「女性専用車両」は設定位置も時間帯も違う!【日本東西・文化対決】

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Aug 12th, 2022

東西南北に国土が広がる日本では、西日本と東日本とで生活習慣や文化などが異なることもよく注目されますよね。日本各地を旅したとき、それぞれの地域で違う常識を知ることも、旅の楽しみのひとつではないでしょうか? そこで今回は、旅行でも普段の暮らしでも大活躍する「鉄道」について研究してみました。

女性専用車の表示
>>なぜ日本人は痴漢するの?【日本人の不思議を読み解くシリーズ】

女性専用車両の位置が関東と関西(近畿)で違う

女性専用車の案内
Ned Snowman / Shutterstock.com

TABIZINEの読者は女性が多いので、女性専用車両に乗るケースも多いと思います。さらに言えば、東京を中心とする関東の人が読者に多いので、女性専用車両の位置は電車の最後部、あるいは先頭車両のイメージがあるのではないでしょうか?

男である筆者は、現在でこそ富山で暮らしていますが、もともとは東京で生まれ埼玉で育ち、大学時代は実家から都内の大学に通って、社会人になってからは神奈川に暮らし都内に通勤していました。

ですから、さまざまな関東の電車に乗りましたが、女性専用車両の位置は先頭車両、ないしは最後部の車両だったと記憶しています。

例えば、改札から一番近い階段でホームに降りたとします。ホームには電車が停まっています。しかし、階段から最も近い車両は電車の最後部。出発の音楽が流れると、後ろから2番目の車両まで慌てて走ったケースも多々ありました。

しかし、先頭または最後部車両のイメージが関東では強い女性専用車両も、関西(近畿)では違っているとご存じでしたか?

先頭または最後部は近畿ではわずか13%

女性専用車
Ned Snowman / Shutterstock.com

総務省近畿管区行政評価局がまとめた資料によると、関東にある46路線のうち、41路線(89%)が先頭または最後部車両に女性専用車両を設定しているとわかります。

しかし一方で、近畿の31路線を見ると、先頭または最後部車両に女性専用車両を設定している路線はわずか4路線(13%)、連結した車両の中間に設定している路線の方が、圧倒的に多い(27路線)とわかります。

例えば、「JR西日本」の「大阪環状線」も「ゆめ咲線」も中央車両に女性専用車両が設定されています。大阪メトロの「御堂筋線」なども全10両のうち6号車に設定されています。

しかも、JR西日本などは、平日だけでなく、土日休日を含む始発から終電まで、女性専用車両が常に設定されています

関東で育った筆者の感覚からすると、女性専用車両は、平日朝の通勤・通学の時間帯に見掛けるイメージです。

現に、関東の私鉄である「西武鉄道」の公式サイトを見ても、「小田急電鉄」の公式サイトを見ても、「JR東日本」の各線の状況を見ても、平日の上り路線、ラッシュ時にしか女性専用車両が設定されていません

要するに、関東と関西では、女性専用車両の位置も設定時間も違っているのですね。

痴漢発生件数がラッシュ時と大差ない

ホームの女性専用車の表示
Ned Snowman / Shutterstock.com

その理由としては、関西の私鉄各社に取材した「東洋経済オンライン」の良記事が参考になります。

ホーム終端に出入口があり、最後部車両が混雑している路線では、最後部車両に女性専用車両を設定すると大きな混乱が生じる可能性があるからだとか。

また、平日のラッシュ時以外にも女性専用車両を近畿の鉄道会社が設定する理由は、ラッシュ時以外の痴漢発生件数が、ラッシュ時と大差ないと分析で判明したからなのだとか。

関東に暮らしている人が関西に旅行・引っ越しする場合、逆に、関西に暮らしている人が関東に旅行・引っ越しする際には、この違いについて事前にしっかり理解しておいたほうが、無用なトラブルに巻き込まれずに済みそうですね。

[参考]
女性専用車両のご案内 – 大阪メトロ

別紙 – 総務省近畿管区行政評価局

女性専用車 – JRおでかけネット

女性専用車両 – 西武鉄道

女性専用車のご案内 – 小田急

女性専用車のご利用について – JR東日本

「女性専用車両」、関東と関西でまったく違う出張の時に間違えたこと、ありませんか – 東洋経済オンライン

[All photos by Shutterstock.com]

>>【特集・こんなに違う日本の文化】知らないと恥をかく!?うどんの出汁も行事・習慣も別世界!

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

SHARE

  • Facebook