北から南まで47都道府県、小さな日本なのに風土、文化、方言、県民性がそれぞれ違います。そして同じ日本人であっても、食の好み、考え方や気質、肌色、体型も異なりますね。
TABIZINEでは、各都道府県が持つ個性に着目し、「ちょっと面白い都道府県ランキング」をシリーズでお届けいたします。
そろそろ夏が近づいて、アイスクリームが美味しい季節ですね。男女年齢を問わず、アイスクリームは誰でも大好きなスイーツ。大人でも、アイスクリームを目の前にするとニッコリと機嫌が良くなりますよね。
さて、47都道府県別ランキングで、一番アイスクリーム好きなのは、どこの県でしょうか。「都道府県別統計とランキングで見る県民性」のアイスクリーム・シャーベット消費量(2016年)の統計に基づいた結果を見てみましょう。私たちの予想を超えた、意外な結果が出ていますよ。では、第1位からご紹介いたします。
アイス消費量 第1位 石川県(2016年/一世帯年間10,480円)
兼六園
写真提供:金沢市
アイスクリーム好き全国第1位は、石川県でした。加賀百万石の城下町金沢は茶道が発達した町で、洗練された和菓子でも知られます。歴史の背景が影響するのか、石川県民はかなりの「甘党」。
過去まで遡ると、甘党3冠王に輝いています。
観光客に人気の金箔アイス
アイス消費量 第2位 富山県(2016年/一世帯年間9,780円)
五箇山合掌造り集落(新緑)
公益社団法人 とやま観光推進機構
第2位は富山県。石川県と富山県と北陸地方が、トップ2を占めました。冬のイメージがある2県が、アイスクリーム大好き県なのは、何故なのでしょうか。
北陸でアイス人気の理由を、富山県在住ライターが解き明かす
不思議に思った筆者は、TABIZINEをはじめ広くご活躍中の、富山県在住のライター坂本正敬氏にアイスクリーム事情についてお伺いいたしました。坂本氏は、富山県の観光ガイドもされており、富山県はもちろん石川県にも精通されています。坂本氏に、両県がアイスの消費量トップ2の結果について見解をお伺いしました。仮説の検証として、他の都道府県のスーパーマーケットにおけるアイスクリームの販売事情をチェックしたわけではないので、あくまで現地在住者の体験からの見解になります。
■理由その1 大手スーパーでアイスが激安
アイスが4割引きから半額とは、なんとも羨ましいですね。冷凍庫に余裕があれば、常に買っておきたいところです。
■理由その2 一年中アイスクリームを食べたい気候
石川県、富山県とも日本海に面する北陸地方ゆえ、一般には寒いイメージがあります。ところが、年間平均気温ランキング(2010年)を見てみると、石川県 第33位(14.6度)、富山県 第36位(14.1度)と年間に均してみるとそれほど低くはないのですね。石川県金沢市は「弁当忘れても、傘忘れるな」と言われる雨が多い地域。年間雨日数ランキング(2010年)では、石川県第1位、富山県は第2位でした。また富山県は、年間相対湿度(2010年)ランキングで第1位、石川県は第14位でした。雨量が多いということは、湿度も高い傾向ですね。湿度が高いと、実際の気温より暖かく感じますので、アイスクリームが美味しく感じるのかもしれませんね。
■理由その3 世帯人数の多さ
三世代世帯人数ランキング(2015年)で、富山県は第5位、石川県は第18位。東京、神奈川県、大阪府の一人暮らし率または核家族率が高い地域と比べると、消費量は高くなりますね。
坂本氏の見解で、北陸2県アイス好きの理由が良く理解できました。ご協力ありがとうございました。
富山県で人気のアイスクリーム店は、「ソフトクリーム畑」だそうです。インスタ映えしそうな魅力的なアイスクリームがいっぱい。富山県へ旅する時は覚えておきたいですね。
アイス消費量 第3位 栃木県(2016年/一世帯年間9,170円)
華厳の滝
公益社団法人 栃木県観光物産協会
第3位は関東圏で、栃木県でした。栃木県も甘党が多く、お菓子消費量(2012年)が第3位、チョコレート消費量(2012年)が第5位です。また、三世代世帯人数(2015年)が第14位ということで、一世帯の消費量が多くなるでしょう。
