泉質にこだわってきたからこそ人気の「草津温泉」
2022年2月某日、今回は東京駅から高速バスを利用し、約4時間で「草津温泉バスターミナル」に到着しました。青空が広がりつつも、ふわりふわりと雪が舞っていて、なんとも温泉日和。凍てつくような寒さも、今日ばかりは気分を盛り上げるひとつのアイテムのように感じます。
バスターミナルから歩くこと約5分。温泉のにおいとともに、目の前には有名な「湯畑」が広がりました。
日本3名泉のひとつとして数えられ、旅行会社社員などの“旅のプロ”が選ぶランキング「にっぽんの温泉100選」では、不動の1位に君臨し続けている草津温泉。自然湧出量は日本一を誇り、毎分32.300Lもの温泉が湧いているのだとか。
といってもあまりピンとこない数字かもしれませんが、これはなんと、1分で家のお風呂が160杯くらいたまる計算になるのだとか! 1分で160杯……衝撃です。だからこそ、草津温泉では、贅沢な「源泉かけ流し」が叶うのだそう。
湯畑をぐるっと一周してみると、至るところに「手洗乃湯」なるものが設置されています。当然、手を洗う場所なのですが、流れてくるお湯はもちろん温泉。キンキンに冷えていた指先はじんわりと温まっていき、手のための新しい施設のよう。さらに驚いたのは、洗ったあとの肌が、しっとりすべすべになるということ! さすがは草津温泉。さっそく温泉の恩恵を受けてしまいました。
蛇口をひねることなくお湯が流れているので、かなり気軽に手を洗うことができ、さらには、ほどよい温度にリラックス効果も感じます。「手洗乃湯」が日本中に設置されることを願いつつ、滞在中は何度も何度も手を洗わせてもらいました。
あるものを食べに道の駅へ!
到着が13時を過ぎていたので腹ペコ。ということで、「草津運動茶屋公園 道の駅」へ向かいます。こちらでは、観光案内所や、キャラクターグッズやお土産などが揃ったロマンチックショップ、ヨーロッパの輸入雑貨や小物を扱うミュージアムショップなど、4つの施設がある道の駅です。
草津の恩人と称えられるドイツ人医師・ベルツ博士の記念館などもあり、草津の文化も知ることができるスポットとなっています。
今回のお目当ては、この道の駅で人気No.1という「舞茸ひもかわうどん」です。
普通のうどんのようにも見えますが、麺を見れば驚愕の太さ! 口の幅いっぱいにうどんが広がり、つるつるモチモチ。初めての感覚です。醤油ベースのスープは出汁の旨みや香りも感じ、冷えた体にやさしく染みわたります。群馬県産のマイタケもゴロゴロと入っていて、ホッと一息つくことができました。
ちなみに、湯畑から行く場合は歩いていくことも可能ですが、上り坂が続くので巡回バスを利用することをおすすめします。
住所:群馬県吾妻郡草津町大字草津2-1
TEL:0279-88-0881
◇舞茸ひもかわうどん
価格:750円(税込)
HP:https://www.932-onsen.com/common/ranking
営業時間:9:00~17:00
定休日:無休(12月に臨時休館あり)
【草津温泉町内巡回バス】
運賃:1回利用につき100円
これを見なきゃ始まらないし終わらない!「湯もみショー」
続いては、大正ロマン風の建物が目印の「熱乃湯」へ。こちらは、草津を代表する観光スポットで、「湯もみショー」を楽しむことができます。草津に来たのであれば、これを見なければ始まらないし、終わらない!
