NYで生きていければ、世界中のどこででも生きていける

Posted by: 青山 沙羅

掲載日: Jun 18th, 2015

ニューヨークで生活していると聞くと、カッコ良く優雅に生活していると思われる方も多いでしょう。摩天楼の眺められるアパートで暮らし、ビジネスの最高峰、またはアーティストになる夢に向かって、突っ走っているイメージとか?

さて、一般的なニューヨーカーの現実とは?

家具は拾いもの、貰いものが基本

NYで生きていければ、世界中のどこででも生きていける

椅子やテーブル、鏡など、新品を持っている人は、ごく僅か。理想的な入手先は、ストリート。人の入れ替わりの多いNYCでは、素敵でなくても使える家具が捨ててあります。綺麗に拭けば使えるものは、いただいていきましょう。また捨てている現場を見たら、声をかけましょう。これも立派なリサイクル。全然恥ずかしくありません。

ただし、ベッドのマットレスやソファ(特に布張り)は、ベッドバグ(ナンキン虫)がいる場合があるので、誰も拾いません。帰国する人から格安で譲り受ける、リサイクルショップで買う場合も多いですよ。

自炊が基本

カッコいい?憧れのニューヨーク生活の実態とは

NYCのマンハッタンのレント(賃貸)は、世界一高いといっていいでしょう。マンハッタンのレストランで食事する場合、地代も食事代にプラスされていてお高い上、チップ(Taxの2倍が基本)も必要です。素敵なレストランは色々あれど、外食は懐事情がなかなか許しません。

また、基本的な日本食品は売っていますが、ふと食べたくなる和菓子は日本のような美味しいものは売っていません。お饅頭やおはぎ、おしるこ、羊羹など、手づくりするようになりました。必要は発明の母というわけですね。

恐るべし、住宅事情

カッコいい?憧れのニューヨーク生活の実態とは

NYCは世界で一番賃貸料が高く、独身者は殆どがシェア(家賃を折半して、他人と共同生活)。シェアする相手をルームメイトと呼びます。シェアは2組、3組などは良い方で、4BR(ベッドルーム)を7人で暮らしていると聞いたこともあります。カーテンで仕切って、リビングのソファのエリアで暮らす人、キッチンの横で暮らす人など、日本の生活からは想像出来ない暮らしぶりなのです。

また、ルームメイトも頭痛の種。共同生活のルールを守れない人がいて、掃除、共同使用の備品などで揉めることも多いとか。相性もあるので、良いルームメイトを見つけるのは、恋人を見つけるほど難しいのです。

家に洗濯機が欲しい!

NYで生きていければ、世界中のどこででも生きていける

NYCのアパートは、築100年以上のものが多く、水回りの配管が整備されていないため、各個人で洗濯機を持つことが出来ません。雨の日も、風の日も、雪の日も、通称ガラガラ(カートのことを日本人はこう呼ぶ)に洗濯物を詰めたランドリーバッグを押し込み、ランドロマットに通います。洗濯機にかけ、ドライヤーで乾燥するのに、約1.5〜2時間。

アパートの地下にコイン・ランドリーがついた物件もありますが、そう多くはありません。
洗濯機付きの自宅というのは、多くのニューヨーカーの夢。高級コンドミニアムや一軒家には、もちろん洗濯機が備えられています。

また、6階建くらいのアパートは、エレベーターなしが多いので、更に上り下りの重労働という苦行が加わります。

NYCの1年の半分は冬

NYで生きていければ、世界中のどこででも生きていける

NYの気候は青森と同じですから、寒いのです。11月〜4月は冬。2015年は4月末まで雪が降りました。11月の話題は「お宅のアパートの暖房入った?」(アパートごとに異なる)。暖房が入ってしまえば、ビル全体が暖かく、室内では半袖でいられるほどなのですが、入るまでは辛抱の日々。NYの寒さに耐えきれず、お金が貯まったタイミングで、西海岸やフロリダなどの暖かいエリアに生活拠点を移す人もいます。暖かい国の人は、帰国することも多いです。

それでも、なぜニューヨーク?

NYで生きていければ、世界中のどこででも生きていける
(C)Hideyuki Tatebayashi

アメリカであって、アメリカでない、「ニューヨーク」。この街は、特別な街なのです。日本にいたらありえない奇跡が起こる街。チャンスは前髪で掴め! そして、上から頭に災難が降ってくる街。NYはジャングル。実生活がまさにサバイバル・ゲーム。毎日生きている手応えを感じますよ。

袖すり合うも他生の縁

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(C)Hideyuki Tatebayashi

ふと知り合った人と、ふとしたことで、自分の人生を話す機会があります。日本では、親しい友人にしか話さなかったことを。国が違う、年齢も違う、文化も違う人に、共感を得たり、励ましてもらうことがあります。これは、多民族が集まったNYならではの経験。そんなことを繰り返すうちに、自分の人生をさらけ出すことが、気にならなくなりました。

人の数だけ、異なる人生がある

NYで生きていければ、世界中のどこででも生きていける
(C)Hideyuki Tatebayashi

国の政情不安、金融政策による貨幣価値の低下などさまざまな理由で、「国では生活が出来ない」とNYCに来ている人たちが半数近くいます。ここは、移民の国アメリカなのだと思い起こします。「自分の国には将来がない」、「自分の国では働いても働いても、食べていくことが出来ない」など、胸が痛くなるような話を聞く時があります。

誰と比較することもない、自分は自分

NYで生きていければ、世界中のどこででも生きていける
(C)Hideyuki Tatebayashi

横並びに「他人と同じ」を求められる日本は正直窮屈でした。なりたい自分になれる街。そして、自由には責任が伴うことも、NYは教えてくれました。

カッコ悪いが、カッコイイ

NYで生きていければ、世界中のどこででも生きていける

(C)Hideyuki Tatebayashi

恥をかくことを怖れて、何もチャレンジしないのはカッコ悪いと思うのです。恥をいっぱいかくと、度胸もつくし、人の気持ちも分かるようになります。失敗したところで、“Who Cares?”(誰が気にするっていうのさ)

人の想いがNYを輝かせる

NYで生きていければ、世界中のどこででも生きていける
(C)Hideyuki Tatebayashi

NYの夜景を見たなら、思い出して欲しいことがあります。ひとつひとつの光は、人々の野望、欲望、絶望、涙、吐息、そして希望。ひとりひとりの人生が、この街を輝かせていることを。

ここは天国なのか、地獄なのか? それは自分次第。今日はミリオネア、明日はホームレス。その逆も然り。「NYで生きていければ、世界中のどこででも生きていける」。その言葉に頷きます。

[Photo by Shutterstock.com]

PROFILE

青山 沙羅

sara-aoyama ライター

はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。

はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。

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