ビザなしで渡航できる国が多く、2018年度は「世界一強力なパスポート」にもなっている日本のパスポート。けれどそんな我々にとっても気になるニュースが聞こえてきました。日本人が大好きな旅先でもあるヨーロッパ諸国に渡航する際に、「ETIAS」と呼ばれる手続きをしなくてはいけなくなるというのです。一体どのようなものなのか、一緒に見てみましょう。
「ETIAS」とは?
ETIASという言葉は、「EU Travel Information and Authorisation System」(欧州渡航情報認証制度)の略。簡単に言うと、「シェンゲン圏に渡航予定の(第三国のビザ免除)渡航者を事前にインターネット上で審査する仕組み」になります。いわゆる事前渡航認証で、2009年から義務化したアメリカのESTA(Electronic System for Travel Authorization=電子渡航認証)と近い内容になります。(ESTAについてはこちら※英語のみ)
欧州のシェンゲン協定加盟国へは、短期旅行であれば日本人はノービザで渡航でき、有効なパスポートさえ持っていればビザなどの事前手続きは必要ありません。けれど2021年1月1日より、域外からの渡航者に対し、この事前渡航認証の「ETIAS」が導入され、日本人にも適用されるようになってしまうのです。
シェンゲン協定について詳しくは、『ヨーロッパ旅行で知っておきたい「シェンゲン協定」ってなに?~EUとの違いや注意点~』でご紹介しています。
どの国への渡航に必要なの?
2019年1月現在では、以下のETIAS導入(予定)国へビザ無しで渡航する場合に必要であると公表されています。
アイルランドと、EU脱退が控えるイギリスは現時点ではETIASに加盟していないようです。けれど運用スタートまでまだ2年あるので、増減はあるかもしれません。
ちなみに、上記国に飛行機の乗り継ぎで空港に降り立つだけなら、ETIASは不要です(ただし空港の国際エリアから外に出る場合は申請が必要になります)。
ETIAS申請に必要な項目と所要時間
ETIAS申請には、以下のような渡航者の個人情報が必要になります。
氏名、生年月日、出生地、パスポート情報、住所、メールアドレス、電話番号、学歴、訪問予定の最初のEU加盟国、健康状況、犯罪歴、などなど。
「入力には10分もかからない」と言われていますが、問題なのは審査にかかる所要時間。問題なければすぐに承認が下りるという説もありますが、何かコンピューターの審査にひっかかる点があれば、改めて人の手によって審査が行われます。その審査には96時間(4日)から2週間も時間がかかると言われています。フライトまでに承認が下りていないと渡航できませんので、2週間以上前に申請することをお勧めします。
有効期限は?
ETIASの費用は、7ユーロ(2019年1月現在、約873円)になる予定。18歳未満のお子様は無料で申請できます。デビットカードまたはクレジットカードで支払い可能で、支払いが完了してからETIAS認証が処理がスタートします。取得したETIASの有効期限は3年。けれど、ETIASはパスポート情報と紐づけられているので、3年以内でもパスポートを更新したらそこで無効となってしまいます。その点をご注意ください。
また、シェンゲン圏内は従来より「滞在可能なのは180日の間の90日以内」という別ルールもあるので、旅行のプランを立てる時はその点も考慮が必要です。
「ETIAS」に関するあれこれ、いかがでしたでしょうか。前述のように本格導入は2021年1月を予定されています。そこまでには変更になっている項目もあるかもしれませんので、TABIZINEも引き続きウォッチしていきたいと思います。いずれにせよ、2021年以降にヨーロッパ(シェンゲン圏)に旅行する際は、早め早めに準備をしていきたいですね。
シェンゲン協定について詳しくは、『ヨーロッパ旅行で知っておきたい「シェンゲン協定」ってなに?~EUとの違いや注意点~』でご紹介しています。
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