ドイツの森で自分と向き合う「メディテーション・トレイル」
豊かな森や自然を誇るドイツ南部のバイエルン州。一般開放しながら自然環境を保護していく活動も進んでおり、アマガウ・アルプス自然公園では「メディテーション・トレイル」というコースが設定されています。
この「メディテーション・トレイル」を歩くツアーは、頂上を目指す登山とは異なり、「ゴールを決めずに自然を感じながらゆっくり歩きましょう」というもの。自然の中を歩くことで、自分自身と向き合いながらリラックスを促すことを目的としているのだといいます。同トレイルは、全長85km設定されているそうですが、今回はその中の2km程を歩きました。
森を歩きながらストレスを解放……そのコツは?
歩く前にガイドさんからは、「歩みを進めていくなかで、足の裏から土や草などを通して大地、地球の感触を意識をしてみてください」と、アドバイスがありました。山や木々に囲まれた環境のなかで、自分自身もこの自然の一部だと感じることに集中していくと、気持ちが解放されて自然からのメッセージを感じやすいといいます。
高所から景色を眺めたり、大自然の中に身を置くと自分の悩みが小さく感じる、というのと似た感覚かなと思うのですが、「自分を自然の一部として捉える」という考え方は、人と自然が寄り添っている感じがして素敵だなと思いました。
水が湧き出る泉に到着
ということで、足裏を意識しながら歩いていくと泉に到着。川面に目を凝らしてみると、川底から泡が浮き出てきているのが分かります。ここは、近くを流れる「クライネ・アンマー川(Kleine Ammer)」の源流で、さらに「グロッセ・アンマー川(Große Ammer)」に合流し北へと進んでいくのだそうです。フツフツと湧き出てくる清らかな水は、どことなく神聖な雰囲気。
森のしっとりした空気でリラックス
この周辺はかつて氷河があったエリアで、もともと湿気が多い地域なのだそうですが、「この湿気もリラックスする環境として大切な要素です」と、ガイドさんが語ってくれました。
「人体の60%は水分で、飲料水だけではなく空気中にある湿気もすべて、身体にとって重要な要素です。だから、このしっとりした空気は身体を落ち着かせてくれる。そして、川はまっすぐに流れたり蛇行したり、自分のペースで道を作っていくんです。そんな自然の姿に目を向けてみるのいいですね」
湿気はありながらも重たくてジメっとした感じははなく、心地のいい空気でした。
夏は一面花が咲き誇る広大な草原
泉を後にして再び歩みを進めると、今度は視界が開けた草原に到着。この辺りは、5月下旬頃から一面に花が咲き誇るのだといいます。湿気の多いこのエリアでは、苔も育っていてとても雰囲気がありますが、春らしい花の風景も美しいそう。四季によって変わる景色に、また出会ってみたくなります。
オーバーアマガウでの3日間の滞在は比較的に晴天に恵まれましたが、この日は奇しくも曇り空。森の環境や水の話を聞いた後は、低い雲が霧のように広がる様子も尊く感じ、この地域ならではの風景を見れたと逆に得した気分に。
静かに流れる川の穏やかな風景
川底が見えるほど透明な水の中で魚が泳いでいるのを見つけたり、鴨がのんびりしている姿を眺めたりと、とにかく平和でのどかな環境でした。このトレイルは難しいゴールを設定しないので、体力に自信がなくても心地よく歩けそうです。
穏やかに流れる小川を眺め、鳥や風の音を聞きながらゆっくり歩いていると、自然が優しく迎えてくれているような気分にしてくれて、心が休まる時間となりました。
[all photos by minacono]
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[参照]
・Ammergauer Alpen GmbH: https://www.ammergauer-alpen.de/oberammergau/geschichte-des-ortes
・Ammergau Alps Nature Park: https://www.naturpark-ammergauer-alpen.de/
取材協力:ドイツ観光局