【実はこれが日本一】「日本一短い国内線の航路」はどこ?それは世界でも7番目に短い航路だった

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Aug 27th, 2021

さまざまな「日本一」を紹介するTABIZINEの連載。今回は、空の便に関する意外な日本一を紹介します。ずばり日本一距離的に短い国内線の航路です。

羽田空港の滑走路

 

日本一短い国内線

航空機
(C) Bulltus_casso / Shutterstock.com

新型コロナウイルス感染症の影響でなかなか海外に行けない日々が続いています。国内旅行も自粛のムードが続いていますよね。しばらく飛行機に乗っていない人も多いと思うのですが、今回はそんな時代だからこそ知りたい、意外な日本一を紹介します。

飛行機といえば、基本的に遠くへ移動する交通手段として思い浮かびますよね?しかし、陸路を結べないなど、さまざまな理由から短距離の空路も世の中には存在しています。

世界最大のデジタル航空情報会社OAGの発表する資料『busiest-routes-2020』には、世界で最も距離が短い国際線・国際線が掲載されています。今回紹介する日本一短い国内線は、世界で最も距離が短い国内線ランキングトップ10で堂々の世界7位に入っています。

距離の単位は海里(nautical miles)で、世界7位の短い国内線の距離は50海里。92,600m=92kmです。92kmといえば東京駅から小田原(神奈川県)より遠く、熱海(静岡県)よりは近い距離になります。

自動車、あるいは電車に乗って移動できるこの距離を結ぶ国内線は、沖縄の那覇空港から久米島空港を結ぶ便になります。この航路が世界7位に短いといわれるくらい短距離なのです。

久米島ってどこ?

沖縄県久米島
久米島

そもそも久米島とは、どこでしょうか?地図を持っている人は引っ張り出して開いてみてください。沖縄本島の那覇から西の海上に慶良間(けらま)列島・渡名喜(となき)島があります。そのさらに西の海上です。

地図を開いた人は、久米島の地名が見えますよね。島の東側に仲里のにぎわいがあり、島の中央に具志川があります。具志川のさらに西、耕作地帯を抜けた先の海岸に久米島空港があります。

国境の島という印象を受けるように、『広辞苑』(岩波書店)を調べてみると、古くは中国との交易の中継基地だったとされています。

自治体の公式ホームページによれば人口は7,606人で世帯数は4,007。産物としては久米つむぎ(琉球つむぎ)があり、観光地としてはハテノ浜が有名です。

この久米島へ向かう那覇からの航路が、日本で最も短い国内線なのです。

意外にも25万人が利用する離島の空港

沖縄県久米島のハテノ浜
久米島のハテノ浜

「そんな離島の空港、どうしてつくったの?」と多くの人が思うかもしれません。

しかし久米島空港は意外に歴史が古く、1963年に米国民政府援助資金によって建設され、以後の改修を重ねながら使われ続けてきました。現在では2,000mの滑走路を持っています。

その話を聞いて、ピンとくる人もいるかもしれません。久米島空港は那覇空港だけでなく羽田空港(東京)との間でも定期航路を持っています。旅慣れた人は、久米島行きの便名を羽田空港で目にした記憶があるのではないでしょうか。

利用者数も意外に多く、令和元年(2019年)の旅客利用者数は25万7,311人。この数は沖縄地区の空港の中で那覇空港・新石垣空港・宮古空港に次ぐ規模。さらに他の地域と比べると、石川県の能登空港や和歌山県の南紀白浜空港よりも多いです。

経営的には必ずしも順風満帆とはいえないようですが、新型コロナウイルス感染症が終息し、再び自由に沖縄旅行を楽しめるようになったら、この日本一短い国内線航路の乗り継ぎを楽しんでみてはいかがですか?

ちなみに、世界で最も短い国内線の航路はナミビア(アフリカ南西部、ナミブ砂漠で有名)の首都ウィントフックにあるエロス空港からウィンドフック・ホセア・クタコ国際空港への便です。距離にして23海里。42,596m=42kmです。いわば東京駅から八王子駅くらいの距離で飛行機を飛ばしている国があるのです。

[参考]
busiest-routes-2020 – OAG
久米島空港フライト情報 – 久米島空港
年齢別人口 – 久米島町
令和元年(平成31年)管内空港の利用概況集計表(速報値) – 大阪航空局管理課
久米島空港 – 沖縄県
平成28年度~平成37年度 - 短 ・ 中長期計画書 - – 久米島空港

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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