
相模湾に面した伊豆半島屈指の温泉街・伊東へ

「釣り」という遊びは恐ろしいもので、その魅力に取り憑かれると、すべての外出先で「竿が出せないか?」と考えてしまうようになります。私も10代の頃から釣りに興じていますが、旅行や出張中のスキマ時間での実釣を企てる時間や、外出先で水辺を覗き込む瞬間は今でもワクワクしてしまいます。
6月下旬、私は仕事の都合で伊豆半島を訪れていました。日中のうちにすべての予定を消化し、同行者をJR伊東駅へ送り届けたところで任務完了となりました。この時点で時刻は17時過ぎ。このまま帰宅の途に就いてもいいのですが、時間的に渋滞に巻き込まれるのがオチ。身動きも取れずに車中に拘束されるこの時間は、私にとって大きなストレスになります。
それならば、食事も入浴も済ませてしまい、ついでに短時間だけでも釣りを楽しんで帰る。仕事に対するモチベーションを上げ、フラストレーションを溜めない意味でも、ストレス要因の回避は重要なのです。
人気の駅弁と温泉を優先した結果、釣りは後回しに
そうと決まれば、行動は明確になります。まずは伊東駅前の商業施設に立ち寄り、当地で人気の弁当店「祇園」のいなり寿司を購入。人気店だけにお昼時で売り切れていることが多いのですが、この日は運良く確保できました。

続いては入浴。名湯がひしめく伊豆半島にあって、伊東温泉は日本最大級の湯量を誇る一大温泉地です。市内には地元の人が通う共同浴場がいくつもあり、熱々の温泉がリーズナブルに楽しめます。

私が立ち寄ったのは「玖須美温泉会館 毘沙門天芝の湯」。駐車場が完備されているうえに、浴室も広々として観光客にも人気の施設です。

熱めの湯で日中の疲れを癒やしたら、海を見ながら早めの夕食。祇園のいなり寿司は甘辛い味付けが特徴で、これまた疲れた体に染み渡ります。
温泉からご当地駅弁への継投で至福の時間を過ごし、この時点でかなり満足しましたが、本番はこれからです。日が暮れてすっかり閑散とした伊東港内に移動し、常夜灯が煌々と輝く岸壁で釣りの準備を始めます。

日没後も明るい伊東港内の護岸で小魚と戯れる夜

常夜灯に照らされた港内の水面をのぞくと、光に集まったプランクトンや小魚がパシャパシャと波紋を立てていました。この状態なら何かしら釣れるはず。ハリを結んだ糸に軽いオモリを打っただけのシンプルな仕掛けを組み、ハリにアオイソメを刺して岸壁際にそっと落とします。
すると、オモリが底まで着く直前に竿先が「ブルルルッ!」と震えました。掛かっていたのは13cmほどのメバル。煮付けなどでおいしい魚ですが、さすがに小さすぎるのでそっと海に返します。ただ、すぐに魚の反応が出たことはうれしいもので、こうなるとやめ時が難しくなります。

同じ場所で2〜3回仕掛けを落としては数歩移動し、岸壁を探り歩きます。日中は誰も竿を出さないような港奥の岸壁ですが、魚の着きは良好。飽きない程度にアタリが出ます。ただ、掛かるのは同じようなサイズのメバルばかり。たまに同じくらいのカサゴも掛かりますが、晩の肴としてお持ち帰りできそうなサイズは登場しません。
2時間ほどメバルやカサゴを釣っては放すのを繰り返し、1パック分購入したエサがなくなったところで竿をしまいました。結局、サイズアップは叶わなかったものの、ひっきりなしに魚が掛かったことで、時間を忘れてつい熱中してしまいました。
帰宅時間はかなり遅くなりましたが、駅弁に温泉、さらには釣りも楽しんでストレスや疲れは大いに解消されました。仕事とはいえ、せっかく伊豆まで来たのですから、こうして満喫するくらいがちょうどよいのではないでしょうか。
何かと理由を付けては釣りを楽しもうとする、釣り愛好家の言い訳でございました。
[All photos by オオモトユウ]
oomotoyuu 編集者/ライター/フォトグラファー
スポーツウエアメーカー勤務、雑誌編集などを経てフリーライターに。好きなことを仕事に選び続けた結果、周囲からは「ラクをして生きている」と思われているのが悩み。四国、北海道については愛車で単独周遊済みなので、九州に照準を定めている。旅先での酒場巡りとノルウェー旅行の再開に思いを募らせる日々。
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