栄えた町並みと、歴史を濃縮した〈華甍~はないらか~〉
奈良県橿原市中部に位置する『今井町』は、かつてから〈大和の金は今井に七分〉と言われるほど栄えた町で、平成5年に「重要伝統的建築物群保存地区」の選定を受けています。東西に600m、南北に310m、17.4haの広さの地区に、伝統建築物は500棟と、その地区内数は日本一。地区を大きく取り囲む環濠跡、屈折した通り、牛馬をつなぐ駒つなぎと、外からの侵入を防ぎ、商業は栄えてきたようです。
散策の前後に『今井まちなみ交流センター〈華甍〉』で情報収集も。町のジオラマ、広い屋敷の縮小展示は細部まで細かく再現され、本当に人が住んでいるようです。
織田信長、明智光秀、豊臣秀吉など歴史に名を残す人物の書状も展示され、筆跡をじっくり見比べると、その筆圧や文字の表現から、教科書でしか知らない人物像をより身近に感じ、実際生きていた人なんだ、というリアルを改めて実感します。
こちらで予習をした後に、地図を片手に町を散策すると、町の景色もさらに感慨深く見えることでしょう。
生活を見学、体験。染みるのは奈良の言葉も。
材木商、米屋、造り酒屋、肥料商、金物問屋や、町最古の今西家住宅など重要文化財のお屋敷が今も残っています。旧米谷家など中を見学できる屋敷もあり、地元のガイドさんもいらっしゃり、歴史、家の造りとその工夫など丁寧に教えてくださいます。『今井まちや館』では使用人さんの寝泊まりしていた「厨子(つし)2階」への梯子を登ったり、窓を開け閉めしたりという貴重な体験も。町の繁栄の大きさ、生活の知恵の豊富さに深く頷きながら探検は続きます。
当時の暮らしの音が聞こえてくるような「一口釜戸」。
格子からもれる光が美しい。自然光と建築美の融合に見とれながら、ガイドさんの奈良言葉は穏やかに時間を刻んでいきます。
視界は発見のオンパレード!
憩いの場の公園、可愛いカフェなど休憩できるスポットの隣には、時代を思わせる建築物。
屋根瓦、軒下、マンホールなどにレトロ模様の細工が施されていて「かわいい・おしゃれ」な発見も。
所々に町の生活用品や今井町の画が展示され、見るものすべてが博物館!
玄関先にちょこんと生けられた小花からも、今でも日常生活を過ごされているのがうかがえます。地図に気をとられすぎず、狭い通りでの散策は車にもご注意ください。
守り栄えた町並みは、今も人々と生きている。
戦国から始まり、平成が終わり、令和へと元号が変わった現在。長い長い年月をかけて守り受け継がれてきた美しく重厚な財産は、地域に暮らす人々のそばで、今もなお息をし生きていました。奈良の風に吹かれながら、そんな『今井町』の歴史をゆったりと巡るのはいかがでしょう。
[all photos by kurisencho]
〈今井町の町並み〉
参考『橿原市観光協会サイトSarara)』
http://www.kashihara-kanko.or.jp/spot/genre_machinami.html
『今井まちなみ交流センター「華甍」』
住所:〒奈良県橿原市今井町2-3-5
TEL:0744-24-8719
開館時間:9時~17時(最終入館16:30まで)
休館日:年末年始(12/29~1/3)
入館料:無料
参考『橿原市観光協会サイトSarara)』
http://www.kashihara-kanko.or.jp/spot/008.html