空前の古代史ブームを起こした高松塚古墳発見
高松塚といえば、あの高校日本史教科書トップの口絵に出ていた「飛鳥美人」です!日本史は苦手でも、あの美しい壁画だけは脳裏に焼き付いているという方も多いでしょう。1972年の高松塚古墳の極彩色壁画発掘は、日本で初めての壁画をもつ古墳の発見となりました。戦後の「登呂遺跡」以来の大発見でした。それ以降、日本で考古学に対する関心が急速に高まるとともに「飛鳥ブーム」に沸いたそうです。
高松塚古墳は、外観はかわいらしい円錐のプリン型。7世紀末から8世紀初め、古墳時代終末期に築造された古墳で、直径23m(下段)、18m(上段)、高さ5mの二段式円墳です。誰の墓かはまだわかっていませんが、天武天皇の皇子、朝鮮半島系王族という説が有力です。
高松塚古墳を見学したら、高松塚壁画館へ。館内には、発掘時の石室内部の模型、壁画や出土品が忠実に模写・模造されて展示されています。
箱型に組んだ石室の壁には、漆喰がたっぷりと塗られ、その上に色鮮やかな男女群像、青龍、白虎、玄武、日・月像が描かれ、天井には28の星宿(中国で定められた星座)が描かれていました。
こちらは原寸大の石室の模型です。四神像(朱雀、青龍、玄武、白虎)のうちの朱雀は、南壁に描かれていたはずですが、盗掘の際、壊されてしまったようです。方角を司る四神は中国神話に基づいており、古来より天子の象徴として用いられています。
ガイドによると、この石室に描かれる28の星座とまったく同じ星座が京都で見られるそうです。祇園祭には山鉾がでますが、一番先頭に出る稚児の長刀(なぎなた)鉾の天井板には、高松塚壁画と同じ28の星座が描かれいているとのこと。祇園祭は、平安時代に流行っていた疫病をしずめるために始まりましたが、その時、陰陽師が天上界の星の力を地上に下ろしたとされることの現れだそうです。大陸の天文書が陰陽師のお手本だったのでしょうか!
住所:奈良県高市郡明日香村平田444
開館時間:24時間 無休
HP:https://www.asuka-park.go.jp/area/takamatsuzuka/
高松塚壁画館
住所:奈良県高市郡明日香村平田439
電話:0744-54-3340
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:年末年始
HP:http://www.asukabito.or.jp/hekigakan.html
スピ系女子も興味深々!のキトラ古墳
なんともエキゾチックな響きをもつ「キトラ古墳」。名前の由来は、石室の中を覗くと亀と虎の壁画が見えたためそう呼ばれたなど、いくつかの説があります。7世紀末から8世紀初めに築造され、石室内には方角を守る四神や十二支、本格的な天文図が描かれていたりと、上記の高松塚古墳と共通点が多いのが特徴です。上写真は天文図。
1983年11月に石室内の彩色壁画のひとつ「玄武」が発見され、2000年には特別史跡に指定。2004年には全貌が解明されました。高松塚古墳に続き、日本で第2の壁画古墳として人気が高まっています。
明日香村阿部山にある「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」は、古墳と壁画をビジュアルでわかりやすく学べる体験型の施設。
壁画の4面マルチ高精細映像や、古代飛鳥の暮らしがわかるジオラマ模型、キトラ古墳の発見・調査・修理にいたるドキュメンタリー展示など、さまざまな角度からキトラ古墳への理解を深められます。
こちらは原寸大の石室。東壁に青龍、南壁に朱雀、西壁に白虎、北壁に玄武が描かれています。
四神のひとつ玄武(げんぶ)は北の星宿の神格化した聖獣。北方を守護し、亀と蛇が絡まった姿をしています。
こちらは青龍の斜め下に描かれている虎。虎の頭と人間の体で獣頭人身像が描かれています。
さらなるお楽しみは古墳グッズ
古墳グッズも充実しています。今回、ガイドさんが使っていたキトラ古墳オリジナル四神アイコン入りエコバックと、白虎の小皿を購入。古墳グッズ命という方は、余裕をもって出かけましょう。
2つの壁画古墳の石室レプリカや埋葬品など、視覚的に訴える古墳は見る側の気持ちを高めてくれます。飛鳥美人の衣装の色合いやデザイン、四神、天文図などを見ても、大陸の影響を色濃く受けていたことが伺え、探求心も芽生えます。
※新型コロナウィルス感染減少のタイミングで、日本旅行のツアーが開催される予定です。
住所:奈良県高市郡明日香村阿部山243
開館時間:24時間
HP:https://www.nabunken.go.jp/shijin/about/
キトラ古墳壁画体験館 四神の館
住所:奈良県高市郡明日香村阿部山67
電話:0744-54-5105
開館時間:9:30~17:00(12~2月は16:30まで)
休館日:年末年始
HP:https://www.asuka-park.go.jp/area/kitora/tumulus/
[All Photo by SACHIKO SUZUKI]