古墳女子たちの“きゅんポイント”
古墳って何を見ればいいの?という初心者に、とてもわかりやすく説いてくれる、まりこふんさん。今回は彼女と一緒に巡った奈良の4つの古墳をご紹介します。スター級の石舞台・高松塚・キトラ古墳も素敵ですが、古墳ファンたちにとって、小さくても、発掘されたままで静かに眠る古墳を見ることは、最も心をくすぐる“きゅんポイント”らしいのです。
石の積み方がナチュラル!沼山古墳
こちらは、昭和57年(1982年)に公園整備の途中で発掘されたという沼山古墳。いつもは非公開ですが、まりこふんツアーでは特別に中を見学できます!
実は、まりこふんさん、この古墳内に入るのは初めて、ということで、鍵が開かれた瞬間、「わ~!開いた、開いた!!」「きゃ~~!すごい!これはすごいな!!カンド~!」と連呼。幸せがあふれ出ていました。
「奈良橿原&飛鳥の旅1」でご紹介した石舞台古墳よりも前、6世紀後半の築造で、片袖式・横穴式石室をもつ古墳です。特徴としては、まったく加工していない自然石が積まれて出来上がっていること。
墳丘の高さ5.5m、石室(玄室:棺を入れる部屋)は長さ4.95m、幅2.95m、高さ4.25m。墓の中は比較的広くほぼ正方形をしていて、地上2mくらいからギュッと狭くなり上は2枚の天井石で覆われ、ドーム型になっています。このように背が高い古墳は、渡来系氏族の墓といわれています。その特徴のひとつに、ミニチュアの炊飯具セットが出土していることが挙げられるそうです。
石は石舞台古墳と同様、黒い斑点のある飛鳥産出の花崗岩を使用。入口は、右袖式となっています。右側に楕円形の石が3つ縦に並ぶその先が右袖です。
住所:奈良県橿原市1
電話:0744-47-1315
https://www.city.kashihara.nara.jp/kankou/own_bunkazai/bunkazai/spot/numayama.html
石棺に埋葬されたい!小谷古墳
こちらも通常は非公開。築造は7世紀後半。前述の沼山古墳と同じスタイルで、前方後円墳を含む9基の古墳群の中にあり、その東端部に位置しています。古墳の形状は盛り土(封土)を失っているので不明ですが、円墳ならば直径約30mといわれています。
天井石は、石舞台古墳よりも巨大なものが使われており、石室の床は、羨道部(せんどうぶ/入口の通路)より一段高くなっています。石室は、全長5m、幅2.8m、高さ、2.7m。
大きな特徴としては、上記の沼山とは違い、石と石との合わせ目がほぼ垂直となっており、石がぴったり合わさるよう工夫されているところ。石と石の隙間には小さな三角形の石をはめこみ、隙間の各所に残った漆喰から、築造当時は白壁だったと想定されています。ただ石を積み重ねるのではなく、どう石を組んでいくかという作り手の計画性が見える石室です。
注目したいのは、石棺(石の棺)が盗掘に遭ったままの姿で残されているところ!
誰の手も加えられず、盗掘された時の石室のままなのです。「ホントに誰の手も入ってないのですよね!わ~~やっぱりすごい。これだから古墳巡りはやめられないのです。ここに埋葬されたい!!」と、まりこふんさん、コーフン気味。石棺の造りも良く見てみましょう。外はツルツルしていても中の彫り方は適当。古代人も見た目が大事ということですね。
入口の石も存在感があり、絵になります。
住所:奈良県橿原市白橿町4-12‐15
電話:0744-47-1315
https://www.city.kashihara.nara.jp/kankou/own_bunkazai/bunkazai/spot/kotani.html
古墳を作りかけて途中で捨てられた?益田岩船
もっともインパクト大なのが、この竹林の中に佇む謎の巨石です。
横11m、縦8m、高さ4.7m。この巨石から歩いて15分のところに、斉明天皇(第37代天皇、655~661年)の墓「牽牛子塚(けんごしづか)古墳」があり、この巨石、益田岩船(ますだいわふね)はそちらより少し早く作られています。7世紀築造。
岩船の上部には2カ所の穴が掘ってありますが、それが牽牛子塚古墳の横口式石室と形が似ているため、この岩船は牽牛子塚古墳の失敗作だったのでは、という説が有力です。途中で何かが起こり、「え?ひょっとして、やらかした!!!」そして、そこでそのまま放置されたのではといわれています。
その失敗とは何か?ヒントは2つ。2つの穴の片方には水が溜っているが、もう一方は水がないこと。そして、石の表面の片方が水で漏れて苔が生えていること・・・そうです、石に亀裂が入っていたのです。
今までの苦労が水の泡!使えない?とわかった瞬間、どれほどショックだったか、ですよね。そんな古代人の気持ちを想像してみるのも岩船の楽しみ方でしょう。
住所:奈良県橿原市白橿町8-20‐1
電話:0744-47-1315
https://www.city.kashihara.nara.jp/kankou/own_kankou/kankou/spot/masudaiwafune.html
切り石が美しい岩屋山古墳
飛鳥駅から徒歩5分の距離。いろいろと見てきた中で、もっとも精巧な両袖式の横穴式石室でした。古墳時代終末期の7世紀築造の方墳です。
小さな古墳ですが、なんと、聖徳太子の墳墓の石室と同じ構造をもっているそう。上記の小谷古墳と同じく、石と石との隙間には漆喰が残っています。
桜の木の頂上まで上ると明日香村を一望できます。
まりこふんさんの古墳愛シャワーを浴びて考えたこと
夜はディナー&まりこふん氏のミニライブに参加。黒いジーンズ姿から古墳シンガーに変身した、額田の大王(おおきみ)張りのオーラと、巫女埴輪をイメージしたという特注の衣装!ステキすぎます!「古墳deコーフン」「ハニワのブルース」「遥かなる石舞台」・・・などパワー全開の歌と踊りに釘付けです。そんな元気過ぎる彼女を見ながらふと感じたこと。古墳巡りってパワースポット巡りみないたものなのかもしれない、ってことでした。まだ、彼女のライブを見たことがないという方、ぜひとも下記のツアーに参加し、真っ先に古墳愛シャワーを浴びてください!
※新型コロナウィルス感染減少のタイミングで、日本旅行のツアーが開催される予定です。
[All Photo by SACHIKO SUZUKI]