
ロビーがまちに開放されたホテル

縁側を意識した席。テラスの外には芝生のスペースがある
金沢は石川県の県庁所在地です。名古屋と愛知が合致しないように、金沢と石川が合致しない人も少なくないと思いますが、江戸時代に加賀藩の武士たちが治めた土地の歴史が、第二次世界大戦の被災をまぬかれたために、かなりの部分で残っている北陸屈指の観光地になります。
金沢駅前のシンボリックな鼓門は世界中から集まる観光客の記念撮影スポットになり、その門を含めた見事な駅舎の設計が評価されて、金沢駅は「世界で最も美しい駅」とも一部で言われています。
今回紹介するワーケーションの拠点は、その鼓門がある兼六園口(東口)とは逆側、金沢駅金沢港口(西口)駅前にあるハイアット ハウス 金沢のロビーです。

一般的にホテルのロビーといえば、宿泊者や宴会利用者などが出入りする空間です。しかし、2020年(令和2年)8月に日本で初めてオープンしたハイアット系のブランド・ハイアット ハウス 金沢は、ロビーがまちに開放されています。
ロビー空間には開口部が多く、室内とテラスが一体となっています。ロビー前の広場にはまちに通じる階段もあり、まちの人が自由に出入りできる設計になっています。このロビー空間が、ドリンク1杯を頼むだけで、コワーキングスペースとして自由に利用できるようになっているのです。
ドリンク1杯でロビーを自由に使える

ドリンク1杯の選択肢も豊富です。ロビーに面したバーカウンターでコーヒーやお酒も注文できますし、予算を抑えたいと思えば200円程度の炭酸水やパックジュースをロビーで買うだけでも構いません。
見事な空間設計と演出との違和感がすごいので最初は驚いてしまいましたが、制服姿の地元の高校生が勉強に利用するほど敷居は低いです。

ホテルの近所に住む経営者にも話を聞きました。駅に隣接したホテルのため、ロビーの窓から北陸新幹線の動きが見えます。子どもを連れての打ち合わせでも、子どもが新幹線を見て喜んでくれる、ロビーに隣接した屋外テラスで子どもが遊んでくれるから、すごく助かるのだとか。筆者が子連れで宿泊した時も、ロビー前の広場で確かにわが子も走り回っていました。
一方のロビーやテラス席では学生のみならず、若者たちがクリエイティブな仕事の打ち合わせをしていたり、外国人がデスクでパソコンを開いて業務に取り組んだりしています。
もちろんWi-Fiも使えて、コンセントもあり、英字新聞を含めた新聞があって、自由に飲めるレモン水も置かれています。シートのバリエーションも豊富で、テーブルを囲んだソファ席から四角いデスク、さらに縁側を意識したという窓際の空間もあります。

屋根のあるテラス席にも席があって、これらの空間をまさにコワーキングスペースとして、ドリンク1杯で自由に使えてしまうのです。
金沢(石川)の隣県である富山に筆者は暮らしていますので、取材や打ち合わせで金沢を訪れ、作業スペースが必要だと思ったら、これからは迷わず使おうと思いました。
何よりフロントのスタッフの皆さんもフレンドリーで、スニーカーや金髪など見た目のカジュアルさからわかるとおり、ナイスな笑顔で利用者を見守ってくれます。
取材に応じてくれた広報の方まで気さくで、ホテルの雰囲気を物語っているようでした。
これほどの選択肢はなかなか見当たらない

旅をしながら仕事をする、いわば旅先に泊まりながら仕事をしたい、本格的なワーケーション希望者にもハイアット ハウス 金沢は最適です。
そもそもホテルなので、部屋の選択肢が豊富にあって、28平方メートルの手ごろな広さでキッチンありの部屋から、ファミリーで泊まれるキッチン付きの部屋もあります。
日によって値段が変わるので一概にいくらとは言えませんが、手ごろなタイプの部屋の場合は、ビジネスホテルと1泊の値段がそれほど差もありません。

宿泊した際には自分で料理もしてみましたが、食器も調理器具も塩コショウ程度の調味料も過不足なくそろっています。もちろん冷蔵庫もあり、ホテル内にはコインランドリーも、スポーツジムもあります。
暮らすように旅をして、旅をしながら仕事する、ワーケーションの拠点としてハイアット ハウス 金沢ほどの選択肢は、なかなか国内に見当たらないのかなと思います。
ロビーがまちに開かれているので、ホテルに滞在しロビーで仕事をしているうちに、地元の人との出会いも生まれるかもしれません。
ロビーで見掛けた作業中の人に気さくに話しかけてみてはどうですか? 意気投合して夜ご飯を一緒に食べに行こうなどの話になり、仕事のみならず旅先の楽しみも増えるかもしれませんよ。

[Photos by Daiki Kasahara]
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Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の媒体に日本語と英語で執筆を行う。北陸3県を舞台にしたウェブメディア『HOKUROKU』の創刊編集長も務める。
https://hokuroku.media/
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