江の島といえば、生しらすが有名。足が早いので、海の近くでしか食べられない珍味です。味付けは、生姜醤油、麺つゆ、ポン酢が一般的のようです。オリーブオイル、酢味噌、ごま油もおいしいと知り、食べ比べてみました。
貴重な生しらす
もしかしたら、生しらすを知らない人もいるかもしれません。カタクチイワシなどの稚魚で、釜揚げされる前のフレッシュなものです。半透明でつるつるしつつ、ちょっとゴリゴリした香ばしさがあります。
生しらすが獲れるエリアは限られていて、神奈川の三崎から静岡にかけてと、和歌山あたりになるようです。基本海沿いでしか買えませんが、冷凍をクール便で送ってくれるお店もあります。
神奈川では、毎年1月から3月の10日までが禁漁期間です。では、それ以外の時期である3月11日から12月であれば、いつでも食べられるかと思ったら大間違い。雨が降れば船は出ず、晴れても風が強ければ船は出ず。また漁に出ても、しらすが獲れないことはザラです。
毎年状況は変わるようですが、今年は春にはたくさん獲れたものの、夏はしらすが見当たらなくなり、10月半ばくらいから出てくるようになったそう。これは家の近くの魚屋さんにきいた話で、エリアにもよるかと思いますが。今年は台風が多かった影響もあるでしょうか。筆者も9月から魚屋さんに問い合わせ、何度空振りしたことか。
相模湾沿いでは、しらすが獲れた日は、魚屋さんに「生しらす」と書かれたのぼり旗が立ちます。スーパーに並ぶこともありますよ。
実は秋は、生しらすを食べるのにいい時期。魚屋さんによれば、春と秋では魚が違うようで、春のが黒っぽく苦みがあって、秋のが白っぽく味がマイルドだと。ようやく買えたので、150グラム入りを2パック買いました。あわせて1080円。これは、ちょっと安く買えたようです。
最初に氷水でざっと洗うと、身がしまっておいしいと言います。では、さっそく食べ比べてみましょう。
第7位 麺つゆ
初っ端から言い方は悪いですが、ちょっと下品な味。魚の出汁との組み合わせで良さそうなものですが。魚感が強すぎてしまって生臭く感じます。生しらすの良さがまるで感じられません。ただ、メーカーによってだいぶ麺つゆの味が違うので、相性がいいものもあるかもしれません。
第6位 胡麻油
普通においしいです。ユッケ風。ただ、生しらすの風味はあまり感じません。
第5位 酢味噌
味が濃い目ですが、ちょっと気が利いた味です。小料理屋で出てくる一品料理のような風情。
第4位 オリーブオイル
これはカルパッチョですね。生しらすの塩気があるので塩を振りませんでしたが、なめらかですいすい食べられます。第5位の酢味噌と同じくらいのクオリティでしたが、好みでこちらを第4位にしました。
第3位 ポン酢
先ほどの麺つゆに熟したスダチを絞りました。そしたら一気に爽やかに。さっぱり、臭みがなく、かなりおいしいです。麺つゆだけとは大違い。
第2位 生姜醤油
相当おいしいです。生姜でさっぱりして、生しらすとの相性は抜群です。おそらく地元で一番支持されている食べ方で、知人も魚屋さんもこの食べ方でした。
第1位 生卵&生姜醤油
やっぱりこれです。我が家の歴史では70年くらいはこの食べ方をしています。江の島のしらす専門店でも丼ものには卵が入ります。生姜醤油が卵でマイルドになり、なおかつ卵のコクがプラスされます。
ちなみに他の地元民には卵入りは邪道と言われます。卵が生しらすの良さを消してしまうと。でも筆者はこう言いたい。生姜醤油をつけて食べるとき、まったく生しらすの風味は消されないのですかと。醤油の味の方が勝っているのではないですかと。
卵がないとやっぱり物足りないです。家族もいつの間にか生姜醤油派に転向していましたが。生姜醤油もかなりおいしく感じるようになってはきましたが。ぜひ皆さんもお試しください。
[All photos by Shio Narumi]