様々な人種が暮らすアメリカでは、数多くの種類のレストランがありますが、その中でもアメリカの北東部の州に多い「ダイナー」と呼ばれるタイプのレストランをご存知ですか?
アメリカの大衆食堂的な位置づけのダイナーでは、ハンバーガーやサンドイッチ、フライドポテトやミルクシェイクなどお馴染みの食事が提供され、日々アメリカ人の胃袋を満たしています。まるでアメリカ映画に入り込んだような内装や、ボリュームたっぷりの料理もダイナーの魅力。今回はアメリカに来たら是非行って欲しい、 ダイナーの楽しみ方をご紹介します。
ダイナーの起源
ダイナー(Diner)という言葉はもともとダイニングカー (Dining Car)から派生したとされており、列車の食堂車の形をしたレストランという意味合いがあります。1850年代のアメリカはロードアイランド州で、当時印刷局で働いていたウォルター・スコットという青年が、仕事の傍ら夜間に労働者やパーティ帰りの人たちのために移動式貨物車でサンドイッチやコーヒーなどの軽食を売り始めたことが事の始まりとされています。
1870年代には商売が軌道に乗り、同じように軽食を売り出す人たちが増えていき、後のダイナー誕生へとつながったそうです。
その後より大きく快適な移動式貨物車を売り出す会社や企業が増えていき、客が外の天気に関わらず車内で快適に軽食を楽しめるようになりました。特に夜遅くまで働く夜間労働者の間では、夜8時過ぎでも開いているダイナーの存在意義は大きかったようです。
その後の経済不況の時代の流れを受けても、安い食事を提供するダイナーの人気は衰えず、それまでの移動式だけでなく固定の場所に建つダイナーもアメリカ各地の都市部と郊外に増えていきました。
ぱっと見てすぐにわかる!派手なサインとレトロアメリカな内装が特徴
(C) Yoko Nixon
現在のダイナーの多くは通常のレストランと同様固定の場所にある場合が多いです。「Diner」というサインを強調してあるため、他のレストランとは違うことが外観からもわかりやすいのが特徴。またダイナーの多くは内装にもこだわっており、レトロな雰囲気を醸し出すデコレーションや家具を使っているお店が多いです。 時代を感じられるダイナーの見た目は、映画に出てくるような内装が印象的です。
こちらのダイナーではグリーンとピンクを基調にし、壁一面に昔のアメリカ映画や野球のスター選手の写真が飾られていました
(C) Yoko Nixon
気になるメニューとその味は?
ダイナーの多くではサンドイッチやハンバーガーなどの軽食をはじめ、ワッフルやパンケーキ、卵料理やミートローフなどに至るまで、数多くの種類のメニューを提供しています。どの食事も$10以下で食べられるものが多く、そのボリュームを考えるととても良心的です。
朝ごはんからこのボリューム!
(C) Yoko Nixon
時間帯に限らずブレックファストメニュー(フレンチトーストやオムレツなど)が食べられるのも、ダイナーが人気の秘密です。気になるお味の方はというと、やや塩気が強いですがアメリカらしい食べ応えのある味です。ダイナー独特の雰囲気を気軽に楽しめることを考えると、決して試して損はないと思います。

アメリカ人に愛されるダイナーという食文化。旅行先で人気のレストランもいいけれど、少し趣を変えてレトロな雰囲気満載のダイナーで、映画の世界のように一杯のコーヒーをすすりながらアメリカの食文化を感じてみてはいかがでしょうか。
レトロアメリカな雰囲気が好きなあなたは、過去記事『掘り出し物が見つかるかも。映画の中のようなアメリカのビンテージショップ』もぜひ!
参照
[americandinermuseum.org]
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