夏日、真夏日、猛暑日とは?
気象庁の予報用語で、「夏日」は最高気温が25℃以上の日、「真夏日」は30℃以上の日、「猛暑日」は35℃以上の日をいいます。また、夕方から翌日の朝までの最低気温が25℃以上になる夜のことを「熱帯夜」といいます。
一方、最高気温が40℃以上の日や、夜間の最低気温が30℃以上の夜の表現については現在定義されていません。一般財団法人日本気象協会が、所属する気象予報士のうち130名に対して2022年に実施したアンケート結果によると、「最高気温が40℃以上の日」には「酷暑日(こくしょび)」が、夜間の「最低気温が30℃以上の夜」には「超熱帯夜(ちょうねったいや)」が選ばれたそうです。
1875年の統計開始からこれまで国内で40℃以上を観測したのは、32地点で計67回。このうち2001年以降の約20年で59回と、9割近くを占めているとか。なお、40℃以上の観測が増加した要因としては、観測精度の向上もそのひとつと考えられているそうです。
最高気温ランキングTOP10
気象庁の最高気温ランキングのランキングは、気象台や気象台と同様の観測装置を使う測候所、気象観測所、特別地域気象観測所と、アメダスでの観測データが元になっています。統計開始(アメダスは1976年、気象台等は地点により異なる)以降の観測データを対象に、観測史上1位の値を使って作成されたランキングからトップ10を紹介します。
第8位 40.8℃
山形県山形市 1933年7月25日
©️山形県
山形県山形市で最高気温40.8℃を記録したのは1933年7月25日。この気温は、2007年に塗り替えられるまで74年間も日本の最高気温の記録だったそうです。この日、日本列島を挟んで太平洋側には高気圧、日本海側に台風があり、高気圧から台風に向かって南風が吹き込み、熱帯の熱気が運び込まれていました。また、強い南西風が、新潟県から飯豊山地を超える時にフェーン現象を引き起こし、乾いた熱風となって山形盆地に吹き降りて、記録的な高温をもたらしたということです。
山形市の夏といえば、東北四代祭りのひとつ「山形花笠まつり」。毎年8月5日・6日・7日の3日間開催されます。花笠音頭に合わせた威勢のいい掛け声と勇壮な花笠太鼓の音色とともに、華やかに彩られた山車や山形の花「紅花」をあしらった笠を手にした踊り手が市内のメインストリートをパレードします。
https://www.hanagasa.jp/
東京都青梅市 2018年7月23日
©️Shutterstock.com
東京都青梅市では、2018年7月23日に40.8℃を観測しました。都内では統計史上初の40℃超えです。
青梅市は、西部には秩父多摩甲斐国立公園があり、多摩川をはじめとする自然の中で楽しめるアクティビティも多彩。古くから霊峰と崇められた信仰の山・御岳山からは、多摩地域を一望できるのはもちろん、新宿の高層ビル群やスカイツリーまで望むことできます。
新潟県胎内市中条 2018年8月23日
新潟県胎内市中条で40.8℃を観測したのは、2018年8月23日。この日、同じ新潟県の三条市三条でも40.4℃、上越市大潟でも40.0℃と、40℃超えを記録していました。新潟といえば雪のイメージですが、意外にも、7月下旬から8月中旬にかけての平均気温は東京都比べて1℃以下の差しかなく、新潟の夏の暑さは東京とあまり変わらないとのことです。
胎内市は、飯豊連峰を源流とする河川・胎内川を中心に形成され、海、山、里が一体となった地域。胎内市胎内平の緑に囲まれた丘陵地では、晴れれば満天の星空を楽しむことができます。2023年8月18日(金)午後~20日(日)昼には、40周年を迎える日本最大級の星の祭典「胎内星まつり2023」が開催されます。
http://www.tainai.jp/
第6位 40.9℃
岐阜県多治見市 2007年8月16日
岐阜県多治見市内では、2007年8月16日、気温40.9℃を記録し、74年ぶりに当時の日本最高気温を更新しました。多治見市では、8月16日を「たじみクールアースデー」と制定。あの日の暑さを忘れず、地球温暖化をはじめとする環境問題について考えるきっかけとする日としているそうです。
2023年8月16日(水)9時30分から、市役所本庁舎玄関前で、多治見市の公式マスコットキャラクター「うながっぱ」と一緒に、雨水等を使って打ち水をするイベントが行われます。
https://unagappa.com/
静岡県浜松市天竜区 2020年8月16日
写真提供:浜松・浜名湖ツーリズムビューロー
2020年8月16日は、静岡県浜松市周辺で40度を超える記録的な暑さとなりました。午後0時半過ぎに浜松市天竜区船明(ふなぎら)では、国内記録歴代5位タイとなる40.9℃まで上がりました。
船明には、天竜川のダムの中で最下流に位置する船明ダムがあります。ダム湖は穏やかな水面で波や流れがほとんどないので、カヌーやボートが楽しめるほか、釣りの名所としても有名です。車で約5分のところには道の駅「花桃の里」もあり、花桃カレーや小麦まんじゅう、花桃まんじゅう(期間限定)、花桃ソフトクリームなどが楽しめます。
