意外と知らない「日本の温泉知識」
日本は温泉が非常に多く、令和元年の時点で2,971もの温泉地(宿泊施設のある場所を計上)があることが確認されています(環境省「温泉利用状況」より)。
あなたが温泉旅行に行く際、どのようにして入浴する温泉を選んでいるでしょうか。「源泉かけ流し」などとある温泉には、なんとなく良い印象を受けている人も多いかもしれません。しかし、「源泉かけ流し」にはどのような意味がもたらされているのかご存じでしょうか。また、「温泉」と「天然温泉」の違いはわかるでしょうか。
そんな日本の温泉に関する知識について、全国500名以上の人を対象に、阪急交通社がアンケート調査を実施。その結果を紹介していきましょう。
「源泉かけ流し」や「天然温泉」の意味知ってる?
「あなたは以下それぞれの言葉(温泉、天然温泉、源泉かけ流し、温泉かけ流し)について、何を意味するのか理解していますか?」という質問の結果がこちら。
理解していると回答した割合が「温泉」は62.8%なのに対して、「天然温泉」は44.9%、「源泉かけ流し」は38.4%、「温泉かけ流し」は21.7%と低くなっています。
「温泉かけ流し」に関しては、理解していない割合の方がやや高くなっており、言葉自体聞いたことがないという人もいるかもいるかもしれません。
「天然温泉」と「温泉」の違いとは?
「温泉」は、温泉法によって「地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するもの」という定義がなされています(別表では、温度は摂氏25度以上で、物質は溶存物質、遊離炭酸等19の物質のいずれか一つを一定量以上含むものとされています)。
では、「天然温泉」と「温泉」の違いは何でしょう。実は前述の温泉法で定義されている「温泉」と意味は同じです。温泉成分などを追加して作った人工温泉などと区別する形で使われています。日本温泉協会の審査で天然温泉と認められている場合は、「天然温泉表示看板」が貸与されているので、一目でわかるというわけです。ちなみに現在、温泉の利用状況では「加水・加温・循環・添加」の有無、また、ありの場合はその理由を提示する必要があります。
また、「源泉かけ流し」は、浴槽に源泉が常時注入され、あふれた湯が再利用されない状態のことを指していることがほとんどです。「源泉」と付くからには、温泉以外の加水は基本的には認められないことになります。加温については可能だそうですが、状況や理由の提示が義務付けられています。
一方、「温泉かけ流し」の場合は、加水も加温も可能です。ただしこちらも、状況や理由の提示が義務付けられています。
※源泉かけ流しの定義は団体や個人によって異なることもあります
一番温泉が多い都道府県は?
一番温泉が多い都道府県は一体どこでしょうか? 温泉地の数や源泉数、湧出量から、ランキング形式で見ていきましょう。
まず、温泉地数のランキングはこちら。(※)
- 1位 北海道 温泉地数243
- 2位 長野県 温泉地数205
- 3位 新潟県 温泉地数145
- 4位 福島県 温泉地数136
- 5位 青森県 温泉地数125
※「令和元年度温泉利用状況(環境省)」にて、都道府県ごとの温泉地の数や源泉数、湧出量などが確認できます。
1位は、全国的にも有名な温泉地が多数ある北海道。中でも登別温泉は泉質の豊富さが魅力ですよね。爆裂火口跡である地獄谷が源泉となっていて、湯やガスが噴き出す様子が見られるのも特徴です。
また、稚内温泉は、日本最北の温泉として知られています。定山渓温泉は、札幌中心部から車で1時間弱とアクセスが良いのも人気の理由のひとつ。その他、ウトロ温泉、層雲峡温泉、十勝川温泉など多くの温泉地があります。
2位は、蓼科温泉、渋温泉、別所温泉などがある長野県。そして3位新潟県、4位福島県、5位青森県と、東日本の県が続きます。
次に、源泉数(未使用の源泉数も含む)のランキングを見てみましょう。
- 1位 大分県 源泉数5,088
- 2位 鹿児島県 源泉数2,749
- 3位 静岡県 源泉数2,244
- 4位 北海道 源泉数2,172
- 5位 熊本県 源泉数1,360
圧倒的な源泉数で第1位に輝いたのは大分県。出量も大分県が1位で、全国の約10.9%を占めると言われています。そして2位鹿児島県、5位熊本県と、源泉数では九州地方の県が多いのが特徴です。
「日本一のおんせん県」とも言われる大分県には、海地獄や血の池地獄、白池地獄などの「地獄」をめぐる「別府地獄めぐり」で有名な別府温泉、情緒あふれる街並みと自然を満喫できる由布院温泉などがあります。
日本三名泉ってどの都道府県にあるの?
数ある温泉の中でも、日本三名泉として知られている「有馬温泉」「草津温泉」「下呂温泉」。名前だけであれば一度は聞いたことがあるという人がほとんどでしょう。では、日本三名泉がそれぞれどの都道府県にあるかご存じでしょうか。
「以下の温泉地(草津温泉、有馬温泉、下呂温泉)がどの都道府県にあるか知っていますか?」という質問に対するアンケートの結果はこちら。
もっとも多くの人に知られていたのは、群馬県の西部、長野県に面した群馬県吾妻郡草津町にある草津温泉。温泉街の中心にある湯畑の景観が有名で、強酸性の泉質によって高い殺菌効果が期待できると言われます。大きな板で湯をかきまぜる「湯もみ」の鑑賞や体験も人気ですよね。
下呂温泉と有馬温泉の所在地を知っている人はほぼ同数でした。
岐阜県の中部、下呂市にある下呂温泉の泉質はアルカリ性で、なめらかな湯が特徴です。美肌効果が期待できるとして、「美人の湯」とも呼ばれることがあります。
兵庫県神戸市にある有馬温泉は、環境省が療養泉として指定している9つの主成分の内、7つもの成分が含まれている珍しい温泉です。赤褐色をした金泉と、無色透明の銀泉に分かれていているのも面白いですよね。
有効回答数:554名
調査期間:2021年12月21日~2021年12月28日
調査対象:全国、20代以上の男女
調査手法:Webアンケート
今回は、日本の温泉にまつわる知識を紹介しました。温泉地のたくさんある北海道や、湧出量日本一の大分県などでは、源泉かけ流しの温泉がある宿も見つけやすいはず。また、また、「天然温泉」や「源泉かけ流し」などの定義をきちんと知っていれば、旅先での温泉選びがもっと楽しくなるかもしれません。
なお、温泉法により、各温泉は温泉成分の分析、提示が義務付けられています。旅行先の温泉で温泉分析書を見つけたら、泉質や成分、加水や加温がされているのかどうかなどをチェックしてみるのもいいかもしれませんね。
▼温泉旅行特集はこちら
https://www.hankyu-travel.com/onsen/?p_baitai=9599
▼草津温泉特集はこちら
https://www.hankyu-travel.com/onsen/kanto/kusatsu/?p_baitai=9599
▼有馬温泉特集はこちら
https://www.hankyu-travel.com/onsen/kansai/arima/?p_baitai=9599
▼下呂温泉のツアーはこちら
https://www.hankyu-travel.com/kokunai/keyword/%E4%B8%8B%E5%91%82%E6%B8%A9%E6%B3%89/?p_baitai=9599
▼別府温泉のツアーはこちら
https://www.hankyu-travel.com/onsen/kyushu/beppu/?p_baitai=9599
▼阪急交通社 旅行サイトはこちら
https://www.hankyu-travel.com/?p_baitai=9599