黒川温泉 山河
希少価値の高い日本の文化
混浴温泉は、実は年々減っている絶滅寸前ともいえるお風呂なのです。というのは、現行の旅館業法(平成29年12月改正)では、「共同浴室を設ける場合は、原則として男女別に分け、各1か所以上のものを有すること 」「共同浴室にあっては、おおむね10歳以上の男女を混浴させないこと」が義務付けられており、混浴が認められるのは例外の場合のみ。混浴風呂の新設は認められていないからです。今や希少価値の高い日本の文化であり、残ってきた混浴は泉質が素晴らしい名湯が多いので、これ以上減少しないことを祈りたいものです。
山間に30軒の旅館が集まる「黒川温泉郷」
黒川温泉絵地図 (C)黒川温泉観光旅館協同組合
九州北部中央の熊本県と大分県の県境に位置する、阿蘇郡南小国町「黒川温泉郷」。「旅館は部屋で、道は廊下、地域全体が一つの旅館」と考える黒川温泉改革ビジョンで、温泉街に乱立する個人旅館看板を撤去して、景観にあうデザインの共同看板を設置。温泉街内は消火栓やカーブミラー、ガードレール、橋の欄干に至るまで、黒やこげ茶色で統一され、しっとりと落ち着いたイメージが保たれています。山間の30軒の旅館は、ひとつひとつの口コミが高く、「黒川温泉全てを一つの旅館として考える」コンセプトが実現しています。
黒川温泉郷にたどり着くには、「日本百名道」に選ばれ、北は由布院、南は熊本県阿蘇郡南小国町を結ぶ約1時間のドライブコースの「やまなみハイウェイ」を利用するのが人気。車窓には、九重(くじゅう)連山や飯田高原、瀬の本高原など、九州らしいダイナミックな風景が広がります。
黒川温泉郷への道程は、下記の地図がわかりやすいかと思います。
https://www.kurokawaonsen.or.jp/asset/images/access/kuronear.pdf
温泉街自体がひとつの旅館だから、湯めぐりができる「入湯手形」
黒川温泉 山河
黒川温泉では旅館28カ所の露天風呂の中から、1枚の手形につき好きな温泉を3カ所選んで入浴できる「入湯手形」が利用可能。共に地域を創るという黒川温泉一旅館の理念に基づいて導入された入湯手形は、黒川温泉の名を全国に広めました。「入湯手形」は、黒川温泉の各旅館、または旅館組合「風の舎」で販売(税込1,300円・2021年5月現在)しています。
「美人湯めぐり」、「肌のトラブル解消湯めぐり」、「体質改善の湯めぐり」など、目的にあった湯めぐりもできます。各旅館の露天風呂についてよくチェックして、気に入った3カ所を選びましょう。入湯手形を加盟店で提示すると、特典をいただけるうれしいおまけもあります。
●各旅館露天風呂のご紹介 https://www.kurokawaonsen.or.jp/asset/images/map/pdf/kurokawaonsen-echizu.pdf
森の中に佇む宿「旅館山河」
黒川温泉 山河
黒川温泉の奥に佇む「旅館山河」は、「日本秘湯を守る会」の会員旅館。青々とした森に、渓流が流れる風景に惹きつけられます。大人に似合う雰囲気のほか、趣のある温泉風呂、親しみやすいベテランのスタッフのサービスなど口コミ評価が高く、リピーターの多い人気宿。
黒川温泉 山河 紅葉時
春には新緑、秋には紅葉と美しい樹々。里山の自然な景観は、何年もの歳月をかけてひとつひとつ植えて作り込んだ、人の手によるものということに驚かされます。「旅館山河」が先駆けとなって黒川温泉全体で植樹に励み、「都会人が理想とする日本の原風景」を作り上げたそうです。
2021年じゃらんnetユーザーが選んだ「今までに訪れたことがあり、もう1度訪れてみたい!」と思う九州エリアの温泉地で、黒川温泉は第2位に選出されています。
https://www.jalan.net/jalan/doc/etc/onsenranking/onsenranking_kyushu.html
