かつて「世界の半分がある」と言われるほどの人や富が集まったイランのイスファハーン。町の中心であるイマーム広場から見えるブルーのモスクは、世界史の教科書でも有名なイマーム・モスクです。
創立者シャー・アッバース1世にちなみ、マスジデ・シャー(王のモスク)と呼ばれていたイマーム・モスク。入り口の門を見上げると、蜂の巣状の緻密な装飾に圧倒されます。
ムカルナスと呼ばれるこの装飾、鍾乳洞を模倣したものだそう。
なぜ鍾乳洞?
神秘的な雰囲気を模倣したかったのでしょうか?
150万枚ものタイルで表現された楽園
モスク内は、タイルが織りなすアラベスク模様で埋め尽くされています。
タイルに描かれた花や蔓は、楽園の植物や水源を象徴しているのだそうです。
タイルに使われた釉薬は、七色が基本。
そのため、「七彩」(ハフト・ランギ)と呼ばれました。
あらかじめ模様が描かれたタイルを並べるこの方法によって、この壮大なモスクも実現できたのかもしれません。
その青が人々に見せるもの
そして、なんといっても、この青です。
昔、教科書のグラビアページで目にした瞬間、そのたった1枚の写真に言葉を失った青。
一体世界のどこにこんな青い建物があるのか、なんという名前なのか、必死で調べたことを思い出します。
ドームを真下から見上げると・・・
無数の星で満ちた宇宙のような吸引力があります。
ずっと眺めていると、吸い込まれそう。
信者でなくとも、みなそれぞれ、その人なりの楽園風景をかいま見ることができるような気がします。
それは宇宙であったり、美しい水辺であったり、ただ温かい光に包まれる情景であったり。
ただそれだけで、イスファハーンといわずこのモスクのみでも「世界の半分がある」といえるのかもしれません。