
現在も稼働!本州最南端の海を守る150年前の灯台
【樫野埼灯台の歩み(抜粋)】
1868年(明治元年):イギリス人技師リチャード・ヘンリー・ブラントンが来日
1870年(明治3年):ブラントンによって樫野埼灯台が建設される
1954年(昭和29年):改修工事が行われる

和歌山県の串本町は本州最南端の町。サンゴが生息する豊かな海が広がり、カツオ漁やマグロの養殖が盛んに行われています。
そんな串本町には橋でつながる紀伊大島があり、島の東端の断崖には日本最古の石造り灯台「樫野埼灯台」があります。空と海の青を背景に太陽の光を浴びて白く輝く灯台は、まるで絵画のような美しさ。
およそ150年前に建てられた灯台ですが、今も夜になると自動点灯でライトが灯り、現役で活躍しています。
建設のきっかけは幕末の開国!

ペリー来航をきかっけに、江戸幕府は鎖国政策から開国へ転換。イギリス・フランス・オランダ・アメリカの4カ国との間で「江戸条約」が結ばれ、海外から来航する船の海難事故防止のために全国8カ所に灯台の設置が行われることになりました。
そして1868年(明治元年)、灯台建設主任技術者として、イギリス人技師リチャード・ヘンリー・ブラントンが明治政府に招かれ来日。ブラントンが日本で最初に手掛けたのが樫野埼灯台でした。
樫野埼灯台は高さ10.2mの回転式閃光灯台で、1870年(明治3年)に完成。その後もブラントンは日本各地を飛び回り、7年半の間に26もの灯台を建設。「日本の灯台の父」と呼ばれています。
樫野埼灯台の水仙の花畑に隠された思い

樫野埼灯台の周辺には水仙が群生し、花の名所としても親しまれています。実はこの水仙、かつてこの地に常駐していたブラントンが、故郷を偲んでイギリスから取り寄せ植えたものと伝わっています。
150年の時を経て、今もなお、美しい花を咲かせる水仙。現在は10万本以上にも増え、毎年冬になると水仙の真っ白い花畑が出現し、辺り一面が甘い香りで包まれます。

ブラントンの故郷は、イギリスの最北端に位置するスコットランド。同地は断崖絶壁に囲まれ、海から寄せられる波が打ち付ける、荒々しくも雄大な景色で知られています。もしかすると、断崖に佇む樫野埼灯台から見える景色も、故郷スコットランドの風景とどこか重なる部分があったのかもしれません。
現在ほど技術が発達していなかった時代に、大航海を経て遠い異国の地にたどり着くのは、まさに命がけの旅。灯台建設という日本での重要な使命を終え、生きて再び故郷の地を踏める日が来るまで、水仙の花はブラントンの心の支えとなっていたことでしょう。
内野 チエ ライター
Webコンテンツ制作会社を経て、フリーに。20歳で第1子を出産後、母・妻・会社員・学生の4役をこなしながら大学を卒業、子どもが好きすぎて保育士と幼稚園教諭の資格を取得、など、いろいろ同時進行するのが得意。教育、子育て、ライフスタイル、ビジネス、旅行など、ジャンルを問わず執筆中。特技はワラビ料理と燻製作り。
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