城下町・犬山でレトロ旅
名古屋から日帰りで気軽に足を延ばせるスポットのひとつが、城下町・犬山。犬山城の威容はもちろんのこと、江戸情緒を残す城下町の散策や、名物グルメの食べ歩き、ユネスコ無形文化遺産に登録されている犬山祭とそれに関連するからくり文化など、噛めば噛むほど味が深まるような奥行きのある魅力が詰まっています。
【犬山へのアクセス】
名鉄名古屋駅から犬山駅まで特急で約25分
国宝・犬山城で「本物」の趣を体験
犬山のシンボルといえば、国宝5城のひとつに数えられる犬山城。1537年に織田信長の叔父にあたる織田信康によって創建された天守は、現存する日本最古の様式として知られています。
犬山城は木曽川に面した小高い丘の上に建っており、白壁と瓦屋根のお城と、城山の緑、エメラルドグリーンの木曽川が織り成す風景はまさに絶景。春の桜、秋の紅葉など、四季折々の景観美を見せてくれます。
天守は3重4階地下2階の構造になっており、中央が弓なりにせり上がった唐破風や、亀の甲羅に桃が乗った魔よけといった外観の細かな意匠にも注目。
天守内部には築城当時の木材が多く残っており、ミシミシと鳴る床の上を歩いたり、細く急な階段をのぼったりしながら最上階を目指します。再建されたお城とはまったく違う、現存天守ならではの「本物」の趣を体験してください。
住所:愛知県犬山市犬山北古券65-2
電話:0568-61-1711
営業時間:9:00〜17:00(入場は16:30まで)
定休日:12月29日〜31日
https://inuyama-castle.jp/
ユネスコ無形文化遺産の「犬山祭」を知る
毎年4月の第1土日曜に開催される「犬山祭」は、ユネスコ無形文化遺産に登録されている全国有数のお祭り。城下町にある「どんでん館」に足を運べば、お祭りの期間中以外でも、犬山祭で曳かれる巨大な車山(やま)を目にすることができます。
犬山祭で実際に使われる高さ8m、重さ3トン超の4輌の車山が並ぶ光景は圧巻。1輌1輌異なる装飾の精巧さに圧倒されます。
住所:愛知県犬山市大字犬山字東古券62
電話:0568-65-1728
営業時間:9:00〜17:00(入場は16:30まで)
定休日:12月29日〜31日
料金:大人100円(中学生以下は無料)
https://inuyama.gr.jp/donden.html
「IMASEN 犬山からくりミュージアム」はからくり文化の発信基地。犬山祭の車山に乗っていた山車からくり人形や、歴史ある「茶運び人形」の実演解説もあり、知れば知るほど面白い、からくり文化の奥深さを体感できます。
住所:愛知県犬山市犬山北古券8
電話:0568-61-3932
営業時間:9:00〜17:00(入場は16:30まで)
定休日:12月29日〜31日
料金:大人300円(中学生以下は無料)
https://inuyama.gr.jp/karakuri.html
城下町でそぞろ歩き&食べ歩きを楽しむ
江戸時代と変わらない町割りを残す犬山の城下町は、往時の面影を感じながら歩くだけでも楽しいスポット。
※人力車に乗っているのはモデルの女性です
吉本興業の芸人さんがユーモアを交えて案内してくれる「お笑い人力車」に乗れば、より深く城下町の魅力に迫れます。
近年おしゃれなショップやカフェが急増した犬山は、食べ歩きの町としても大人気。城下町には見た目も楽しい食べ歩きグルメの店が軒を連ねていて、どれにしようか目移りしてしまいます。
築100年の古民家を改装した「本町茶寮」は、犬山名物の田楽を定食スタイルで楽しめる和カフェ。見た目はもちろん味や食感も異なる7種の田楽は、「こんな田楽の楽しみ方があったんだ!」と新鮮な驚きを与えてくれます。7種の田楽に菜飯(野沢菜を使用)、お吸い物、犬山茶がセットになった「彩り田楽御膳」(1,380円・税込)。
1866年創業の老舗和菓子店「松栄本店」で手に入るのが、「お城もなか」(150円・税込)。犬山城をかたどったキュートなもなかの中に、自家製のつぶあんがたっぷり入っています。1個から購入できるので、その場での食べ歩きにも最適です。
住所:愛知県犬山市西古券33
電話:0568-61-0025
営業時間:10:00~16:30
定休日:火曜日・水曜日
