【日本のダム大きさランキング】総貯水容量1位は6億6,000万立方メートルの岐阜県「徳山ダム」

Posted by: あやみ

掲載日: Mar 25th, 2024

観光スポットのひとつとして人気が高まりつつある「ダム」。山のほうにあることが多く、四季によって表情を変える周辺の自然と、ダムの深いブルーやグリーンの水とのコントラストが美しいですよね。今回は、日本のダムの大きさ(総貯水容量)ランキングTOP10のほか、見どころもあわせてご紹介。ダム好きな人はもちろん、ダム自体にはそれほど興味がなくても、絶景や自然が好きな人は必見です。

早明浦ダム
早明浦ダム
 


 

ダムの大きさ(総貯水容量)とは?

高知県・早明浦ダム
「総貯水容量」とは、堆砂容量、利水容量、洪水調節容量をすべて合計した容量を指します。似た言葉に「有効貯水容量」がありますが、これはダムの総貯水容量から堆砂容量を除いた容量のことです。

日本のダムの大きさ(総貯水容量)ランキングTOP10

日本のダムの大きさ(総貯水容量)ランキングを1位から10位まで見ていきましょう。なお、各ダムに記載している数字=総貯水容量の単位は、立方メートルです。

【1位】徳山ダム(岐阜県揖斐川町)|6億6,000万


岐阜県揖斐川町の「徳山ダム」は、浜名湖の約2倍に相当する総貯水容量6億6,000万立方メートルを誇る、日本一の巨大ダムです。堤高は161mで日本で3位、堤体積(ダム堤体の体積)は2位になっています。堤頂長は427.1mです。木曽川・長良川・揖斐川をせき止めて建設されました。

このダムは巨大なだけではなく、水没地には、20カ所以上の縄文遺跡があり、発掘調査が行われたのが特徴的です。寺屋敷遺跡からは2万年前の石器時代の遺跡も発見されました。また、周辺にはイヌワシやクマタカが生息しているのが確認されています。

ダムがつくり出した人工湖「徳山湖」は、四季折々の雄大な景色が楽しめる観光スポットです。初夏は新緑を、秋は紅葉を、冬は雪景色を眺めることができます。

徳山ダム

【2位】奥只見ダム(新潟県魚沼市)|6億100万


新潟県魚沼市の「奥只見ダム」は、総貯水容量6億100万立方メートル、完成した当時は「東洋一の人造湖」ともいわれたダムです。長い間、総貯水容量で首位でしたが、2008年に徳山ダムが完成したことにより2位に。とはいえ、ダムの地下には貯水を利用して発電を行う、電源開発奥只見発電所があり、揚水発電を除けば、日本一の水力発電(最大出力56万kW)を誇ります。

またこのダムは、尾瀬への新潟県側の玄関口にあたるため、駒ケ岳、平ケ岳、荒沢岳に囲まれており、美しい自然を堪能できるほか、ダム湖を一周する観光船も運航しています。

さらに、奥只見ダムをつくる際に、資材運搬専用道路としてつくられた全長22kmのうち18kmがトンネルの「奥只見シルバーライン」もユニーク。壁肌がゴツゴツとした薄暗い道路ですが「一度は通ってみたい道路」といわれているそうです。

奥只見ダム

【3位】田子倉ダム(福島県只見町)|4億9,400万

田子倉ダム(福島県只見町)
日本のダムで、徳山ダム、奥只見ダムに次ぐ総貯水容量の「田子倉ダム」は、堤高145m、堤頂長462mです。只見川の本流をせき止めてつくられました。ダム直下にある田子倉発電所は長らく日本一の水力発電所(揚水発電を除く)でしたが、現在は奥只見発電所に次いで2位になっています。

田子倉ダムの展望台には無料の休憩所があり、ゆっくりとダムを眺めて過ごすことができます。また、周辺は「越後三山只見国定公園」になっており、とりわけ夏の新緑、秋の紅葉期(10月中旬~下旬)は多くの観光客でにぎわいます。ダム湖である田子倉湖はイワナやサクラマスが釣れる湖としても有名です。

田子倉ダム

【4位】夕張シューパロダム(北海道夕張市)|4億2,700万

夕張シューパロダム(北海道夕張市)
北海道夕張市の「夕張シューパロダム」は、2014年に完成した堤高110.6mの重力式コンクリートの多目的ダムです。ダムの貯水池にサーチャージ水位まで水が貯まったときの水面の面積である、湛水面積は1,400haと、雨竜土堰堤に次ぎ、ダム湖としては日本で2位です。

また、「シューパロダム」とは、「夕張」のアイヌ語の語源であり、鉱泉の湧き出るところという意味の「ユーパロ」に加えて、「本当の」もしくは「源の」という意味の「シ」をつけ、「シ・ユーパロ」が由来になっています。

