満天の星空のように輝く、美しすぎるブルーの光。この完璧な美しさは、なにか人工物にも思えてしまいますが、じつは自然の光景。ここは、ニュージーランドの北島にある「ワイトモケーブ(waitomo glowworm caves)」という、地下洞窟の中です。
そして、天井に星のように輝いているのは、ライトではありません。・・・じつはこれ、幼虫なのです! 通称「土ボタル」といわれるハエの幼虫の一種で、土ボタルが青白く光のは、洞窟内の獲物をおびきよせるためだそう。青い光が天井から垂れ下がってみえるは、土ボタルが獲物をとるために出す透明な粘着性の糸のせいなのですが、それさえも幻想的です。
しかし、世の儚さというべきか、土ボタルの寿命はたった数日間。孵化(ふか)してから青白く光る幼虫に、そして数日間で成虫になるそうなのですが、成虫には口がなく、産卵をしたら死んでしまいます。
そんな、切なくて美しい土ボタルの輝きは、ワイトモケーブの公式インスタクラム(@legendaryblackwaterraftingco、@glowwormcaves)でもご覧いただけます。写真からは、天の川のような、宇宙のような、地下とは思えない輝きを感じられるはずです。
さて、この洞窟がすごいのは「土ボタル」だけではありません。
数千万年前の古のときから、自然の力によってつくられた白い鍾乳石もまた、神秘的なのです。
洞窟の入り口から、土ボタルたちのところまで続く、白い鍾乳石。一センチ伸びるのに100年以上かかるとか。この鍾乳石は、数千万年のときをかけて自然に形成されたそうです。そして、静かに今にいたるまで守られてきました。
土ボタルが生息する洞窟は、世界でもとても稀少だそうで、一見の価値ありです。実際に訪れると、鍾乳石にも、虫とは思えない青い輝きにもとても感動します。
ワイトモケーブ(waitomo glowworm caves)では、随時見学ツアーが組まれていますが、事前にインターネット予約をしておくと安心です。
光るために生まれた儚い命。
その命が生み出した感動の光景。
この洞窟には、そんな地球の神秘が息づいているのです。
[取材:米田ロコ]
[参照:Waitomo Glowworm Caves、instagram/@Legendary Black Water Rafting]
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