昭和横丁内にある「茶処 くらや」の「恋小町だんご」は、SNSで人気沸騰のスイーツ。フルーツあんや、季節ごとに変わる季節あんをのせたカラフルなお団子は、食べるのがもったいなくなってしまうほどのかわいらしさです。4玉のおだんご2本にグリーティー付きの「ハイカラ恋小町セット」(600円・税込)。
住所:愛知県犬山市西古券60 昭和横丁内
電話:0568-65-6839
営業時間:11:00~17:00
定休日:火曜日・第三水曜日
https://shouwa-yokotyou.com/store/28/
名古屋からいちばん近い島「日間賀島」
愛知県に島というイメージはないかもしれませんが、観光できる3つの離島があります。そのなかでも特に人気の離島のひとつが、名古屋から最も近い日間賀島(ひまかじま)。
名古屋から気軽に日帰りができる距離でありながら、フォトジェニックな景色や、名物のふぐやたこを贅沢に使ったグルメなど、島旅ならではの楽しみの数々が待っています。
遊び心あふれるフォトスポットめぐり
島内は、景色を楽しみながらゆっくり歩いても2時間ほどで一周できるコンパクトなサイズ感。美しい海岸線やノスタルジックな家並みを眺めながら、のんびりと散策を楽しみましょう。
日間賀島で一番人気のフォトスポットといえば、秘密めいた高台にたたずむ「恋人ブランコ」。木のぬくもりあふれるブランコを漕げば、空と海に飛び込んでいくかのような爽快感に包まれます。
「たこの島」として知られるだけに、「たこ駐在所」や「たこのモニュメント」といった、たこをモチーフにしたランドマークも必見。島内でたこのモチーフがいくつ見つかるか、数えてみるのも楽しいものです。
【日間賀島へのアクセス】
名鉄名古屋駅から河和駅まで特急または急行で約45~50分。河和駅から徒歩4分(無料送迎バスあり)の河和港から日間賀島西港まで20分、東港まで25分。
ふぐとたこの贅沢グルメに舌鼓
日間賀島で味わいたい海の幸が、島の代名詞にもなっているふぐとたこ。日間賀島のふぐは10月に解禁を迎え、3月まで食べられますが、とりわけふぐが旬を迎える冬の時期には、多くの旅行者が本場の新鮮なトラフグ料理を求めて日間賀島を訪れます。
全室オーシャンビューの眺望が自慢の「日間賀観光ホテル」では、宿泊なしでも名物のふぐやたこを使った会席料理が楽しめます。「ふぐ魚醤焼コース」(13,200円・税込)は、ふぐのてっさやふぐの唐揚げ、島の名物ふぐ料理「ふぐの魚醤焼き」に加え、茹でたこも味わえる、日間賀島の海の幸が詰まった贅沢なコース。
古くからの好漁場だけに、日間賀島のふぐとたこはひときわ濃厚な味わい。素材本来のおいしさを最大限に引き出した料理とともに、至福のひとときを過ごしましょう。
たこの干物作りに挑戦
日間賀島を訪れるなら、「たこの島」らしい体験はいかがでしょうか。島の海産物を扱う「かねと商店」では、随時たこの干物作りが体験できます(要予約/所要時間30分/1,500円・税別)。
まずはたこのヌメリを取り、ワタと軟骨を取り除いた後、干しやすいように開き、最後に秘伝のタレに浸して乾燥させます。慣れないと、切ってはいけない箇所を切らないようにするのに注意が必要で、少し緊張する場面もありますが、実際にやってみると、たこの身体のしくみがわかってとても楽しいもの。
できあがった干物は持ち帰って食べることができるので、自宅で焼いたり蒸したりしていただきましょう。
住所:愛知県知多郡南知多町大字日間賀島字北登立17
電話:0569-68-9222
営業時間:8:30~16:00
定休日:不定休
http://www.kaneto-shouten.com/
知らなかった愛知に会える三河地域へ
名古屋の印象が強いせいか、愛知の旅というと「都市」のイメージがあるかもしれません。ところが、愛知県東部、三河地域に位置し、長野県と静岡県に接する山間部は、そんなイメージを覆す秘境の雰囲気が漂うエリア。
徳川家康生誕の地としても知られており、歴史探訪やジビエをはじめとする山里グルメ、日本でここだけのビューティーツーリズムなど、知られざる魅力に出会えます。
「松平東照宮」の天井画に魅せられる
巴川が流れる丘陵地に位置する緑豊かな山里、松平郷。徳川家康のルーツである松平氏発祥の地として知られ、松平家と徳川家ゆかりの場所が数多く点在しています。そのひとつが、徳川家康と、松平氏の始祖・松平親氏(ちかうじ)を祀る「松平東照宮」。
