>>「伊勢神宮」はなぜ別格の神社なのか?その理由と深き歴史を調べてみた
「神宮の森」はどこにある?
「神宮の森」は、「宮域林(きゅういきりん)」と呼ばれ、伊勢神宮・内宮のほとりを流れる五十鈴川の上流に位置します。約5,500haあり、一般的には「神宮林」と呼ばれています。
また、「神域」と「宮域林」に分けられていて、神域の森林は神宮の尊厳を保つことを目的として自然の保護に努めているのに対して、宮域林は五十鈴川の水源の涵養(かんよう)、宮域の風致増進、そして、将来の遷宮を見据えたの造営用の木材の育成を目的としているのが特徴です。
「宮域林」の由来とは?
宮域林は内宮が鎮座した当時から路山・天照山・神垣山などと呼ばれ、大御神の山として崇められていました。天武天皇の時代に式年遷宮の制度が確立。690年に初めて「式年遷宮」が行われたときに、宮域林は造営用の木材を伐り出す「御杣山(みそまやま)」になりました。
その後、木材の欠乏により御杣山はほかの場所に移ったものの、今でも式年遷宮の最初のお祭りである山口祭・木本祭は宮域林で行われており、もっとも神聖な「心御柱」もここから伐り出しています。
御造営用材の自給自足を目指している
伊勢市の森林の約半分を占める「神宮の森」では、20年に一度行われる式年遷宮で社殿を造り替えるのに必要な木材=御造営用材(ごぞうえいようざい)を自給自足できるように、樹齢約200年のヒノキを育てる「神宮森林経営計画」を実行中です。
大正12年(1923)からスタートしたこの計画により、2013年に行われた62回目の遷宮では、約700年ぶりに宮域林から御造営用材の一部分(間伐材)を供給できたそうです。
年に1度、神宮の森に入れる「大滝祭」
神宮の森には、約20mの落差から水が流れる滝「大滝」があります。その滝に感謝する祭典が「大滝祭」です。伊勢市今在家町高麗広(こうらいびろ)の住人によって毎年「海の日」に行われています。
かつて、農作物が枯れる干ばつが起こった際、同地区の若者たちが大滝にすむという龍神を起こして雨を降らせようと、竹で同滝の滝つぼを突いてこね回したところ、雨が降ったという言い伝えがあります。そのため、毎年7月24日に同祭を行っていましたが、高齢化と若者減少により祝日である「海の日」に行われるようになったとのこと。
一般的に神宮の森への入山は禁止されており、この祭りの参加者だけが入山を許されます。
伊勢神宮の参拝方法
神宮のお祭りは「外宮先祭」といって、まず外宮から行われるため、お祭りの順序にならい、外宮から内宮の順にお参りするのが昔からのならわしです。外宮は左側通行、内宮は右側通行を守りましょう。
また、個人的なお願いごとは、神様に感謝の気持ちを伝えた上で、荒祭宮と多賀宮で行い、正宮では感謝の気持ちを天照大御神に伝えるのが古くからの風習となっています。
江戸時代の人々が「一生に一度は伊勢参り」と憧れた、約2000年の歴史をもつ伊勢神宮……チャンスがあれば何度も参拝に訪れたいものです。その際、広大で神秘的な「神宮の森」にも目を向けてみてくださいね。参拝後におかげ横丁に寄り、グルメやお土産探しを楽しむのもおすすめです。
住所:三重県伊勢市豊川町279
電話:0596-24-1111
参拝時間:5:00〜18:00(1月・2月・3月・4月・9月)、5:00〜19:00(5月・6月・7月・8月)、5:00〜17:00(10月・11月・12月)
アクセス:近鉄・JR「伊勢市駅」から徒歩5分
公式サイト:https://www.isejingu.or.jp/about/geku/
伊勢神宮(内宮)
住所:三重県伊勢市宇治館町1
電話:0596-24-1111
参拝時間:5:00〜18:00(1月・2月・3月・4月・9月)、5:00〜19:00(5月・6月・7月・8月)、5:00〜17:00(10月・11月・12月)
アクセス:近鉄「五十鈴川駅」からバス・タクシーで約6分
※外宮からはバス・タクシーで約10分です。
公式サイト:https://www.isejingu.or.jp/about/naiku/
参考:
永遠の森/伊勢神宮
神秘的な自然に思いはせて~伊勢神宮の森(三重県伊勢市)/産経新聞
年に一度しか行けない伊勢神宮の森の中にある大滝、祭りが存続の危機に/伊勢志摩経済新聞
伊勢神宮の「ギモン」と「ふしぎ」/伊勢神宮
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