家事代行サービスの利用者
フランスでは、家事代行サービスは富裕層のみが利用しているのではなく、中間層にも普及しています。家事代行サービスの主な利用者は、共働きの夫婦やシングルマザー、シングルファザーなど、現実問題、家事をする余裕が持てない人たち。また若いときは利用していなかったけれど、家事の負担が大きくなってきた高齢者たちです。
そして日本との大きな違いは、一人暮らしの独身者や専業主婦までも家事代行サービスを利用しているということ。フランスでは家事は主婦がやるものという考えが当たり前ではないので、小さい子どもがいる家庭では、専業主婦であっても、ゆとりを持つために部分的なサービスを利用する人も少なくはありません。
個人で契約
フランスでは家事代行サービスは、個人で「femme de ménage(家政婦/お手伝いさん)」と契約することがほとんどです。家事代行サービスを利用する人が雇い主となり、健康保険や雇用保険、有給等も保証するのです。
ブラック労働も多い
一方、フランスでは家事代行サービスで働く人の環境は、ブラック労働であることも多く、移民の外国人労働者が驚くほど安価な賃金で働いている事実もあることを忘れてはいけません。
部分的なサービスが一般的
家事代行サービスが普及しているフランスですが、多くの利用者は部分的なサービスのみを利用しています。例えば、掃除や洗濯、アイロンがけ、買い物のみ、料理の作り置きの家事代行を頼みます。週1〜2回で来てもらうことがほとんどです。まれに毎日来てもらうという家もありますが、富裕層や高齢者のハンディキャップのある独身者などに限られています。
フランス人の家事代行サービスに対する考え方とは
フランスで、家事代行サービスが普及している理由は、日本人との考え方の違いにあります。まず、フランスに「家事は主婦がすべきだ」という考え方はなく、生活にゆとりが持てるのなら、家事をアウトソーシングするということは当たり前として認識されています。実際、筆者の周りで家事代行サービスを利用している人はこう話します。
「週に2度、掃除に来てもらうようになってから、週末掃除に時間を費やす必要もなくなり、家事がだいぶん楽になった。子どもたちに割く時間も増えて、生活の質が高まり、本当に利用して良かった」
先ほども述べましたが、専業主婦だって家事代行サービスを頼みます。それで、余裕が持てるのなら、結構。「専業主婦なのに、サボってる。家事を全てしないなんておかしい」と批判をする人は、ほとんどいないのです。
また、日本では「自分が家にいない間に他人が勝手に家に入るのがちょっと・・・」「家が汚れているのを見られるのは恥ずかしい」という声がありますが、フランス人はそのことに抵抗感を感じる人は少ないように感じます。他人が家に入るというより、仕事としてプロの人に来てもらっているという感覚なのかもしれません。
もちろん、あまり面識のない人が自分のいない間に家に来ることに、最初は抵抗を感じるフランス人もいます。しかし、一度家事代行サービスを頼めば、家事の負担が減り、生活にゆとりが持てるというメリットのほうが大きく感じるので、抵抗感はかなり少なくなってくるようです。
と、ここまで家事代行サービスのメリットを書いてきましたが、筆者はまだフランスで家事代行サービスを利用したことはありません。しかし、フランス人の話を実際聞いてみると、どうしても家事をすることにゆとりが持てないときなど、家事代行サービスは生活の質を高めてくれる方法のひとつとして柔軟に捉えることが大切なのだと感じます。
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