2015年、家康公400年祭を記念して、松平東照宮本殿の天井に108枚の漆絵が描かれました。松平郷で見られる季節の草花をモチーフにしたという、天井画の鮮やかさは息を呑むほど。
松平東照宮の敷地は、かつて松平氏の屋敷があった場所でもあり、家康公も産湯として使ったという「産湯の井戸」も残されています。松平東照宮から坂をのぼったところには、松平家の菩提寺である高月院もあるので、おいしい空気を味わいながらゆっくりと散策してみましょう。
「山里カフェMui」でジビエを味わう
「山里カフェMui」は、2017年に築150年の古民家を改装してオープンしたカフェ。年間100頭以上の鳥獣を狩猟するオーナーの清水潤子さんが、自ら解体・調理した希少なジビエランチがいただけることから、「わざわざ訪れたいお店」として評判を呼んでいます(ランチは要予約)。
ジビエ料理というと高価なフレンチなどを連想しがちですが、メニューの考案にあたって大切にしたのが、家庭でも真似できるような「気軽さ」だといいます。
月替わりの「ジビエプレート」(1,300円・税込)には、3種類のジビエ料理に加え、山里の野菜を使ったおかずが添えられています。驚くほど臭みがなく、後味さっぱりのジビエ料理を味わえば、きっと「ジビエ」の概念が変わるはず。
「獣害を減らしたい」「獲った命をムダにしたくない」との想いから銃猟免許を取って「山里カフェmui」を開業し、今では「親子狩猟体験」やジビエ肉を使った「ピザづくり体験」などのイベントを通じて「命の大切さ」を伝える活動もされている清水さん。ぜひ、そのエネルギッシュなお人柄にもふれてみてください。
住所:愛知県豊田市北小田町伯母平26
電話:090-5037-5199
営業時間:11:00~16:00(ランチ~14:00)
※ランチは前日までの完全予約制
定休日:不定休 ※冬季(12/25~3/15)はスタッドレスタイヤ装着で来店の場合のみ予約可
https://www.mui3cafe.com/
「道の駅したら」で日本酒造りにトライ
2021年5月に設楽町にオープンした立ち寄りスポットが「道の駅したら」。1864年創業の関谷醸造プロデュースの体験工房「ほうらいせん酒らぼ」では、「お米を洗う、蒸す、仕込む、搾る」といった日本酒造りの工程が体験できます(要予約/所要時間約75分/料金4,400円〜・税込)。
はじめに日本酒の製造工程についてのレクチャーを受けた後は、実際に日本酒造りの工程に挑戦。端から見ると簡単そうですが、日本酒造りは思いのほか力を使う場面が多い重労働。何気なく飲んでいる日本酒が、職人さんによるたくさんの工程に支えられていることを実感できます。
体験で仕込んだお酒は、後日自宅に送ってもらえるので、自ら仕込んだお酒を味わうことが可能。自分で造ったお酒には、ひときわ愛着が湧くこと間違いなしです。
「道の駅したら」内には、地域の特産品が購入できる市場のほか、地元のジビエやトマトを使ったメニューが味わえる食堂もあり、ランチに立ち寄るもよし、お土産を買うもよし。奥三河の自然や歴史、民俗などについて学べる「奥三河郷土館」も併設しています。
住所:愛知県北設楽郡設楽町清崎字中田17-7
電話:0536-63-0120
営業時間:市場9:00~17:00、食堂11:00~15:00(L.O.14:30)、奥三河郷土館・田口線車両展示施設9:00~17:00
※日本酒造り体験は要予約
https://www.kankoshitara.jp/michinoekishitara/
アクセス:JR「本長篠」駅からバスに乗り換え「田内」バス停下車、徒歩5分
湯谷温泉で癒やしの時間を過ごす
湯谷温泉は、鳳来峡の板敷川沿いに温泉旅館が並ぶ、昔なつかしい風情の温泉郷。素朴なたたずまいでありながら、1300年ほど前に発見されたと伝わる由緒正しい温泉地で、古くから「万病に効く」と言い伝えられています。
湯谷温泉郷にある「はづ木」は、純木造数寄屋造りで、歴史と格調を感じさせる趣のある温泉宿。わずか5室の客室からは、美しい庭園と、その背景に広がる清流・板敷川の渓谷美が眺められ、ほっと心をゆるめて癒やしの時間が過ごせます。
源泉かけ流しの温泉で旅の疲れを癒やした後は、20種類以上の生薬を使った「漢方薬膳懐石料理」を堪能して。心のふるさとに帰ってきたかのような、あたたかなひとときが待っています。
鳳来寺山で歴史と自然を体感
