佇まいが絵になる車。メキシコの「ビートルがある風景」がカッコ良すぎる!

Posted by: Miho Nagaya

掲載日: Sep 25th, 2014

メキシコを象徴する車、ビートル

メキシコの町では、カブトムシのようなポッコリとしたフォルムのフォルクスワーゲンのセダン車、ビートルを良く見かけます。メキシコシティから車で約2時間半のプエブラ州で、1967年より国内やヨーロッパ向けにビートルの生産が始まり、2003年に終了となりました。その生産総台数は2135万台にもなります。そんなことから、メキシコでは長い間、国内のタクシーの車体として使用されていました。メキシコでビートルは、VOCHO(ボチョ)という愛称で親しまれています。

佇まいが味になる車、メキシコのビートル
メキシコシティで2007年に撮影したビートルタクシー © Miho Nagaya

現在では政府の規制により、ビートルを使ったタクシーを見ることもなくなりました。しかし、町では大切に乗り続けられているクラシックなビートルの姿をよく見かけます。

愛着を感じるフォトジェニックなビートルの数々

現役のクラシックなビートルの写真を紹介していきましょう。

佇まいが味になる車、メキシコのビートル
先住民ウィチョール(HUICHOL)の伝統工芸である、ビーズ細工でデコレーションしたワーゲン=VOCHOL(ボチョール)。なんと、小さなビーズをひとつひとつ手で貼付けている © Miho Nagaya

ビートルが家族の一員のようなメキシコ映画、『マルタのことづけ』

愛嬌のあるビートルが象徴的に登場する映画が、メキシコ出身のクラウディア・サント=リュス監督、『マルタのことづけ』です。4人の子どもたちを育てるマルタと、孤独な若い女性クラウディアが、入院先の病室で出会い、交流を深めて行く姿と、その別れを描いた作品で、映画は監督の体験をもとに作られています。

映画『マルタのことづけ』10月18日(土)シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー。

劇中で、マルタ一家の重要な足となるのが、1970年代の黄色のビートル。ビートルを選んだ理由について、監督が応えてくれました。

佇まいが味になる車、メキシコのビートル
クラウディア・サント=リュス監督。メキシコシティの自宅にて撮影 © Miho Nagaya

「私がマルタと知り合ったときに、黄色のビートルを持っていて、その車は彼女たち一家の歴史をすべて見てきたような存在だった。それが、強く記憶に残っていて、映画『マルタのことづけ』を撮影する段になり、どうしても黄色のビートルを登場させないといけないと思った。実際の家族はビートルをだいぶ前に売ってしまったので、映画の制作費で家族が持っていたビートルと同型のものを購入した。そのマニュアルの運転が難しくて、長女を演じた女優は、危うく事故を起こすところだったけど、無事に撮影を終えることができた。あのワーゲンは、ロケ終了後に実際のマルタ一家にプレゼントしたの。今は、19歳になた末っ子が、学校へ通うために乗っている」。

一家の一員だった黄色のビートルが、長い時を経た後に再び一家のもとにやってくるなんて、素敵なエピソードですね。車でありながら、温かみを感じさせるビートルは、人に特別な思いを抱かせるのかもしれません。


『マルタのことづけ』予告編

PROFILE

Miho Nagaya

長屋美保 ライター

メキシコシティの路地裏から見た生のラテン文化や社会を追い続けるフリーライター兼なんでも屋。雑誌、WEB、ラテン圏アーティストのCD解説、映画、コンサートのパンフレットなど、メキシコを中心としたラテンアメリカの記事を日本の媒体に執筆するほか、リサーチやスペイン語⇔日本語翻訳も行う。情報サイトAll Aboutのメキシコ公式ガイドでもある。

メキシコシティの路地裏から見た生のラテン文化や社会を追い続けるフリーライター兼なんでも屋。雑誌、WEB、ラテン圏アーティストのCD解説、映画、コンサートのパンフレットなど、メキシコを中心としたラテンアメリカの記事を日本の媒体に執筆するほか、リサーチやスペイン語⇔日本語翻訳も行う。情報サイトAll Aboutのメキシコ公式ガイドでもある。

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