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世界で初めての棒状チョコレート菓子
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カナダのモントリオールにあるモントリオール・ピエール・エリオット・トルドー国際空港で日本行きの直行便を待っている時、空港内のカフェのカウンターに「ポッキー(Pocky)」を見かけました。ロゴは見慣れた感じでも、その他の表記はすべて英語です。
「へー、ポッキーって世界でも売っているんだ」と思いましたし、この見慣れたお菓子の英語版は、きっと日本人が喜ぶお土産になると思って買って帰りました。知り合いの子どもの中学生たちに渡すと案の定、すごく喜んでくれました。「ポッキー」ってすごいなと思った瞬間です。
この「ポッキー」、身近すぎて気付きませんが、実は世界で最も売れているビスケットブランド(チョコレートでコーティングされたビスケット)だとご存じでしょうか?
「ポッキー」は世界売上高がナンバーワン
もともと「ポッキー」は1962年(昭和37年)にリリースされた当初から、「世界で初めての棒状チョコレート菓子」として売り出されたのだとか。要するに、誕生から世界一の立ち位置でスタートしています。
その後、バリエーション展開をしていく中で、1971年(昭和46年)に「アーモンドポッキー」、1976年(昭和51年)に「いちごポッキー」を発売します。1980年代以降には多様化が進み、その多展開を2010年代には再構築して現在に至るのだとか。
並行するように海外展開も積極的に仕掛けていきます。1960年代後半に香港での販売開始を皮切りに、1970年(昭和45年)にタイグリコを設立、1982年(昭和57年)にジェネラルビスケットグリコフランス設立、1987年(昭和62年)にカナダで現地法人を設立、1995年(平成7年)に上海グリコを設立、2003年(平成15年)にアメリカに現地法人を設立するなど、海外への進出を着実に実現していきます。
韓国やベトナム、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム、台湾などで活動の拠点をその後も展開し、チョコレートコーティングされたビスケットブランドとして世界最高額の売り上げを2019年(令和元年)に記録して、2020年(令和2年)、ギネス世界記録に認められます。
年間(2019年)の世界売上高は推計で5億8,990万米ドル(国際市場調査データによる)。日本円にして670億910万600円、つまり670億円くらいです。
2020年(令和2年)の世界売上高もナンバーワンを記録し、ギネス世界記録を2年連続で守り抜いたようです。日本のコンビニやスーパーマーケットに並んでいるあの「ポッキー」は世界を代表するお菓子だったのですね。
フランスで「ポッキー」は「ミカド」
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世界で最も売れている(チョコレートコーティングされた)ビスケットブランド「ポッキー」は、どのように世界で愛されているのでしょう。
フランスでは商品名がそもそも違って、人気のゲーム名にちなみ「ミカド(MIKADO)」という名前で販売されているとの話。マレーシアでも、発売当初はポッキーではなく「ロッキー」でした。イスラム教国のマレーシアでタブー視されている豚肉(pork)を連想させるためだったようです。
言われてみると、ネパールの友達に「ポッキー」を送った経験が筆者にもあって、「これって何が入っているの?」とその際にかなり聞かれました。ネパールにはヒンドゥー教徒が多く、ヒンドゥー教でも豚肉はタブー視されています。肉に由来する成分が一切入っていないかを気にしていましたが、もしかすると商品名から「pork」も感じていたのかもしれませんね。
さらにアメリカでは、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)上で「ポッキーケーキ」が流行しているとPR会社の人が言っていました。
身近すぎて気にしていませんでしたが、「ポッキー」は知るほどに意外な歴史が詰まっているようです。「旅にポッキー」というキャッチフレーズの下、女子大生の国内旅行ブームにポッキーが重宝された時期(1981年ごろ)もあったそうです。
どこで食べても手が汚れませんし、歩き疲れた体に甘いお菓子は助かります。最近食べていない人は次の旅行のお供に「ポッキー」を選んでみてもいいかもしれませんね。
[参考]
※ シェアハピネスで広がる笑顔「ポッキー」ブランド通信 – 江崎グリコ
※ Pocky & Ezaki Glico Case Study – Guinness World Records
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