主な橋の種類
はじめに、主な橋の種類について簡単に解説します。
左上から順に吊り橋、斜張橋、トラス橋、アーチ橋、プレートガーダー橋
- 吊り橋:塔間にケーブルを張り、補剛桁を吊り下げている橋
- 斜張橋:塔と桁とを斜めに張ったケーブルでつないで桁を支える構造の橋
- トラス橋:トラス構造の橋。トラスとは、直線的な部材で構成される三角形を単位とした構造骨組の一種
- アーチ橋:アーチリブを用いたアーチ構造の橋
- プレートガーダー橋:鋼板や形鋼を組み合わせて板(プレート)状にして、これを断面がⅠ字形になるように組み立てた桁(ガーダー)からなる橋
吊り橋の長さを測った基準は?
一般社団法人 日本橋梁建設協会は、吊り橋の主径間長(しゅけいかんちょう)をもとにランキングを作成・発表しています。径間長とは、橋台と橋脚間、橋脚と橋脚間の橋脚中心線間の距離(橋台の場合はパラペット前面までの距離)のことです。
橋(吊り橋)の長さランキングTOP5
それでは、さっそく吊り橋の長さランキングTOP5を見ていきましょう。
【1位】明石海峡大橋(兵庫県)|1,991m
10年の歳月をかけてつくられ、1998年に完成した「明石海峡大橋」は、橋長3,911m、中央支間長1,991mの世界最大級の吊り橋です。兵庫県神戸市と淡路島の間の明石海峡に架かっています。その佇まいは美しく、「パールブリッジ」の愛称でも親しまれています。この吊り橋は、トルコのチャナッカレ橋(中央支間長:2,023m)に次いで世界2位の長さを誇ります。
夜間は幻想的な景観を織りなすライトアップを実施。時期によってデザインが変わり、この橋を訪れた人を飽きさせません。
また、高さ300mもある明石海峡大橋の塔頂に行けるツアー「明石海峡大橋ブリッジワールドは大人気! 同橋の建設に携わったツアーリーダーが橋の技術や歴史などをわかりやすく解説してくれます。さらに、普段立ち入ることができない管理用通路を通り、海面上約300mの主塔へ。360度の大パノラマを楽しめますよ。
なお、「明石海峡大橋ブリッジワールド」の実施日時は不定期です。予約が必要なので、気になる方は、こちらをチェックしてくださいね。
【2位】南備讃瀬戸大橋(香川県)|1,100m
「南備讃瀬戸大橋」は、備讃瀬戸航路をまたぎ、与島と坂出市番の州へいたる、幅約3.2kmの備讃瀬戸航路上に架かる橋です。全長は1,723m、中央支間長1,100m、主塔の高さ194m、ケーブルの直径107cmで、「北備讃瀬戸大橋」と合わせて2連吊橋を構成しているのが特徴です。1988年に完成しました。
南備讃瀬戸大橋には、南北2つのケーブルを地面の一カ所で固定させるための共用アンカレイジなど、当時の世界最先端技術が駆使されています。
また、南備讃瀬戸大橋は「瀬戸大橋(本州四国連絡橋)」を構成する橋のひとつです。瀬戸大橋は、瀬戸内海をまたぎ、本州と四国を結ぶ長大橋で、3つの吊橋と2つの斜張橋、1つのトラス橋からなります。この6つの長大橋とこれらをつなぐ高架橋の総称を「瀬戸大橋」といいます。
日本の技術力を結集した「瀬戸大橋」では、毎年(春・秋)にスリル満点な「瀬戸大橋スカイツアー」を開催! 海面から高さ175mの塔頂に登ったり、JR瀬戸大橋線の車両を間近で見ることができる管理用通路を歩いたりできますよ。詳しくはこちらをご覧ください。
【3位】来島海峡第三大橋(愛媛県)|1,030m
橋長1,570m、ケーブル径636mm(ラッピング含まず)、塔高184mの「来島海峡第三大橋」は、1999年に完成しました。なお、大島と今治の間約4kmの来島海峡に架かる総延長4.1kmの3つの吊橋「来島海峡第一大橋」「来島海峡第二大橋」「来島海峡第三大橋」の総称を「来島海峡大橋」といいます。「しまなみ海道」の一部でもあります。
