巨大なサンゴ礁でできた島
限られた時と場所でのみ見ることができる幻の島。漫画やゲームの中だけでなく、実際ここ日本に存在します。それが沖縄県宮古島の北方に見られる八重干瀬(やびじ)です。普段の潮の満ち引きでは現れず、毎年4月初旬に数日間だけその姿を現すそうです。
この島の正体は、南北約17キロメートル、東西約6.5キロメートルにわたる巨大なサンゴ礁です。普段は海面下にあり、総面積は宮古島の3分の1にもなるといいます。春先に浮上するのは、大潮や周辺の気圧が関係していると考えられます。
八重干瀬観光ツアーもある
八重干瀬という名前の由来は、大きく八つの干瀬(ひし)があるからともいわれますが、諸説あるようです。八重干瀬が現れる旧暦の3月3日頃にはサニツ(浜下り)と呼ばれる行事が伝統的に行われ、近年は八重干瀬まつりと銘打ったイベントも開催されています。それにあわせた八重干瀬観光ツアーもあり、その時期は観光客が多く集まるといいます。
しかし、このツアーも2014年4月2日のツアーをもって最後を迎えました。ツアーは宮古島と伊良部島間の定期船を運航する宮古フェリーとはやて海運の2社によって企画されていましたが、2015年1月にその2島を結ぶ伊良部大橋が開通します。それに伴い定期船は廃止となり、宮古フェリーは解散することになりました。
ダイビングスポットとしても人気
ただ、この八重干瀬はダイビングやシュノーケリングスポットとしても人気があり、夏には八重干瀬でのダイビングツアーもあるようです。そのとき、台風の風や高波によってサンゴ礁が堆積してできる島が、運が良ければ見られるかもしれません。こちらも、日が経てば消えてしまうので「幻の島」といってもよいでしょう。
現地では環境保護のため様々なルールはありますが、それさえ守れば夢のような光景を味わえること間違いなしです。
【出典】
『知れば知るほど面白い!日本地図150の秘密』(日本地理研究会編/彩図社)
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