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【実はこれが日本一】もっとも低い「夢みなとタワー」は世界一の塔でもあった

Posted by: 坂本正敬
掲載日: May 3rd, 2022. 更新日: Jul 16th, 2022

ちょっとユニークな日本一を紹介してきたTABIZINEの連載。今回は、鳥取県の境港にある日本一を紹介します。

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(C)鳥取県

 


日本一の低さを誇っている珍しいタワー

鳥取県といえば、何を思い浮かべますか? 恐らく、鳥取砂丘ではないでしょうか。鳥取砂丘は鳥取県でも東側、山陰海岸国立公園の一部に含まれる地域にあります。

しかし、鳥取県は東西に広い土地。反対側の西側には島根県との県境近くに、美保湾に面した米子や境港があります。今回の舞台は、この境港にある「夢みなとタワー」。1997年(平成9年)に鳥取県で開催されたジャパンエキスポの1つ、「山陰・夢みなと博覧会」において、シンボルタワーとしてつくられた建物です。

このタワーの何が日本一なのかといえば、その低さ。タワーというと高さを競う印象がありますが、この夢みなとタワーは、日本一の低さをアピールしている珍しい建築物なのです。

「横浜マリンタワー」の半分以下


(C)鳥取県

あくまでもこの「日本一低い」は、「全日本タワー協議会」に加盟しているタワーの中で、という意味です。

全日本タワー協議会とは、1961年(昭和36年)に東京タワー・通天閣・名古屋テレビ塔の3塔で発足した会で、現在は19タワーが加盟しています。

北陸に暮らす筆者の近所でいうなら、富山県小矢部市にある「クロスランドタワー」(118m)や福井県坂井市にある「東尋坊タワー」(55m)が加盟しています。

今回取り上げる鳥取県境港市の夢みなとタワーは高さ43m。ピンとこない関東の人からすれば、横浜マリンタワー(106m)と比較するとわかりやすいかもしれません。あの塔の半分以下ですから、決して低いとは言えないですが、高いとも言えないタワーですよね。

記念性や象徴性を持つタワー

鳥取県の風景

そもそもタワーとは何なのでしょう。タワーを『広辞苑』(岩波書店)で調べると「塔」と書かれていて、『世界大百科事典』(平凡社)で「塔」を調べると、平面の大きさに比べていちじるしく高い建造物を言うようです。

『工学字彙』(工学協会)には、「高くそびえた細長い建物」と書かれていて、『ブリタニカ国際大百科事典』によれば、「一般に居住の機能を欠く」とされています。記念性や象徴性を持たせられる場合もあるのだとか。

最近は「タワーマンション」なる造語も目立ちますが、もともとの定義を考えると、細長く高い建物で、住居ではなく記念性や象徴性を持つということですから、夢みなとタワーはまさにタワーと呼べそうですね。

テンセグリティ構造物としては世界一の高さを誇る


(C)鳥取県

この夢みなとタワー、見どころはもちろん、展望室からの360度の眺望だと考えられます。大山隠岐国立公園にも指定される大山の威容などは誠に見事です。しかし、ほかにも特徴があります。

塔そのものの構造です。「テンセグリティ構造」という聞きなれない構造で塔が自立しています。

テンセグリティ構造とは、テンション(張力)で統合された構造だそうです。なんのこっちゃ、という感じですが、人の骨も骨同士を細かく見るとくっついていないのに、筋肉や腱などで骨同士が引っ張られて、人体という1つの構造を形づくっていますよね。

夢みなとタワーも同じです。鉄柱と白いリング状の骨組みが直接触れ合っていないのに、お互いを引っ張り合う張力材の力だけで自立しているのだとか。

しかも、このテンセグリティ構造を用いた構造物としては世界一の高さを誇るとのこと。

日本一の連載として紹介する塔には、世界一の要素も含まれていたとの話です。

鳥取や島根などを周遊する際には『ゲゲゲの鬼太郎』でも有名な境港に立ち寄って、夢みなとタワーのテンセグリティ構造を眺めてみてください。実に、インスタ映えしますよ。

[参考]

展望室 – 夢みなとタワー

全日本タワー協議会とは? – 全日本タワー協議会

宙に浮いてる!?「テンセグリティ構造」の不思議な仕組み – ナゾロジー

夢みなとタワーについて – 夢みなとタワー

「日本一低い」タワーに認定 高さ43メートル 鳥取・境港の「夢みなとタワー」 – 産経新聞

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。


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