鳳来寺山は、1500万年以前の火山活動で誕生した標高695mの山。山全体が国の名勝・天然記念物に指定されている自然の宝庫であるのみならず、1300年前に利修仙人が開山した霊山でもあり、山の中腹には「日本三東照宮」のひとつに数えられる「鳳来山東照宮」があります。
樹齢370年の杉木立に包まれ、ひっそりとたたずむ鳳来山東照宮の境内には、人智の存在を超えたものの存在を感じずにはいられない、静謐な空気が漂っています。
鮮やかな朱色の社殿と抹茶色の苔のコントラストは、趣たっぷり。拝殿や本殿、中門などの主要建造物は国の重要文化財にも指定されています。
鳳来山東照宮からさらに坂道をのぼって鳳来寺本堂に出ると、一気に視界が開け、荒々しい岩肌を露出した鏡岩や、どこまでも続く山々が見渡せます。
歴史と自然が詰まった鳳来寺山は、癒やしパワー絶大。時間に余裕があれば、頂上までのハイキングにチャレンジしてもいいでしょう。
ミシュラン掲載「茶禅一」で味わう絶品茶そば
標高700m、雲海と茶畑が広がる抜群のロケーションにあるそば処が「茶禅一」。「ミシュランガイド 愛知・岐阜・三重 2019 特別版」において、ビブグルマン(価格以上の満足感が得られるお店)に選ばれており、遠方からもひっきりなしにお客さんが訪れる名店です。
「茶禅一」で供されるのは、季節によって産地を厳選し、石臼で自家製粉したそば粉を使った手打ちそば。力強いコシがありながらも、噛めば噛むほど広がっていく滋味深い味わいがクセになります。雲上そばと茶そばの2種類のそばに、蕎麦豆腐・本日のご飯・雲上だんご・雲上ほうじ茶がついた「雲上セット」(1,600円・税込)。
そば処の向かいにある「雲上テラス」では、果てしなく続く山の稜線や茶畑を眼下に、自家製の雲上茶のシロップを使ったかき氷も楽しめます。「雲上茶ミルクぜんざい」(850円・税込)。
住所:愛知県北設楽郡東栄町御園字坂場118-10
電話:0536-76-0621
営業時間:11:00〜14:00(かき氷は15:00まで)、18:00〜22:00(蕎麦コース4,000円〜)
※そばは完全予約制
定休日:水曜日・木曜日
https://omoteyaen.co.jp/chazenichi/
日本でここだけのファンデーション作り体験
日本で唯一、愛知県東栄町だけで楽しめるのが、東栄町で採れるセリサイト(絹雲母)を使ったファンデーション作り体験。世界中の化粧品メーカーがセリサイトを原料としてファンデーションを作っていますが、現在、日本国内でセリサイトを採掘しているのは、東栄町の三信鉱工株式会社だけなのです。
昔ながらの手法で採掘される東栄町産のセリサイトは「奇跡のパウダー」と称されるほどの高い品質を誇り、国内はもちろん海外の有名化粧品ブランドからも引き合いが絶えません。
2015年、三信鉱工株式会社と地域おこし協力隊のコラボレーションにより、日本でここだけのビューティーツーリズム「naori(なおり)」が始動。廃校となった小学校を利用した体験交流館「のき山学校」で、東栄町産のセリサイトを利用したファンデーション作りが体験できるようになりました(要予約)。
ファンデーションの原料についての簡単なレクチャーを受けた後は、原料となる鉱物の量を計ってブレンド。1人ひとりの肌色や希望に合わせて講師が色を調整してくれるので、世界でひとつの自分だけのファンデーションが完成します。つけていることを忘れそうなほどの、軽くなめらかな肌触りは感動的ですよ。
セリサイト採掘鉱山探検とファンデーション作り体験をセットで開催している毎月第2土曜日なら、現役の鉱山に足を踏み入れるという貴重な体験もできます(体験はともに要予約/所要時間各90分/料金各4,400円・税込)。薄暗い坑道内はまるで映画セットのよう。普段使っているファンデーションの原料がどこから来ているのか、ぜひその目で確かめてみてください。
住所:愛知県北設楽郡東栄町大字下田字軒山13-7
電話:0536-78-5102
営業時間:10:30〜12:00、14:00〜15:30(開始10分前から受付)
定休日:水曜日・木曜日・祝祭日
※体験は3日までに要予約
https://naori-toei.jp/
古くから交通の要衝として栄え、豊かな歴史を育んできた愛知県は、海あり山ありの自然にも恵まれた土地。あなただけの旅のストーリーを探しに、愛知県の地方に足を運んでみませんか。
[Photos by Haruna]