夜の瀬戸内海に浮かび上がる幻想的な光
今しか見ることができない、海に灯る幻想的な大鳥居の姿がこちら。波穏やかな瀬戸内の海に、黄金色に光り輝く大鳥居。漆黒の海に光を落とす、橙色のぽわっとした灯りがなんとも幻想的。目を凝らせば、囲いシートの中にうっすらと大鳥居の姿が浮かび上がります。
現在の大鳥居は、1875(明治8)年に再建された9代目。高さ約16m、幅(棟幅)約24mの大鳥居は、2019年から修理作業が行われています。この工事シートで覆われた幻想的な姿は、まさに“今しか見られない”幻想風景。修理期間は2022年12月の終了予定ですが、シートがいつ外されるかは未定なのでお早めに!
こちらは、昼間の景観。大鳥居の周囲には足場が組まれ、海にそびえる要塞ともいえる姿。
工事用の連絡橋も組まれており、これだって今しか見ることのできない!貴重な景観です。
海上神殿ともいえる、海の満ち引きで趣を変える厳島神社(嚴島神社)。干潮になれば、このとおり潮が引き……
大鳥居まで歩いて行くことが! こんな間近で、見上げるように修理中の大鳥居を見ることができるので、潮見表のチェックをお忘れなく。
ただし、ここは神域。大鳥居の内側では貝などを取ってはいけないので注意してください。
潮の満ち引きで趣を変える海に築かれた朱塗りの神殿
厳島神社の創建は、593年の飛鳥時代。その後、1168年、平安時代末期に平清盛が寝殿造を取り入れ修造し、海に浮かぶような建築美が際立ちます。市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)・田心姫命(たごりひめのみこと)・湍津姫命(たぎつひめのみこと)の海の三女神がご祭神。
海の上を廻廊がぐるりとまわる境内は約270m。この一方通行の廻廊を通って拝観を。それにしても朱色の柱が連なる東廻廊や西廻廊が美しいこと。神の元へと誘われる凛とした雰囲気に満ちています。大鳥居に加えて、東廻廊などの一部も修理中なので注意が必要。
海へせり出すように配された平舞台。奥には御本社が鎮座しています。
海からの何色にも染まっていない新鮮な空気を取り入れるかのような御本社。神社といえば緑に包まれていることが多いですが、それとは異なる、海とつながるような開放感ある境内は、平清盛の美意識の賜物とも。
修理中の大鳥居を真正面に望む、火焼前(ひたさき)は、境内一の撮影スポット。
日本唯一といわれる海の上の能舞台などもあり、潮の満ち引きや太陽の光と影により、さまざまな表情を見せる厳島神社。朱塗りの大鳥居はもちろん素敵ですが、修理中の今だから見ることができる、夜の幻想的な光景も魅力的です。
※2022年5月現在、新型コロナウイルス感染症対策のため営業時間やサービス体制などが通常と異なることがあります
[Photos by (C)tawawa]
TAI WATANABE ライター・エディター・ディレクター
10代のころ、自転車でメキシコ・グアテマラを縦断し多くのことを学ぶ。それをきっかけに情報誌・旅行誌の取材を通じて、中南米・カリブ海を中心に世界各国で豊富な取材を経験。海外を見てきたからこそ日本は大好き! 紙とWEB、ふたつの媒体特性に精通した複眼的視点を持っている。
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