両側には小型バイク道と自転車歩行者道が設けられており、橋の上から瀬戸内海の景色を眺めることができます。
昔から鳴門海峡、関門海峡と並ぶ難所として有名な来島海峡は、狭い海域に複雑な地形であることから、潮の流れが速く複雑に変化しているのです。そのため、中渡島をはじめとする島々の自然環境の保全はもちろん、船舶航行の安全性、車両の走行性などを考慮し、共有アンカレイジを2基設けて3つの吊橋を直線的につなぐ世界初の三連吊橋が採用されています。
しまなみ海道のイチオシ絶景スポットは、標高301.1mの「亀老山展望公園」。大島の南端に位置し、瀬戸内海国立公園に指定されています。隈研吾氏が設計したパノラマ展望台ブリッジからは、来島海峡大橋や来島海峡の潮流を見渡すことができますよ。また、定期的に行われる来島海峡大橋のライトアップや、今治市街の夜景も見逃せません。
【4位】来島海峡第二大橋(愛媛県)|1,020m
1999年に完成した「来島海峡第二大橋」は、橋長1,515m、ケーブル径653mm(ラッピング含まず)、塔高184mの吊り橋です。前述の通り、「来島海峡大橋」を構成する吊り橋のひとつであり、「しまなみ海道」の一部でもあります。
来島海峡大橋では、多島海の景観に対する3つの吊橋の連続性と調和がテーマとなっており、塔の形状や高さに工夫が凝らされています。通常、規模が大きく異なる吊橋を設計する場合には、塔高にも大きな差が生じてしまうため、6本の塔頂を結ぶとひとつの滑らかな曲線になるよう、塔高を連続的に変化させているのです。
このようにさまざまな技術・工夫を取り入れ、景観に溶け込むようなデザインの橋がつくられたと知ると、感慨深いものがありますね。
しまなみ海道といえばサイクリングの人気スポット! 今治側のサイクリングターミナル「サンライズ糸山」には、レンタルサイクルがあります。
レンタルした自転車は、サンライズ糸山の隣にある中央レンタサイクルターミナルのほか、今治から尾道まで10カ所の施設で乗り捨てが可能です。無料の駐車場に車を停めて、サイクリングを楽しむのもいいかもしれませんね。そのほか、宿泊したり、レストランで食事したりすることもできます。
【5位】北備讃瀬戸大橋(香川県)|990m
「北備讃瀬戸大橋」は、与島と坂出市番ノ州の間3.2kmを、前述の南備讃瀬戸大橋とともに結ぶ吊り橋です。全長は1,611m、中央支間長990m、ケーブルの直径は101cmで、1988年に完成しました。
この橋の海域は国際航路である瀬戸内海の主要航路で、大型船の往来が最も激しいため、橋台や橋脚が三子島の付近に集められているのが特徴です。また、橋桁の高さは海面から65mもあります。そのため、50万トン級の大型船も悠々と通過できます。
瀬戸大橋は、ロマンチックな夜を演出するライトアップを実施しています。ライトアップのスケジュールはこちらからご確認ください。
また、瀬戸大橋の最高のロケーションといえば「瀬戸大橋記念公園」です。吊り橋や斜長橋をかたどった噴水、芝生広場、こども広場のほか、流政之氏の彫刻作品も点在しています。映画『UDON』のロケ地にもなった、108mの高さから瀬戸内海を見渡せる「瀬戸大橋タワー」もぜひ訪れたいですね。
出典:一般社団法人 日本橋梁建設協会|日本の橋梁(鋼橋)の形式別主径間長ランキング
[参考]
HYO GO!ナビ|兵庫県公式観光サイト
坂出市
うどん県旅ネット|公益社団法人 香川県観光協会
今治市
しまなみ海道
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