を表す手話になるのだとか。
一体、どこの国を意味するのでしょうか?ヒントは日本と極めて深い関係がある国。日本からもたくさん人が旅行に出て、この国からも日本にたくさんの旅行者が来ています。
手話の由来としては、この国の伝統的な衣装の形を表現しています。
答えは中国。この手の動きは、チャイナドレスの前身ごろの形を表現しているのですね。
ちなみに同じ中国でも、日本の中国地方の「中国」は、また表現が異なります。こちらの場合は、右手の親指と人差し指で円をつくり、その円を貫くように、左手の人差し指を立て、くし刺しにします。
ちょっと試してみてください。左右の手で「中」の字ができあがったはずです。
その次に、冒頭で学んだ日本の列島を表現する「ビヨーん」を付けます。その組み合わせで、日本の「中」、日本の中国地方と表現できるのですね。
伊達政宗のかぶと?
最後は旅行メディアのTABIZINEらしく、世界最大の観光大国の1つを、どのように手話で表現するのかクイズにします。
右手で「拳銃」をつくり、その指先でナイキ社のロゴを描くように、額の中央から外側に向かって手を動かします。顔から離したタイミングで、人差し指と親指を閉じ、ロゴの跳ね上がりの部分をつまむような仕草をします。見方を変えれば、伊達政宗のかぶとに装着された三日月を描くような動きですよね。この動作を胸の前で行っても、同じ国が表現できるとの話。
さらに別の表現として、右手の親指を立てて(サムアップして)、その指で自分の右肩を指差し、その手を下におろす動作でも、この国が表せるのだとか。
最後の動作については、この国の歴史上の人物がマスケット銃(肩にあてて構え、先込め式で弾を入れる銃)を好んだため、マスケット銃を肩に掛ける動作=ヨーロッパの某国と表現されるようになったといいます。
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歴史上の人物は、ナポレオン。この時点で答えがわかりましたね。世界の観光大国、フランスです。
以上、世界の国名を日本の手話でどのような表現をするのか、幾つか代表的な話をまとめてみました。気になる国があれば、その国の名前を日本の手話でどのように表現するか、確かめてみても面白いはずです。
さらに突っ込んで言えば、気になる外国の手話で、「日本」をどう表現するのか、併せて調べてみると面白いはずですよ。きっといつか、役立つ瞬間が訪れるはずです。
[参考]
※ 国名手話ガイドブック – 全日本ろうあ連盟
※ NHK手話CG – NHK
※ 手話ちゃんねる – YouTube
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