
沖ノ島とは?
日本列島と朝鮮半島との間に位置する、福岡県宗像市に属する無人島です。東アジアにおける海を越えた交流が頻繁に行われた4世紀後半〜9世紀末の約500年間にわたり、古代から高度な航海技術をもった宗像地域の人々にとっての道標でした。航海の安全と交流の成就を祈り、貴重な奉献品を用いた祭祀が行われていたのです。
そのため、島全体が信仰の対象となり、人々の間に厳しく入島を制限する禁忌などの慣習が根付いていきました。
なかなかの厳しさ、沖ノ島の禁忌
沖ノ島で見たり聞いたりしたものは、他言無用とされています。また、沖ノ島からは一切何も持ち出してはいけません。また、沖ノ島への上陸は通常禁止。上陸を許された場合や、日々、奉祀を行う神職であっても、必ず最初に着衣を全部脱いで海に浸かり、心身を清めなければいけません。禊を行わず、島内に入ることはできないのです。
さらに女人禁制で、四本足の動物を食べること、縁起の悪さを連想させる「忌み言葉」を使うことが禁止になっています。
現在では、5月27日の沖津宮現地大祭で、一般男性が200名に限り、沖ノ島に渡って参拝することができる唯一の機会に。このときも島の禁忌は厳格に守られています。
移り変わる祭祀の場!発見された約8万点すべてが国宝に

沖ノ島の遺跡(複製) image by Saigen Jiro from Wikipedia
沖ノ島の祭祀は、時代とともに場所が変わっていきます。対外交流が活発化した4世紀後半は、巨岩の上で祭祀を実施。続いて、5世紀後半になると、祭祀の場はひさしのように突き出た巨岩の陰へと移動。なんとこの場所からは、鉄製武器や刀子・斧などのミニチュア製品のほか、イラン製のカットグラス碗片も発見されています。
さらに巨石の陰での祭祀が終わる頃には、半岩陰へと祭祀の場が移動。この場所からは、金銅製の紡織具や人形、琴、祭祀用の土器といった奉献品が見つかっています。
8世紀になると、巨岩群からやや離れた露天の平坦な場所に祭祀が移ります。大きな石を中心とする祭壇のような遺構の周辺からは、穴を開けられた祭祀用の土器をはじめ、さまざまな土師器・須恵器や、人形・馬形・舟形などの滑石製形代が発見されています。
宗像三女神の信仰とは?

沖ノ島に鎮座する宗像大社沖津宮 image by Indiana jo from Wikipedia
沖ノ島に宿る神に対する信仰から、古代王族の宗像氏が育んだのが、今日も受け継がれている宗像三女神への信仰です。宗像神社は、約60kmの広がりを持つ範囲に、3つの離れた信仰の場、「沖ノ島の沖津宮」、「大島の中津宮」、「九州本土の辺津宮」からなる神社で、三宮それぞれが古代祭祀遺跡を起源とする生きた信仰の場になっています。
また、三女神は年に一度の「みあれ祭」で、漁船の大船団によって辺津宮にそろいます。これは中世の神事を復興して行っているものです。そのため、宗像地方における現代の宗像三女神の象徴になっているといえます。
ぜひ訪れたい! 沖ノ島にもっとも近づける場所
渡島できない沖ノ島にもっとも近づけるのは、大島の北側の海辺に位置する沖津宮遙拝所です。遙拝所の社殿は、沖ノ島をご神体として拝む拝殿があります。空気が澄み切った日に訪れれば、水平線上に浮かぶ沖ノ島をはっきりと望むことができますよ。
この場所を訪れることで、太古から息づく厚い信仰を感じて、神聖な気持ちになりそうですね。
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Ayami ライター
都内在住のフリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。
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