
140年前のまま今も時計が動く札幌市時計台
【札幌市時計台の歩み(抜粋)】
1878年(明治11年):札幌農学校演武場として建設される
1879年(明治12年):時計がニューヨークから届く
1881年(明治14年):時計塔が完成する
1906年(明治39年):札幌区が時計台を買い上げる
1961年(昭和36年):札幌市の有形文化財第1号に指定される
1970年(昭和45年):国の重要文化財の指定を受ける
1996年(平成8年):「日本の音風景百選」に選定される
2009年(平成21年):「機械遺産」に認定される

札幌市時計台は140年以上前につくられた日本最古の時計台です。白い壁に赤い屋根のレトロな佇まいが時の流れを感じさせ、札幌市の観光名所としても人気のスポット。時計台の正式名称は「旧・札幌農学校演武場」といい、建設にはクラーク博士が関わりました。
北海道開拓の歴史と深い結びつきがある建物で、国の重要文化財にも指定されており、時計は明治時代に設置された当初と同じもので、今も現役で動き続けています。
アメリカから海を超えてやってきた時計

日本最古の時計台が誕生したのは1878年(明治11年)。現在の北海道大学の前身である「旧・札幌農学校」の演武場として建てられました。
当時、北海道は明治維新後から政府によって開拓が進められ、街づくりが急ピッチで行われていました。札幌農学校は北海道開拓の指導者を育成する目的でつくられ、演武場は農学校生徒の兵式訓練や入学式・卒業式などの式典を行う講堂として利用されました。
実は演武場が完成した当初は、時計塔はありませんでした。演武場の完成式に出席した黒田清隆開拓長官が時計の設置を命じ、ニューヨークから塔時計が取り寄せられたということです。
しかし、1879年(明治12年)に届いた時計があまりに大きく、そのままでは設置できないことがわかりました。そこで演武場を改修することに。新たな時計塔をつくって設置が完了し、ようやく時計が動き出したのは2年後のことでした。
1903年(明治36年)に農学校は現北海道大学のキヤンパスに移転しましたが、演武場はそのまま札幌区が借り受け、やがて市民の間で「時計台」と呼ばれるようになりました。
1906年(明治39年)に札幌区が時計台を買い上げた後は、1911年(明治44年)から1966年(昭和41年)までの長きにわたって時計台は図書館や公会堂として利用され、市民の文化活動の中心拠点として親しまれてきました。
そして、1961年(昭和36年)には、札幌市の有形文化財第1号に指定され、1970年(昭和45年)に国の重要文化財の指定を受けました。さらに、1996年(平成8年)、「日本の音風景百選」に選定され、2009年(平成21年)には「機械遺産」にも認定されました。
「少年よ、大志を抱け」のクラーク博士ゆかりの地
時計台はそのレトロな外観から、撮影スポットとして知られていますが、館内も見て回ることができます。1階には時計台の歴史を伝える資料やパネルの展示があり、ボランティアが解説を行ってくれることもあります。
2階部分は演奏会や講演会を行うホールになっており、ベンチに腰掛けるクラーク博士の像と一緒に記念撮影もできますよ。
クラーク博士といえば、「Boys, be ambitious(少年よ、大志を抱け)」という言葉がよく知られていますね。実はこの言葉は、札幌農学校の1期生との別れの際に、馬上からクラーク博士が叫んだと伝わっています。
新時代の幕開けを推し進める明治政府のもと、北海道開拓のリーダーとなるべくして教育を受けてきた1期生たち。これから世に出ようとする若者に向けて、クラーク博士はきっと万感の思いでこの別れの言葉を掛けたことでしょう。
「Boys, be ambitious」は、まさに北海道の開拓精神を象徴する言葉。時計台を訪れたときは、この言葉を合言葉に、クラーク博士像と記念撮影をしながら、当時の北海道に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
[Photos by Shutterstock.com]
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内野 チエ ライター
Webコンテンツ制作会社を経て、フリーに。20歳で第1子を出産後、母・妻・会社員・学生の4役をこなしながら大学を卒業、子どもが好きすぎて保育士と幼稚園教諭の資格を取得、など、いろいろ同時進行するのが得意。教育、子育て、ライフスタイル、ビジネス、旅行など、ジャンルを問わず執筆中。特技はワラビ料理と燻製作り。
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