イチゴ生産量(2010年)第1位の栃木県で人気のイチゴのジェラート。
ジェラート(ストロベリー・フィールズ) 益子町
公益社団法人 栃木県観光物産協会
アイス消費量 最下位(第47位) 沖縄県(2016年/一世帯年間6,566円)
アイスクリームを全国で最も食べない(消費金額が少ない)県は、南国の沖縄県でした。沖縄県といえば、ブルーシールのアイスクリームが浮かぶ筆者にとっては衝撃の結果。
沖縄県民は、本当にアイスクリームを食べないのでしょうか。
熱帯夜が多い沖縄県
残波岬 沖縄県
南国でも猛暑にはならないものの(年間猛暑日数2010年第46位)、昼と夜の気温差が少ないと言われます。そのため年間熱帯夜日数ランキング(2010年) は、ダントツ第1位(年間99日)。第2位の鹿児島県(51.6日)の約2倍の熱帯夜です。
一般社団法人アイスクリーム協会によると、「一般に、アイスクリームは 気温が22~23Cを超えるとよく売れ、30Cを超えると氷菓やかき氷が売れるようになると言われており、気温と密接な関係にあります」。
猛暑日(35℃以上)にならないとはいえ、7-9月の沖縄は最高気温30℃前後。最低気温との差が少ないとなると、喉が乾くアイスクリームより、もっとサッパリしたものが欲しくなるでしょうね。シークヮーサーのジュースやさんぴん茶などのドリンク。沖縄産のフルーツ。アイスにしても、ソーダやフルーツのバータイプが好まれるかもしれません。
噂の沖縄「氷ぜんざい」
金時豆たっぷりの氷ぜんざい
気温が30℃以上になって、冷たいさっぱりしたものといえばかき氷。巷では沖縄では「氷ぜんざいなるものが流行っているらしい」と評判。きび砂糖で甘く煮た金時豆のかき氷が、「沖縄氷ぜんざい」。沖縄では、氷をつけずに単に「ぜんざい」と呼ぶようです。南国では、あたたかいぜんざいは食べないのかも?
オキナワのひんやりスイーツ 傑作9選 リッカドッカ沖縄ナビ
https://rikkadokka.com/special/0082/
沖縄に来たら食べたくなる!沖縄の定番スイーツ「沖縄ぜんざい」がおいしいお店 6選
沖縄CLIP
http://okinawaclip.com/ja/detail/1046
季節のフルーツたっぷりのかき氷 美味しそう!
アイスクリーム・シャーベット消費量ランキング(2016年データ)
総務省の家計調査から、都道府県別アイスクリーム・シャーベット消費量ランキング。家計調査は全国から9000世帯を抽出して調査しており、この中から単身世帯を除いた二人以上の世帯の購入量を調べた。一般世帯における購入量と消費量はほぼ同じと考えて、ここでは消費量としている。家計調査には県庁所在地と政令指定都市の数値が掲載されており、政令指定都市がある県は政令指定都市と県庁所在地の平均値を、政令指定都市がない県は県庁所在地の数値を県の消費量としている。また、年による変動が考えられるので直近5年間の平均値をとっている。
都道府県別統計とランキングで見る県民性 より抜粋
アイスクリーム・シャーベット消費量ランキング(2016年データ)トップ10及び最下位(第47位)は、下記の通りです。
第 1位 石川県 10,480円
第 2位 富山県 9,780円
第 3位 栃木県 9,170円
第 4位 山形県 9,053円
第 5位 埼玉県 9,038円
第 6位 神奈川県 8,944円
第 7位 東京都 8,916円
第 8位 福井県 8,913円
第 9位 鹿児島県 8,900円
第10位 高知県 8,897円
第47位 沖縄県 6,566円
意外な結果と思いましたが、それぞれ理由があっての結果でした。地域の気候や家族形態と結びつく「都道府県ランキング」。あなたの予想と一致したでしょうか。
それにしても、アイスクリームランキングを見ているうちに、アイスクリームが食べたくなりましたね。ちょっとアイスクリームを買いに行こうかなと思ったのは、あなたも同じかもしれませんね。
《Special Thanks》ライター坂本正敬氏
参照サイト
[都道府県別統計とランキングで見る県民性]
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