“日本一危ない国宝鑑賞”とも称される参道
(C) Shutterstock.com
およそ1300年前、修験道の開祖とされる役行者が開いたと伝えらえる三徳山三仏寺。山に点在するお堂の中で最も奥に位置するのが、国宝にして日本遺産の「投入堂」です。建つのは断崖絶壁の小さな窪み。崖にぴったりと張り付き、自然と一体化した姿は圧巻そのもの!
建築時期は平安時代後期とされていますが、どのように作られたかは未だに謎。所々風化しているものの、北向きの岩の中にあるため直射日光や雨風から守られ、1000年を超える月日を耐え忍んでいるのだとか。なんともミステリアスなお堂です。
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「投入堂」を鑑賞するためには険しい山道を登らなくてはなりません。参道入り口から投入堂まではおよそ1時間。
難所のひとつがこちらのカズラ坂。5〜6mもの急斜面を、木の根っこに手足をかけて上っていきます。これはもはやサバイバル!巷で“日本一危ない国宝鑑賞”とも称されるほど、決して軽い気持ちで訪れてはいけない参道なのです。
三徳山の参道入口に佇む寺カフェ
「寺カフェ りんつ」は三仏寺の宿坊、輪光院の一室に2019年にオープン。佇むのは三徳山の参道入口。参拝後のひと休みに最適なロケーションもうれしいところ。
ガラガラと引き戸を開けて宿坊の中へ。親戚の家に遊びに来たような、どこか懐かしい空気感が漂います。カフェスペースは明るく、和の趣たっぷり。窓から望める穏やかな木々の景色も必見です。
パティシエを務めるのは三仏寺執事次長・米田良順さんの奥様で、県内の洋菓子店で研鑽を積んだ米田広美さん。夫の良順さんが僧侶の仕事に就くことになったのを機に、それまでの経験を生かし、カフェオープンに至ったのだそう。
お寺にちなんだ、ユニークなスイーツが充実
ドリンクからスイーツまで、地元食材をふんだんに使ったオリジナルアイテムがそろいます。精進料理をモチーフとした「お抹茶の寺(ティラ)ミス」(500円)は、マスカルポーネの代わりに豆乳を使用。
豆乳本来のコクと甘みが際立つクリームは濃厚でなめらか。しっとりしたスポンジ、清涼感ある抹茶の香りとも見事なハーモニーに。
地元産の生姜を使った手作りジンジャーエール「寺院じゃあエール」(600円)。別添えのジンジャーシロップを炭酸水に入れていただきます。生姜のピリッとした辛味と清々しい香りが印象的。喉越しも抜群で、暑い日にピッタリなドリンクです。
地域の特産物、栃の実を使用した“とち餅”を楽しめる「とちもちぜんざい」(550円)。三朝町では、お正月にこのぜんざいをお雑煮として食べる風習があるのだそう。独特の渋味と苦みが心地よく、ほっこりする素朴な味わいです。地元ならではの食文化を体感できる貴重な逸品。
鳥取の名産品、愛宕梨と20世紀梨の梨みつがタレに使用された「梨みつみたらし はしまだんご」(350円)。“はしま”とは「おやつ」を意味する地元の方言。タレはほのかに梨の爽やかな風味が感じられ、みずみずしいおいしさです。
土地の豊かさも知れるオリジナルメニューは一食の価値あり。神秘の国宝を鑑賞した後は、魅惑のスイーツで身体と心を癒やしてみてはいかががでしょうか?
住所:鳥取県東伯郡三朝町三徳1017
電話番号:0858-43-2667
営業時間:11:00〜16:00
営業日:金曜日、土曜日、日曜日(金曜日は13:30〜15:30)
URL:https://www.instagram.com/teracafelinz/?hl=ja
[Photos by Nao]