3000坪の敷地に7つの温泉
「旅館 山河」の湯は、薬師の湯(単純硫黄泉)と美肌の湯(ナトリウム塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉)の2つの自家源泉による100%掛け流し。
3000坪の敷地内には、露天風呂、内風呂、桶風呂、貸切風呂といった7つの趣の異なるお風呂が用意されています。いずれに入ろうか、温泉ファンにはうれしい悩みが生じますね。
青く透明な湯 混浴露天風呂「もやいの湯」
黒川温泉 山河 もやいの湯(混浴)
看板温泉の混浴露天風呂「もやいの湯」は、青みがかった美しい透明な湯。青い湯を愛でながら、木々の囁きと鳥のさえずりに耳をすませて、ゆっくり流れる時間の贅沢さを味わいましょう。肩や首筋のこりを癒やす、うたせ湯もありますよ。
黒川温泉 山河「もやいの湯」の効能とは
源泉汲み上げのお湯は、動脈硬化、慢性皮膚病、切り傷、やけどに効くといわれています。皮膚を癒やし、老廃物を排除するデトックス効果が期待され、保湿効果が高くよく温まります。
泉質:ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉
適応症:動脈硬化、慢性皮膚病、切り傷、やけどなど
女性の気持ち「混浴って大丈夫?」
混浴露天風呂「もやいの湯」は脱衣所が1カ所で、水着や湯浴み着等も着用不可のため、女性にはハードルが高いかもしれません。
女性には、女性専用の露天風呂「四季の湯」があり、「もやいの湯」と同じ泉質の広々とした露天風呂です。小川のせせらぎに浄化されながら、安心して青い湯を愉しめますよ。
「四季の湯」女性専用
宿泊客専用の男女別内湯「薬師の湯」
内風呂「薬師の湯」女性専用
女性専用は桧風呂、男性専用は岩風呂の内風呂「薬師の湯」。露天風呂とは異なる泉質の「単純硫黄泉」で、高血圧、動脈硬化、慢性皮膚炎、慢性婦人病、切り傷、糖尿病に効果が期待されます。かすかな硫黄の香りで、茶褐色の湯の花が舞うお湯です。
宿泊客専用の貸切露天風呂「六尺桶風呂」
貸切露天風呂「六尺桶風呂」
人気が高い、大きな桶の湯船の半露天風呂。眺めと開放感は抜きん出ており、お湯に映り込む森の景色に癒やされます。
マナーを守って、入浴を
第二条 女性入浴者は男性入浴者を好奇の目で見るべからず
第三条 混浴は老若男女を問わず和を尊び 大らかで豊かな入浴の姿を最高と為すべし
「混浴を守る会」(青森県酸ヶ湯)三か条
人がいる、いないに関わらず、浴室にカメラやスマホ等撮影器具の持ち込みは禁止。温泉内および入浴中の他人をスマホなどで撮影するなどは犯罪行為であり、通報されます。ルールを守り、気持ち良く入浴して、混浴温泉を守りましょう。
黒川温泉 山河 もやいの湯(混浴) 日帰り利用・湯浴み着情報
●日帰り温泉 可能 詳細はこちら→https://www.sanga-ryokan.com/about/spa/
●料金 大人500円(消費税・入湯税込み 2021年5月19日現在)
もやいの湯(混浴露天風呂)、四季の湯(女性専用露天風呂)のみ利用可能
●日帰り利用時間 8:30~21:00(受付は20:00まで)
●湯浴み着レンタル なし
●湯浴み着着用入浴 なし
●タオルを巻いての入浴 不可
●水着着用 不可
●女性専用時間 なし
●女性専用露天風呂 あり 「四季の湯」
住所:熊本県阿蘇郡南小国町大字満願寺6961-1
電話:0967-44-0906
公式サイト:https://www.sanga-ryokan.com
記事協力および写真提供:黒川温泉 山河
※記事掲載の情報は、2021年5月現在のもので、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、変更になる場合があります。最新情報については、必ず公式サイトで確認あるいは直接施設へお問い合わせください。