信州・上田に新ランドマーク誕生!「シャトー・メルシャン 椀子(まりこ)ワイナリー」を現地ルポ【長野県】

Posted by: 荻窪さくらこ

掲載日: Oct 26th, 2019

勝沼、桔梗ヶ原につづく、シャトー・メルシャンの3番目のワイナリーが2019年9月21日、長野県上田市丸子地区陣場台地に誕生しました。東京から北陸新幹線で約1時間半というアクセスの良さで日帰りでのお出かけも! 上田の新しいランドマークとして注目されています。


(C)sakurako

ブドウ栽培からワイン造りまでを公開

JR上田駅からタクシーで25分ほど。見渡す限り広がるぶどう畑、その先に見える白い建物が「シャトー・メルシャン  椀子ワイナリー」です。2003年に開園した「椀子ヴィンヤード」内に造られた、“ブドウ栽培からワイン造りまでを公開するブティックワイナリー”で、上田市としては初のワイナリーでもあります。


写真提供:メルシャン

畑の広さは東京ドーム約6個分! その広い敷地内で、白ワイン用の2種類(シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン)、赤ワイン用の黒ブドウ6種類(メルロー、シラーなど)が栽培されていて、合計8種類のぶどうが栽培されています。

選べる4つのワイナリーツアー

ワイナリーでの楽しみといえば、試飲もできる醸造所見学! こちらでは以下の4つのワイナリーツアーが用意されています。(要予約・有料。料金は税込)。

  • 「椀子スタンダードツアー」(所要時間:約60分/1500円)
  • 「椀子プレミアムツアー」(所要時間:約90分/3000円)
  • 「椀子ウォーキング&ランチツアー」(所要時間:約150分/7000円)
  • 「椀子ワインメーカーズツアー」(所要時間:約120分/5000円)


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今回は、約90分間の「椀子プレミアムツアー」を体験してきました。

まずは、シャルドネを使ったスパークリングワイン「椀子のあわ」で乾杯! ほどよい酸味が口のなかに広がり、後味すっきり。ほろ酔い気分でツアースタートです。


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ツアーガイドを担当してくださったのは、セラードアマネージャーの山田基之さん。ソムリエ資格も持つワインのスペシャリストです。

建物の中を見学すると思いきや、向ったのはブドウ畑。椀子ヴィンヤードの土壌は強粘土質で、ブドウが根を張りづらい性質を持っていますが、ブドウの実はストレスがかかることによって糖度が上がるので、ブドウ栽培にはとても適しているとか。

また、栽培法としては、海外のワイン用ブドウ畑で主流の垣根式になっているのが特徴で、1本の木につき12房を基準とし、味の凝縮したぶどうをつくることを心がけているんですって。

一般的な生食用のブドウは23度程度の糖度があり、皮がうすく、香りもありますが、醸造用のブドウは、14度程度の糖度で、皮が厚くて渋みがあり、いい香りはしないのが特徴です。

そこで、カベルネ・フランという品種のブドウをひと粒だけいただくことに。皮ごと口に入れると、少し渋みはあるものの、ジューシーで甘味が強く、しっかりとした果実味が感じられます。なるほど! 房の時点でおいしいことが、おいしいワイン造りには欠かせないんですね。


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とりわけ椀子は、シラー種の栽培で成功している土地の北限といわれ、世界的に注目されているんです。強粘土質に加え、午後は強風が吹くことで土壌が乾燥して病気になりにくいことや、強風によって木にストレスがかかることもおいしいブドウをつくるために役だっているんですね。


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畑を後にし、“ブドウを迎え入れる”という意味合いを持つ、レセプションエリアへと入っていきます。

こちらがブドウを選別する機械です。摘み取られた果粒はこのベルトコンベア式の機械で、完熟したものだけが選別されていきます。椀子では香りのよいワインをつくるために、2段階に分けて果粒を選別しているんです。


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厳選された果粒は、クレーンで釣って、タンクの上から落とす方法でタンク内に取り込まれます。

ここが“グラビティ・ステップ”という工程で、自然の重力に従って果粒を移動させる方法が取り入れられています。もともと、建物を建てる際に、地形の高低差を利用できるよう設計されているんですね。

従来はホースでタンク内に送り込んでいましたが、果粒がこすれて成分が出てしまってよくないため、近年ではこのやり方が注目されてきています。


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次は樽庫へ。

ひんやりとした部屋の中に足をふみ入れると、オーク樽とワインの香りが混ざりあい、少し甘い芳香が漂っています。室内の温度は年間を通して12~13度に保たれていて、白で最長半年、赤で1年半といった期間、ここで熟成されます。1樽からはおよそ220本のワインが取れるそうです。

椀子で造られるワインの中には、ステンレス樽のみで仕上げるものと、オーク樽に入れて育成させるものとがありますが、樽で醸造させるものだけでもおよそ1000樽あり、その規模は日本最大級とのこと。

椀子では畑の区画によってワインを仕込んでいき、それらをさらにブレンドしていくので、それだけの数が必要なんですね。

ちなみに、樽の材質は最高級のフレンチオークですが、新樽でひとつ12~13万円はするんですって。樽だけで億は超えてしまいますね! さらに、古くなるものもありますから、毎年100樽ぐらいは新たに購入しているそうです。


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味や香りの違う6種類をテイスティング

およそ50分間にわたりワインの製造工程を学んできたところで、待ちに待ったテイスティングです!

プレミアムツアーでは、以下の6種類のワインの試飲ができました。これはゼイタク。

  • 椀子ソーヴィニヨン・ブラン2018 (4200円)
  • 椀子シャルドネ2017(3500円)
  • 北信シャルドネ アンウッデッド2017(3800円)
  • 北信左岸シャルドネ リヴァリス2017(7200円)
  • 長野メルロー2016(4200円)
  • 椀子メルロー2015(5500円)

ソムリエでもある山田さんが、グラスごとに色を確認し、香りを嗅ぎ、味を確かめていきます。たとえば、「透明感のある青みがかったレモン色ですね。グレープフルーツのような香りもあります」といった風に。

それにならって参加者も試飲していくわけですが、同じ白ワインといったくくりでも、ステンレス樽だけで仕上げたワインと樽で育成させたものではまったく味わいが違うことや、土壌の違いによっても味わいに差が出てくるといったことがわかり、とっても勉強になりました。

これでツアー料金3000円(税込)は、かなりお得じゃありません?


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試飲したワインは、建物内のワインショップで購入できますよ。ツアーでの体験を思い出しながら、お家でゆっくり味わうというのもいいですね!

今年の秋は、信州・上田で新たなワインの世界を体験してみませんか?

シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー
住所:長野県上田市長瀬146-2
電話番号:0268-75-8790
時間時間:10:00~16:30(テイスティングカウンター ※ラストオーダー 16:00)
HP:www.chateaumercian.com

アクセス方法:
1.しなの鉄道「大屋駅」からタクシーで約10分
2.JR北陸新幹線「上田駅」からタクシーで約25分
3.上信越自動車道「東部湯の丸」ICより約10分

 

 

PROFILE

荻窪さくらこ

sakurako

出版社にて雑誌編集に携わった後、フリーランスのライターに。高校時代には山登りに親しみ、現在もキャンプなどのアウトドア遊びが大好き。クルマも好きで、イタリア車やフランス車に乗り継ぐ。ドライブで日本全国どこへでも!

出版社にて雑誌編集に携わった後、フリーランスのライターに。高校時代には山登りに親しみ、現在もキャンプなどのアウトドア遊びが大好き。クルマも好きで、イタリア車やフランス車に乗り継ぐ。ドライブで日本全国どこへでも!

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