絵画のような雪景色を望む
「山荘」といいますが、実際は大正ロマンの雰囲気を醸す和風旅館。玄関やフロントは4階だそうで、チェックイン後にフロントの先に案内されると広々としたラウンジがあるのです。そして、そこに広がる白銀の世界。
大きな窓の眼下には渓流が流れ、その対岸にある山々の雪景色が広がります。一幅の静謐な絵画。世界的な画家・東山魁夷の絵画にたとえた人もいるそうで、こんな作品があってもおかしくない気がします。
晴れた日には山向こうに谷川岳も見えるそうですが、この日の雪模様では谷川岳は見えません。でも、これはこれでとびきり美しいのです。
客室からの雪景色も絶品
お風呂は3階。部屋は2階。食堂は1階と奥に広がる渓流・谷川への斜面に建っています。こちらは客室。
浴衣に手ぬぐいなど一式セットも、ひときわ丁寧に準備されています。
客室も渓谷に面していて、あの雪景色がよく見えます。窓の横にはコタツまであるので、ぬくぬく。
日本温泉協会5つ星認定の源泉100%かけ流し
内風呂は樹齢2000年という檜(ヒノキ)の浴槽。「檜の宿」という名前の由来でもあります。数百年のあいだ地中に埋もれ、ヒノキチオールを多く含む健康風呂だといいます。
無味無臭、源泉100%かけ流しのアルカリ性単純泉、まろやかなお湯で飲泉もできます。新鮮ないいお湯は入ってみてよくわかります。日本温泉協会5つ星認定で「源泉湯宿を守る会」の宿でもあります。
雪模様のこんな寒い日は、露天風呂はちょっと寒いかもしれませんが、内風呂でよく温まってから入浴。貸切展望風呂もあるそうで、宿泊客は2,500円で入浴できるそうです。
ちなみに上の写真は、夕食後にもういちど入浴した夜の露天風呂。明かりが灯されて幻想的でした。
絶品の夕食をいただきます
水上山荘は「美食の宿」として大評判だといいます。大正ロマンを感じさせるレストラン「葉月亭」でいただきました。
夕食は美食の宿の由縁となった「季節替わりの四季彩会席」。この日のテーマは「雪深き、冬の谷川を表現した」とのことで、地産地消を進めているとか。メインは上州牛だそうです。
前菜はリンゴのサラダなのですが、奥利根のマスやサラミなどを載せています。
山あいの宿ながらお造りも新鮮。味はもちろんですが、お皿も料理の盛り付けもセンスを感じさせます。そしてコース料理の基本、バリエーションをちゃんと考えているような印象でした。献立表だけでなく、説明書きも付いていました。
このほかにも「かぶらのすり流し」や「ホワイトシチュー」など、和洋の創作料理競演といった感じ。上の写真は「上州牛 雪見のすき焼き」。そのあとの〆は「下仁田葱と赤城鶏の炊き込みご飯」で味わい豊か、しかも量はたっぷりなのです。
デザートは宿特製のプリン。大満足な夕食でした。
地元産にこだわった朝食も個性的
朝食もまずはたっぷりの生野菜。テーブルには説明書きがあり、多彩な食材で地産にこだわっていることを強調しています。
水上産ミカンスムージーに地元産ソーセージ、そして地元の玉子にお米、自家製ねぎ味噌、さつまあげ、こんにゃくなどなど。
玉子かけご飯がとてもおいしくて。玉子が濃厚で一味違います。ごちそうさまでした。
朝食後、大きな窓際の席で降り積もる雪景色を見ながらコーヒーをいただきました。何も考えないまま時間が止まったような、静かなひとときでした。とても贅沢な時間かもしれません。
[All Photos by Masato Abe]