草津温泉の源泉は熱く、50℃近くあるのでそのままでは入れません。温泉の効能を保ったまま温度を下げるために考え出されたのが、この「湯もみ」です。180cmの板を源泉の中に入れて、入浴できる温度までお湯をもみます。温度を下げるだけではなく、お湯を柔らかくしたり入浴前の準備運動になったりと、理にかなったものなのです。
そんな「湯もみ」を目の前で見ることができるショーは、迫力満点。終盤には、湯けむりが激しく舞うシーンもあり、思わず見入ってしまいます。
また、草津節や草津湯もみ唄は、録音されたものが流れている訳ではなく、実際に歌っているので心にスッと入ってくるような感覚に。昔の人たちの生活を想像したりしながら、あっという間に時間が過ぎていきます。
本来、このショーには体験コーナーもあるのですが、現在は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から残念ながら中止となっています。しかし、「湯もみ体験」のみであれば、月曜日と金曜日に行われているそうなので、興味があるひとは情報をチェックしてから訪れる日を決めてくださいね。
住所:群馬県吾妻郡草津町草津414
TEL:0279-88-3613
観覧料金:大600円(税込)、小学生300円(税込)
公演時間:9時30分、10時・10時30分、15時30分、16時、16時30分(1日6回公演)
HP: https://www.kusatsu-onsen.ne.jp/netsunoyu/
■「湯もみ体験」についてはコチラ
https://www.kusatsu-onsen.ne.jp/hotnews/pdf/yumomitaiken2021.10.29.pdf
湯畑に一番近い!贅沢づくしの「ホテル一井」
それでは、そろそろ本日の宿「ホテル一井」に向かいます。「熱乃湯」のすぐ隣に位置し、目の前は湯畑という抜群のロケーション! 本館、別館、西館と3棟からなるホテルですが、今回は部屋からも湯畑を一望できる本館に宿泊です。
客室内は非常にシンプルですが、清潔感であふれ窓が大きく開放感も抜群。
カーテンを開けてみれば、こんなにも贅沢な景色をひとり占めすることができます。
贅沢なのは温泉も同じ。草津には主に6つの源泉がありますが、「ホテル一井」では2種類の源泉から引いた温泉に入ることができます。大浴場は源頼朝が発見したとされる「白旗源泉」、露天風呂は「万代鉱源泉」の天然温泉が掛け流し。2021年8月にリニューアルされたばかりの綺麗な設備の中で大自然の恵みを存分に満喫できるのです。
また、基本の化粧品はもちろん、男性用の保湿ジェルやフェイスパックなど、アメニティもかなり充実していました。
草津温泉の泉質は、殺菌効果抜群の酸性で「恋の病以外効かぬ病は無い」といわれるほど。大浴場のお湯はとろみがあり、入った瞬間から肌がつるつるしていくのを実感します。また、温度の違う浴槽が3種類あり好みで選ぶことができるのも魅力です。熱すぎたり物足りなかったりするような温度のストレスがないのは、ありがたいかぎり。
庭園風の露天風呂では、外気を感じながらゆったり。こちらは、大浴場に比べるとさっぱりとしたお湯でした。
お待ちかねの食事は、モダンな雰囲気の「季味の浪漫」でいただきます。次から次に運ばれてくる料理は、群馬県産の食材を多く使用しており、お出汁の香りや旨みとともに、素材のおいしさを感じるものばかり。どれもおいしく丁寧に作られていることが伝わってきます。
メインは肉か魚を選べ、炊き込みご飯か白米を選ぶことができるのもうれしいポイント。
かなり豪華で品数も多く大満足。シメの「茸と山菜の炊き込みご飯」とお椀の「ナラ茸と青さつみれの味噌仕立て」も、出汁が香り上品な味わいで絶品。最初から最後まで、ただただおいしいと感動しながら、すべて完食して客室に戻りました。
客室に戻れば、また楽しみなのは窓の外。湯畑は、日没からライトアップされ日中とは違う景色を楽しむことができます。窓から容赦なく入って来る冷たい夜の空気と、ぬくもりある湯畑の光が絶妙に重なりあい、まさに非日常。
目の前が湯畑なので、外に出て散策してもよし。寒くなったらまた温泉に入ってもよし。湯畑に一番近い「ホテル一井」だからこそできる贅沢な楽しみ方なのではないでしょうか。
スッキリと目覚めた朝は、品数豊富な和食が出迎えてくれます。ホテル自慢のクロワッサンもあります。味噌汁には地元の野菜がたっぷり。朝はパン派という人もどうぞご安心を。しっかりパワーを蓄え、草津2日目がスタートしました。
宿泊したからこそ!静かな朝に参拝を
草津で迎える清々しい朝はパワースポットへ。ホテルを出て2分ほどで到着する「光泉寺」です。
温泉三大薬師といわれ、草津温泉の守護寺として信仰されています。本尊は、病気を治す仏様、薬師寺如来です。
まっすぐ伸びる長~い石段に思わず戸惑ってしまいますが、登り切った先には、参拝者だけが感じることができる厳かな雰囲気と、湯畑を静かに見守る凛とした空気が漂います。
また、境内には、300年の時を経て世に出た仏様「遅咲き如来」が祀られた釈迦堂があり、今まであまり花を咲かせられなかった人や、これから一花咲かせたいと願う人にご利益があるとされています。
とても珍しい、「遅咲お守り」や「遅咲みくじ」も。この日引いたおみくじは「吉」でした。
ーたとえ夢の道程が遠く険しく思えても、途中であきらめないこと。見失わなければ大丈夫。今はあせらず一歩ずつ歩き、続けることが何より大切ー
おみくじに書かれた言葉に、大きく背中を押され、参拝後は清らか気持ちに。また一歩、前へと踏み出せます。
ギリギリまで温泉を楽しもう!
