
太古の趣を残し、文化の香り漂う“糺の森”

京都の中心に位置する下鴨神社は、奈良時代以前の植生をとどめるという12万㎡以上の広さを持つ“糺(ただす)の森”の中にあります。樹齢600年~200年の樹木600本余りが生き続け、太古の自然の趣を残す神聖な森です。

森には小川が流れ、四季折々の美しい表情を見せてくれます。特にあふれんばかりの若葉が薫る新緑の季節は、心が洗われるような清浄な空気に満ちています。『源氏物語』にも登場しています。

約1,500年前に始まったとされ、京都三大祭のひとつである“葵(あおい)祭”は、毎年旧暦4月の間ほぼ1カ月に渡り祭儀礼が行われます。5月15日には京都御所から下鴨神社、上賀茂神社までの約8kmを、平安装束をまとった人々が練り歩きます。平安朝の華やかな貴族文化を今に伝える祭です。
下鴨神社境内で歴史ある和菓子を

世界遺産に登録されている下鴨神社の鳥居の斜め向かいに、休憩処「さるや」が佇んでいます。

まずは、140年ぶりに復元された名物「申餅(さるもち)」(ほうじ茶付き)400円(税込)です。葵祭の申(中)の日に神前にお供えし、これを食すことで無事息災を祈った故事に由来しています。
江戸時代には境内の店でも売られ庶民に親しまれていましたが、明治初年の神社の祭礼の法令制度化で、この習慣が廃止されます。その「葵祭の味を復活させたい」と、10年ほど前に復元されたのがこの申餅です。

蜜漬けした大粒の丹波大納言を、小豆の煮汁で色を染めたお餅でくるんでいます。この色は明け方の一瞬、空が薄あかね色に染まる“はねず色”と呼び、命の生まれる瞬間を表しているそうです。小ぶりで素朴な味わいは、寺社巡りをする合間の休憩時にぴったり。お土産用に5個入り600円(税込)もあります。

ハート形のようでかわいらしい「葵の最中」(ほうじ茶付き)450円(税込)。下鴨神社の御神紋(神社の紋章)の葵の葉を模った香ばしい最中に、注文後に丹波大納言小豆の粒あんを詰めてくれます。

サックリとした皮にたっぷりの粒あんを挟んだ作りたて。ボリュームのある一品です。「葵最中セット」(粒あん200g、最中の皮4枚)1,130円(税込)も持ち帰りが可能です。

そして、ほうじ茶をいただけるこの湯呑みは下鴨神社で購入できます。以前、外国人の友人にプレゼントしたら、とても喜んでもらえました。
夏にうれしい冷たいスイーツも!

暑い時期にうれしい、さるや特製「バニラソフトクリーム」500円(税込)。牛乳の風味をしっかりと感じられるソフトクリームに丹波大納言小豆粒あん添えで、それぞれの質が高い一品。糺の森を散策がてらの食べ歩きにいいですね!

氷菓「氷の花」(抹茶・ほうじ茶付き)410円(税込)はアイスバーです。しっかりと凍っているので溶けにくく食べやすいです。宇治産の抹茶風味がかなり濃厚、中に大納言小豆がたっぷりと入っています。
抹茶小豆、黒みつ白玉、いちごと3種あるかき氷は、6月1日から開始だそう。夏にはぜひ味わいたいですね。
お土産におすすめの「賀茂葵」

今回持ち帰ったのは、「賀茂葵」(3個入り・660円・税込・賞味期限14日間)。以前いただいたことがあり、小豆のおいしさに感動したのです。

こちらも葵の紋様を模った、炊き上げた丹波大納言を寒天で固めたお菓子です。上質な小豆の味わいを存分に味わえます。ハートのような葵の葉の形もかわいい!

和紙を使ったパッケージと葵の葉のデザインが素敵です。価格もちょっとしたお土産におすすめ。お取り寄せもできますよ。京・下鴨 宝泉堂 賀茂葵

糺の森に入ると、すーっと清らかな空気が漂います。下鴨神社を参拝がてら、豊かな自然の中で憩いのひとときを過ごせますよ。
[All photos by Yo Rosinberg]
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ロザンベール葉
主に横浜・東京で育ち、縁あって京都に在住。美術書出版社勤務を経て、フリーランスライター歴20年余り。フランス人のパートナーと共に、フランスとイタリアを中心に気ままな旅をする。海はどこも好きだけど、「地中海」という響きに憧れる。マイペースが好き。
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