田舎風にプロパガンダ、ホーチミンのおいしい今どきベトナム料理店５選

日本人の口に合うと評判の美食の国ベトナムでも、トップクラスのグルメシティがホーチミン。最大都市で、レストランの件数が多く、富裕層の割合も多いことから、おしゃれなレストランに足を運ぶ現地人が多いのです。そんなホーチミンでは、近年、田舎風やプロパガンダなど、新たなテーマを採り入れたおしゃれなベトナム料理店が人気。いるだけで楽しい気持ちになれるのはもちろん、味も折り紙付きです。

ベップ・メー・イン

観光客に大人気のショッピングスポット、ベンタイン市場近くに店を構えるのが、「ベップ・メー・イン」。大通りから一本入った路地裏にありながら、ひっきりなしにお客さんがやってくる大人気店です。

半オープンスタイルの１階には、トゥクトゥク型のレジカウンターや古びた自転車などが置かれ、レトロな雰囲気。店内席はテーブルのサイズが大きいので相席になることが多く、通りに面したテラスにもテーブルがあるので、東南アジアの屋台の雰囲気が味わえます。

それとは打って変わって、２階は田舎風のインテリアを採り入れた懐かしくもポップな空間。賑やかな１階とは違って、落ち着いた雰囲気のなかで食事を楽しむことができます。

メニューは、バインセオやフォー、春巻き、空心菜炒めなど、ベーシックなベトナム料理が一通り揃っています。ベトナム料理の伝統を大切にしながらも、食通のフランス人オーナーによる絶妙なアレンジが特徴で、素朴で優しい味わいながらも、洗練された料理の数々が楽しめますよ。

マウンテンリトリート

日本人旅行者や日本人在住者にも高い人気を誇る有名店が、マウンテンリトリート。レロイ通りに面した古アパートの最上階にある隠れ家ベトナム料理店です。

店名の「マウンテンリトリート」とは、「山へ還る」といった意味。「都会の喧騒から離れ、のんびりできる場所でありたい」という願いが込められており、インテリアは山のふもとで暮らす少数民族の家をモチーフにしています。テラス席やルーフトップ席からは、ホーチミンの夜景が見渡せ、ロマンティックなひとときを過ごせると大好評。

オーソドックスなベトナムの名物料理に加え、日本人が知らないベトナムの家庭料理や屋台料理にいたるまで、豊富なメニューは目移り必至です。メニューが写真付きで、旅行者にもどんなものかがわかりやすいのも嬉しいところ。

素材の味を生かしつつ、ピリッとスパイスを効かせるなど、バランスのとれた味付けは、毎日でも食べたくなってしまうほどです。

SHガーデン

大都会ホーチミンにいながらにして、南国リゾート気分を味わうなら、ドンコイ通りの一等地にある「SHガーデン」へ。

高級リゾートホテルのような優雅なレストランで、半オープンの店内は、開放感満点。ブルーとイエローを基調としたカラフルながらも上品な空間、「H」の形にデザインされたお花や、美しい模様のタイルなど、細部までこだわったインテリアは、どこまでもフォトジェニックです。

メニューは、多くが一品20万ドン（約960円）以上の高級プライスながら、見た目の美しさにもこだわった料理に、上質な空間とサービスは、ワンランク上のひとときをもたらしてくれるはず。ホーチミン滞在最後の日などに、記念として利用するのもいいでしょう。

プロパガンダ

ホーチミンでも指折りの個性派レストランが、その名も「プロパガンダ」。「プロパガンダ」とは、政治的意図をもって、個人や集団の行動を意図した方向へ向かわせようとするような宣伝のことを指します。ベトナムでは、ベトナム戦争時代にプロパガンダの存在感が高まり、カラフルでイラストが主流の独自のプロパガンダアートが生まれました。

サイゴン大教会近くに店を構えるプロパガンダは、その名の通り、壁一面にポップなプロパガンダアートを施したレストラン。クッションやナプキンにもプロパガンダで、卓上の小物類も共産主義チックなムードを醸し出しています。

ここで提供されるのは、ベトナムの家庭料理をアレンジしたヘルシーな創作料理。シグニチャーメニューは、揚げ豆腐やブラウンライスなどをトッピングした米麺「プロパガンダヌードル」。ベトナムの揚げ豆腐は、外はサクッ、中は柔らかくトロリとしていて絶品です。

ジ・マイ

ベンタイン市場やバックパッカーストリートの近くにある、今どきのベトナム料理店が「ジ・マイ」。観光地のど真ん中ではないからか、地元の人々の姿も目立ちます。

トゥクトゥク型のレジやノンラー（ベトナム笠）のディスプレイ、調理風景が見えるオープンキッチンなど、店内は屋台を彷彿とさせる造り。それでいて、モダンなホテルのロビーやラウンジのようにシックな要素も兼ね備え、キッチュでありながらも落ち着いた空間に仕上がっています。

メニューはバインミー（ベトナムサンドイッチ）やパパイヤサラダ、グリルチキンなど、家庭的なベトナム料理や屋台料理が中心。ベトナムコーヒーやトロピカルジュース、お茶、お酒など、ドリンクの種類が多く、デザートも豊富に揃っているので、カフェ代わり、バー代わりの利用もおすすめです。

今回ご紹介した5つのお店は、いるだけでワクワクするような空間に加え、味もハイレベル。日本でもよく知られた定番ベトナム料理だけでなく、知らなかった素朴なベトナムのおいしさを発見してください。

[All photos by Haruna]
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PROFILE

春奈

Haruna ライター

和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。

和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。