https://hanamomo-sato.com/
第3位 41.0℃
高知県四万十市江川崎 2013年8月12日
高知県四万十市江川崎のアメダス江川崎観測所で、2013年8月12日、当時、日本国内における観測史上最高気温となる41.0℃を記録。また翌13日にも40.0℃を観測しました。四万十市北部に位置する江川崎は、内陸部で、北西からの風が吹くとフェーン現象に加え、太平洋からの海風も入りにくいので、高知県内では「高温になりやすい地域」として知られているそうです。
観測所から四万十川の反対側、徒歩約11分のところには道の駅「よって西土佐」があり、地元の新鮮な農産物はもちろん、手づくりの加工品やお弁当が豊富に取りそろえられています。四万十川で獲れた天然鮎の塩焼の実演販売もありますよ。
https://yotte.jp/
岐阜県下呂市金山町 2018年8月6日
©️Shutterstock.com
岐阜市下呂市金山町では2018年8月6日、国内観測史上第2位となる気温41.0℃を記録しました。飛騨南部に位置する金山町は、江戸時代に宿場町として栄えた飛騨の玄関口です。
金山町の観光スポットといえば、縄文時代の県史跡「岩屋岩蔭遺跡」を含む周辺の巨石群「金山巨石群」。古代人が巨石と太陽の光を利用して季節を把握していたと考えられており、ガイド付きツアーも人気。日本の三大名泉のひとつ「下呂温泉」へは車で約25分です。
岐阜県美濃市 2018年8月8日
©️一般社団法人岐阜県観光連盟
岐阜県美濃市の最高気温が国内観測史上22に並ぶ41.0℃を観測したのは、金山町の2日後の2018年8月8日。この時、美濃市の41℃超えはこの年4度目のことでした。美濃地方や飛騨南部では夏季に顕著な高温となることがあり、岐阜県は日本の最高気温上位に3地点もランクインしています。
美濃市といえば、和紙産業のまちとして知られていますが、本美濃紙の手すき技術はユネスコ世界無形文化遺産に登録されている、日本を代表する伝統工芸品。「美濃和紙の里会館」では、美濃和紙の歴史や技術を学べるほか、オリジナル美濃和紙を作る紙すき体験もできます。
第1位 41.1℃
埼玉県熊谷市 2018年7月23日
本日、店頭に大温度計を設置いたしました。
生憎の天気で、歴代設置日最低気温の日に設置となりました。
温度計のコロナに対する注意喚起の文言は、外しましたが、引き続き販売員は、マスク着用にて接客させていただきます。 pic.twitter.com/YxybPXRL10— 八木橋百貨店 (@yagihashi_dept) May 15, 2023
2018年7月23日に国内最高記録の気温41.1℃を観測したのは、埼玉県熊谷市。いまや猛暑の街として有名ですね。市内の八木橋百貨店には、2007年から毎年高さ4mの大温度計が設置されています。熊谷地方気象台発表の午前11時と午後2時の気温を、店員が手動で表示しているそうです。
熊谷市では、毎年7月19日〜23日に、「熊谷うちわ祭」が行われます。昔は商店が赤飯を炊いて疫病除けを祈願し、その赤飯を買い物客に振る舞っていましたが、後に赤飯の代わりに「うちわ」を配り、評判となったため「熊谷うちわ祭」と呼ばれるようになったとのこと。
http://uchiwamatsuri.com/
静岡県浜松市 2020年8月17日
写真提供:浜松・浜名湖ツーリズムビューロー
熊谷市と並び、静岡県浜松市が最高気温41.1℃を観測したのは、2020年8月17日。気象庁のデータでは、浜松(浜松市中区の浜松特別地域気象観測所)で40度を超えたのは前日の8月16日の40.2℃が初めて。それまでは2013年8月11日に記録した39.8℃が最高でした。
浜松で41.1℃が観測されたのは、伊吹山地を吹き下りる気流に伴うフェーン現象と、その気流が名古屋都市圏を通る際に高温化して浜松へ侵入し,浜松のすぐ東側の南風と収束したことが要因と考えられるそうです。
浜松市といえば、現在放送中の大河ドラマ『どうする家康』の舞台となっており、「どうする家康 浜松 大河ドラマ館」が、2023年3月18日(土)〜2024年1月14日(日)の期間限定で、浜松城そばの特設会場にオープンしています。家康と武田信玄の関わりや「三方ヶ原の戦い」などを中心に、大河ドラマの世界観を体感することができる展示が行われています。
トップ10のうち、半数が2018年に観測されており、この年が全国的に暑い夏だったことがわかります。2023年の夏も、猛暑が予想されているので、熱中症対策を忘れずに、暑さを乗り切りたいものですね。
[参考]
気象庁|歴代全国ランキング
日本気象協会 暑さに関する名称について気象予報士130名にアンケート調査を実施 最高気温40℃以上は「酷暑日」、夜間の最低気温30℃以上は「超熱帯夜」に | JWAニュース | 日本気象協会
次の“国内観測史上最高気温”はどこか? – ウェザーニュース
新潟県の気象の特徴 | 新潟地方気象台