“世界の七不思議” は、時代により、さまざまな人やメディアが提唱してきましたが、そもそもは古代ギリシアの数学者フィロンが選んだ7つの偉大な建造物を指します。彼は旅行家でもあり、今でいうガイドブックのような著作でこれらの場所を紹介しました。それが後世、七不思議として定着したようです。
その1 ギザのピラミッド
実は“世界の七不思議”のうち、今も現存するのはギザのピラミッドだけ。最古のものながら、唯一残っている、というのがすごい! まさに、人知を超えた何かを感じます。
その2 ロードス島の巨像
ギリシャのロードス島にはその昔、30m級の巨人像が港をまたぐようにそびえていたそうです。内部に螺旋階段があり、両目の中でたいまつが燃えていたとか、煮えた油を入れた器を右手に持ち、敵の船に注ぎ落としたなどの伝説もありますが、実際は両足を開いた姿さえも強度的に不可能ではといわれており、真偽のほどが定かでありません。
その3 エフィソスのアルテミス神殿
アテネのパルテノン神殿を上回る大きさだったというエフィソス(現在のトルコ)のアルテミス神殿。フィロンが「この神殿の前には、他の不思議はすべて陰にかくれてしまった」というほどの壮麗さ、一目見てみたかった!
その4 オリンピアのゼウス像
古代オリンピックも開催されたギリシャに建っていた黄金のゼウス像は、なんと約12m! 玉座の高さも入れると、まさに奈良の大仏級の迫力です。
現在は像のあとかたもなく、神殿の基礎部分のみが残っています。もし現存していたら人気観光スポットになっていそうですね。
その5 バビロンの空中庭園
バビロニア帝国の首都、バビロン(現在のイラク)にあったとされる空中庭園。宮殿の中に階段状の中庭を作り土を盛って、遠くから見ると植物が空中に浮いているように見えたといいます。
その6 ハリカルナッソスのマウソロス霊廟
古代ギリシア都市、ハリカルナッソス(現在のトルコ)に建立された大理石の霊廟には、それはそれは美しい彫刻がほどこされていたそう。
その7 アレクサンドリアの灯台
エジプトのアレクサンドリアにそびえていたのは50km遠方の船からもその光を確認できたという巨大灯台。地震のため現存せず、写真は跡地に残骸を利用して建てられたカーイト・ベイの要塞になります。
実はフィロンはアレクサンドリアに住んでいたため、旅先の七不思議に選んだのはこの灯台ではなく、「バビロンの城壁(バビロンの空中庭園を取り囲んでいた大城壁)」でした。しかし後世七不思議として定着する際、すり替えられたそうです。
失われた七不思議の浪漫を追いたい人へ
七不思議をもっと堪能したい人に、こんなものが。世界的ゲーム賞で三冠を獲ったドイツのボードゲーム「世界の七不思議(7 Wonders)」です。世界中の話題を独占したこのゲームで、古代七不思議の世界に浸ってみるのも悪くないのではないでしょうか。
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