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各国で新型肺炎の状況が日々刻々と変わり、対応もさまざまですが、フランスでも新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、現地の状況が変化してきました。出入国についてやイベント開催、対応策、街の様子など、フランスの続報を在仏ライターがレポートします。
仏国内での感染数
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2020年3月1日(日)現在、フランスでは新型コロナウイルスの感染が100例となっています。5日前は18例からの急増に、連日の報道に注目が集まっています。86名が入院中、そのうち9名は重い症状だと報道されています。
フランス出入国に関して
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フランス当局は下記の国/地域への渡航に対する勧告を出しています。2020年3月1日時点で、日本は含まれていません。
・中国(香港、マカオを含む)
【緊急ではない渡航を延期】
・イタリアのロンバルディア州とヴェネト州
・韓国
・イラン
・シンガポール
さらに、上記全ての国/地域からフランスへ入国した人に関しては、入国してから14日間下記の行動を勧告しています。
・咳や呼吸困難など、呼吸器官の症状に十分注意する。
・外出時や他人と直接会う場合は、マスクを着用する。
・定期的に手を洗い、アルコール消毒を使用する。
・抵抗力の弱い人(妊婦、慢性疾患、高齢者等)との接触を避ける。
・抵抗力の弱い人がいる場所(病院、産婦人科、老人ホーム等)に頻繁に行かない。
・不必要な外出(大きな集会、レストラン、映画館等)を避ける。
・学生や通勤勤務者は、極力リモートワークを優先し、他人との接近(会議、エレベーター、食堂等)を避ける。
・子どもや中高生は、一日中マスクを着用しておくのが困難なため、保育園や幼稚園、学校に通わせない。
パリ・シャルルドゴール空港での対応
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パリのシャルルドゴール空港では、中国、香港、マカオ、シンガポール、韓国から到着したフライトの乗客に関しては、適切なアドバイスが書かれた情報とマスクを配布するなど、特定の対応を実施しているそうです。
フランス発着のフライト運行状況
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エールフランスのフライトは、パリ~上海、北京間の一時欠航を3月15日までとしていたところ、3月28日(金)までに延期。2020年3月29日(土)以降はKLMオランダ航空とともに、上記2つの目的地の運航を徐々に始める予定としています。4月13日(月)からは通常運航の予定とのことですが、状況に応じてスケジュールが変更になる可能性はありそうです。
当局が勧告する新型コロナウイルス予防策
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フランスでは、新型コロナウイルスの予防対策としてインフルエンザなど他の感染症予防と同様、下記の事項を強く呼びかけています。
・咳やくしゃみをする際は、肘で口を押さえる。
・1度使用したティッシュは再度使わない。
・病気の際はマスクを着用する。
さらに、「握手をしない」というのも、最近呼びかけられています。
マスクについては、病気の人や新型コロナウイルスの感染が拡大している国/地域への渡航歴がある場合を除いて、予防として着用することは特に推奨されていません。
イベントの実施について
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フランス国内でのイベントに関しては、延期や中止などの措置が取られているケースもあります。南仏ニース市で毎年開催される恒例の一大イベント「ニースのカーニバル(Carnaval de Nice)」は、2月29日(土)の最終日を中止し、一日短縮されたスケジュールで2月28日(金)に終了しました。3月1日(日)の「パリのハーフマラソン大会(Semi-Marathon de Paris)」が中止となったほか、3月6日(金)~8日(日)に予定されていた「アヌシーのカーニバル(Carnaval de Annecy)」も中止になりました。
2月24日(月)から開催されているパリ・ファッションウィーク(パリコレ)では、中国や台湾のブランドが参加を見送ったほか、フランスのブランド「アニエスベー(agnès b)」も3月2日(月)に予定していたショーの中止を発表しています。
フランス・リヨンの街の様子
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筆者が住むリヨンでは、2月26日(水)に欧州サッカーのUEFAチャンピオンズリーグの試合(オリンピック・リヨネ対ユベントス)が開催されたことや、ミラノからの長距離バスがリヨンに到着した際、バスが一時封鎖され乗客全員がバスの中で待機するという事態が起こりました。これは、バスの運転手と乗客1名に疑いのある症状が出ていたためで、最終的には2名とも新型コロナウイルスではないことが検査で判明し、全員解放されました。3月1日(日)現在、イタリアからリヨンまでの長距離バスは通常通り運行しています。
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リヨンの街では、ごくまれにマスクを着用している人を見かけるようになりました。薬局ではマスクが品切れとなっています。予防としてマスクを着用する習慣はないものの、薬局の方曰く「いざという時のために購入する人が多く、箱で入荷してもすぐ売れてしまう」とのこと。街の雰囲気が大幅に変わっている印象は受けませんが、個々の意識の変化があるように感じます。
フランスでは、家族や友人・知人間の挨拶として頬にキスする「ビズ」という習慣がありますが、「今はコロナウイルスが流行ってるからやめておこう」というような冗談めいた会話も(アジア人への偏見ではなく、フランス人同士の会話です)。日本が小中高校を臨時休校に踏み切ったことも話題になっています。
各地でまだ感染例が増加傾向にあり、今後も渡航の注意やイベント開催などについては国や各機関によっても判断が分かれるかと思います。予防対策も各国で違いはありますが、各自で情報に注意しながら予防に努めたいですね。
[参照]
・Gouvernement.fr:Coronavirus COVID-19 le point sur la situation
・Ministère des Solidarités et de la Santé:Coronavirus COVID-19
・Aéroports de Paris:Paris Aéroport vous informe des mesures mises en œuvre sur le Coronavirus
・Air France:HEALTH SITUATION (CORONAVIRUS)
[Photos by minacono and shutterstock.com]
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