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大自然の中で自由にキャンプを楽しむなら?ニュージーランドで人気の「フリーダムキャンプ」の魅力

Posted by: 坂本正敬
掲載日: Jan 26th, 2021.

最近、日本では「ソロキャン」(ソロキャンプ)だとか、「冬キャン」(冬キャンプ)だとか、キャンプ関連の話題を耳にする機会が多いです。一方で海外に目を向けると、10年前くらいからニュージーランドでは「フリキャン」(フリーダムキャンプ)という言葉が生まれ、今では社会問題になるまで認知されているみたいです。もしかすると日本でも広まるかもしれません。そこで今回は、ニュージーランドのフリーダムキャンプを紹介します。

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キャンピングカー


国土の広さに対して人口が圧倒的に少ない

ニュージーランドのキャンピングカー

ニュージーランドと言われたら、どのようなイメージを思い浮かべますか?オールブラックスのラグビーチーム、キウイフルーツ、羊などを思い浮かべる人も少なくないはずですが、手つかずの自然が残る美しい風景を思い浮かべる人もいるでしょう。

映画『ロード・オブ・ザ・リング』のロケ地にもなったように、その想像は正解で、オークラインドやクライストチャーチのような都市から一歩離れると、たちどころにニュージーランドは大自然が目の前に展開します。

しかも、注目は国土の広さに対する人口の少なさです。ニュージーランドの人口と言われると、どの程度を想像しますか?2,000万人とか、そのくらいでしょうか?

日本の外務省によれば、2019年12月時点で、なんとわずかに504万人。東京都民や神奈川県民の半分近く、規模で言えば、北海道民や福岡県民の数と同じくらいです。

にもかかわらず、ニュージーランドの国土の大きさは、日本より狭いと言っても4分の3程度です。見方によっては、それほど変わりがありません。人口が圧倒的に少ない割に国土は広い、だからこそニュージーランドには手つかずの自然が残ってるのですね。

その美しい自然を巡りながら、好きな場所に寝泊まりして旅行を楽しむスタイルが、まさにフリーダムキャンプになります。

国土の至る所でキャンピングカーによる車中泊が可能

ニュージーランド・キャラバンパーク

(C)Kritsana Laroque / Shutterstock.com

フリーダムキャンプは、2011年にニュージーランドでラグビーワールドカップが開催されるにあたり、スタートした試みになります。

2011年8月29日に「Freedom Camping Act 2011」という法律がつくられ、細かいルールが定められました「Freedom Camping」が禁じられた場所以外であれば、基本的には国土のどこで自由に寝泊まりしてもいいという決まりです。

例えば日本の場合、キャンピングカーで寝泊まりできる場所は、ある程度決まっています。オートキャンプ場が代表的な場所で、次に日本RV協会が設置を進めるRVパークに指定された道の駅などが候補になります。しかし、それ以外の場所は原則として車中泊が認められていません。

その点、ニュージーランドでは、「Self Contained」(必要なものが全てそろっている)と認定された、トイレと汚物タンク装備済みのキャンピングカーであれば、一部の禁止エリアを除いて、国土の至る所で車中泊が認められているのです。

まさに、気ままに国土を走り、思い付いた場所に車を止めて、キャンプを楽しむ、フリーダムキャンプの言葉そのままの時間が過ごせるのです。

トイレと汚物タンク付きの車でないと罰金も

ニュージーランド・グレイマウス

(C)Uwe Aranas / Shutterstock.com

ニュージーランドでは自由なキャンピングカーの旅ができると知られるようになり、外国人観光客でフリーダムキャンプを楽しむ人も増えてきました。

ニュージーランドのIVS(国際訪問者調査)によれば、2013年に外国人旅行者でフリーダムキャンプを楽しんだ人の数は5万4,000人でした。しかし、2018年には12万3,000人にまで増えています。その内訳は、お隣の国、オーストラリア人をはじめ、ドイツ人、イギリス人、アメリカ人が多く、中国人、日本人も含まれています。

ただ、このように国際的な広がりが生まれると、トラブルも当然生まれます。例えば、食器を湖の水で洗う人が出てきたり、繁みで用を足す人が出てきたり・・・。

その背景には、「Self Contained」の車両レンタル料が高くなるため、トイレがないような車を安くレンタルして、旅をする人が増えたという事情もあるのだとか。

ルール違反の行動は社会問題化し、2018年には国内の市長が集まって、観光省で大臣と会議が開かれるほどになりました。

ちなみにニュージーランドの知人に聞くと、「Self Contained」と認められた車両には、正式にステッカーが張り付けられていて、このステッカーがない車両でフリーダムキャンプをしてしまうと、フロントガラスに200NZドル(約1万5,000円)の罰金を科す張り紙が張られてしまうみたいですね。

朝起きて、罰金の用紙を発見し青ざめる、本来は旅先で迎える最高の朝が、最悪の朝に変わる瞬間です。

思い出だけを持ち帰り、足跡以外は残さない

ニュージーランド・アオラキ/マウント・クック

(C)udeyismail / Shutterstock.com

フリーダムキャンプのルールはシンプルで、「ニュージーランドを汚さない」に集約されます。「Take only memories, leave nothing but footprints」(思い出だけを持ち帰り、足跡以外は残さない)の精神を挙げる人もいます。

ごみを持ち帰り、公共のトイレか車内に設置されたトイレを使い、車内トイレの汚物は、定められた処理ステーションに持ち込む、このルールを守らない限り、「フリーダムキャンプをする資格はない」と現地の人たちは主張します。

この点については、日本人がニュージーランドでフリーダムキャンプを楽しみたいと思ったときに、決して忘れてはいけないポイントです。日本で似たような旅を楽しむ際にも、大切な教えとなってくれますよね。

新型コロナウイルス感染症の影響が収まり、自由にニュージーランドに旅ができるようになって、「フリーダムキャンプを試したい」と思ったら、「Self Contained」の車を借りて、思い出だけを持ち帰り、足跡と「日本人観光客はマナーがいい」という評判だけを残し、帰ってきてくださいね。

 

【参考】

Responsible Freedom camping – 100% PURE NEW ZEALAND

PUBLIC DUMP STATIONS IN NEW ZEALAND – Moterhomes

神の領域 カンタベリー地方、ニュージーランド – National Geographic

フリーダムキャンプの今後は? – NZdaisuki.com

Freedom Camping Act 2011 – New Zealand Legislation

Freedom camping by international visitors in New Zealand – Ministry of Business, Innovation & Employment

Should You Rent a Car or Campervan for your New Zealand Road Trip? – Freedom Wanderes
Camp Responsibly – ESCAPE

RVパークへようこそ! – 一般社団法人日本RV協会

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。


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