湯畑の周辺には、「白旗源泉」や「地蔵源泉」など複数の源泉があり、ポコポコと湧き上がる温泉を眺めていると、「帰る前にもうひと風呂浴びようかな」という気分になります。あちこちに共同浴場や日帰り入浴施設があるので、温泉のはしごが楽しめるのも草津ならでは。
今回、最後のひと風呂に選んだのは「西の河原露天風呂」です。まずは、「西の河原公園」を目指します。といっても、湯畑から徒歩で気軽に行ける距離感。道中にはお土産屋さんや飲食店、雑貨屋さんも軒を連ねているので、気づけばあっという間に到着しています。
「西の河原公園」に足を踏み入れると雰囲気は一変。大自然に囲まれ、積もった雪がとても幻想的。川が流れているのかと思いきや、湯けむりが舞う温泉で、なんとも不思議な光景です。
現在は、綺麗に整備された美しい公園ですが、かつては荒れ果てていて「鬼の泉水」と呼ばれ、恐れられている場所だったのだとか。ちょっぴり意外です。
園内には、高温の温泉が湧き出し、まるで茶釜が沸騰したように異様な音を立てたことから、「鬼の茶釜」と呼ばれる場所があり、「鬼の茶釜碑」が立っていました。歴史を知るのも散策の楽しみのひとつ。「鬼の相撲場」なる場所もあるそうですが、今回は雪が積もっていたので、泣く泣く断念しました。
そうこうしているうちに、お目当ての「西の河原露天風呂」が見えてきました。
ここは、男性用・女性用をあわせて500平方メートルという、草津随一の広大な露天風呂。360度ぐるりと木々に囲まれ、冬の澄んだ空気と青い空、そしてやさしく包み込んでくれるような柔らかなお湯。癒しの時間が静かに流れているのでした。
新たなスポット「裏草津」が誕生しています!
実は草津温泉に、新たな観光スポットが誕生しているのをご存知でしょうか? 湯畑からすぐの地蔵の湯エリアは「裏草津」と呼ばれ、2018年から再開発が進められてられています。
趣ある古い街並みに新しい文化が混ざりあい、新たな魅力の詰まったスポットに。帰りのバスまで少し時間があったので、フラッと散歩をしていると、おしゃれなカフェ「月の貌(つきのかお)」を発見。
店木のぬくもりをたっぷりと感じる店内には、日差しがやさしく差し込みます。まったりという言葉がしっくりくる空間で、温泉後の休憩にもぴったり。
草津の特産品・花豆を使用したスイーツ「花豆ロールケーキ」と「カフェラテ」を注文。しっとりとした生地にたっぷりのクリームが巻かれ、黒糖の風味とふっくらとした花豆がよく合います。手作りのクッキーも添えられ、ほっこりするおいしさでした。
住所:群馬県吾妻郡草津町132-1
TEL:0279-82-5641
◇花豆ロールケーキ(単品):600円
◇カフェラテ(単品):500円
また、裏草津でしか体験できないような珍しい温泉も発見! なんと「顔湯」です。
その名のとおり、顔を箱の中に入れ、地蔵の湯の蒸気をあてるというもの。実際に顔を入れてみると、じんわりと顔が温まり、新感覚。
ちなみにこの顔湯の目の前には、「目洗い地蔵」という地蔵堂も。眼の病を患っていた徳兵衛が、夢の中に現れた地蔵菩薩にこのお湯で目を洗うようお告げを受け、その通りにしたところ治ったという言い伝えがあります。
顔湯をしていると、確かに目周辺の筋肉が緩んでいくような感覚に。パソコンや携帯で疲れた目にも効果があるように感じました。最後には、顔まで温まり、身も心もポカポカのまま、草津温泉旅は幕を閉じたのでした。
住所:群馬県吾妻郡草津町草津302
湯畑を中心に、徒歩で行き来できる観光スポットの豊富さ、そして、泉質の素晴らしさを身をもって体感しました。「温泉で癒されたい」そんな体からの合図を受け取ったら、草津温泉のパワーを受け取りに訪れてみてはいかがでしょうか?
[Photos by koume]