ダム周辺はサイクリングが可能です。エゾリスやハヤブサ、オオタカが見られることも。秋の天候の良い日には、紅葉と夕張岳を眺めながら、ダムの堤頂を歩くこともできますよ。

夕張シューパロダム

【5位】御母衣ダム(岐阜県白川村)|3億7,000万

御母衣ダム(岐阜県大野郡)
岐阜県白川村の「御母衣(みぼろ)ダム」は、庄川をせき止めてつくられた、堤高131m、堤頂長405mの大規模ロックフィルダムです。ロックフィルダムは、岩石や土砂を主材料としてつくられているのが特徴です。そのため、このダムは「20世紀のピラミッド」と呼ばれていました。堰堤の一部が展望台になっており、御母衣湖の絶景を拝むことができます。

ダム周辺の見どころは、ダム建設により水没した荘川村の2つのお寺にあった桜(エドヒガン)の老大木です。電源開発の初代総裁であった高碕達之助氏が、この2本の桜を救いたいと思い、桜研究家として知られていた笹部新太郎氏が協力。結果、これまでに例のない巨桜の大移植が実現しました。この2本の桜は「荘川桜」と呼ばれ、樹齢500年たった今も毎春、咲き誇っています。なお、桜があるのは、ダム湖の湖畔にある「荘川桜公園」です。

御母衣ダム

【6位】九頭竜ダム(福井県大野市)|3億5,300万

九頭竜ダム(福井県大野市)
湛水面積890haで、ロックフィルダムとしては日本で3位の大きさである福井県大野市の「九頭竜ダム」は、堤高128m、堤頂長355mです。ダム湖の九頭竜湖は深い緑色をしているほか、紅葉スポットとしても知られています。

また、ダム直下に位置する長野発電所は、直下流の鷲ダムとの間で揚水発電(自流混合揚水式)を行っており、最大出力22万kWの、福井県最大の水力発電所となっています。

九頭竜湖が一望できる、瀬戸大橋のテストケースとして架けられた「夢のかけはし」からの眺めは格別! 豪快な山岳風景と広大なダム湖を一望できます。

九頭竜ダム

【7位】佐久間ダム(静岡県浜松市)|3億4,300万


静岡県浜松市にある堤高155.5m、堤頂長293.5mの「佐久間ダム」は、360億円の巨費と延べ350万人の労働力を費やし、1956年に8月に完成しました。着工から完成までにかかった歳月は、わずか3年4カ月です。

ダムの種類は、戦後土木技術の原点ともいわれている大規模重力式コンクリートダムです。また、初期は「天竜湖」だったダム湖の名前が、いつの間にか「佐久間湖」に。

見どころは、左岸側に建つ佐久間発電所の取水口。デザインが昭和レトロで懐かしさを感じます。また、「佐久間電力館」では、電源開発の取り組みのほか、天竜川水系にあるダムについて学ぶことができますよ。

佐久間ダム

【8位】池原ダム(奈良県下北山村)|3億3,837万

池原ダム(奈良県吉野郡)
奈良県下北山村にある堤高111m、堤頂長460mの「池原ダム」は、アーチダムとしては国内最大級で、黒部ダムに次いで、国内で2番目の長さです。洪水の流入に対し、ダムと貯水池の安全を確保するために設けられた洪水吐(こうずいばき)がないのがポイントで、洪水吐と発電の取水設備はアーチダムとはやや離れた向かい側に位置します。そのため、外観からシンプルな印象を受けるダムです。

同ダムは、日本最多雨地帯である大台ケ原、大峰山脈を水源としているため、水量が豊富。フロリダバスやラージマウスバスのほか、フロリダバスとラージマウスバスの混血バスが生息しているといわれ、釣りスポットとして大人気です。また、池原ダムの上流には、深い山間から七重となって落ちる大迫力の「不動七重の滝」も!

池原ダム

【9位】早明浦ダム(高知県本山町)|3億1,600万

早明浦ダム(高知県長岡郡)
高知県本山町の「早明浦(さめうら)ダム」は、堤高106m、堤頂長400mの直線重力式コンクリートダムです。一級河川である吉野川の本流をせき止めてつくられました。同ダムは高知県に位置していますが、四国四県の水源になっていることから「四国の水瓶」ともいわれています。

ダムの堰堤から本四架橋のモデルとして建設された長さ321mの吊り橋「上吉野川橋」まで一周する湖畔道路は、春には2,000本の桜回廊、初夏にはあじさい、秋は紅葉が湖畔に映る風光明媚なスポットです。さらに、ダム湖は上流20kmにわたり、約7.5キロ平方メートルの広大な水面を持ち、バナナボートやジェットスキーを楽しめるほか、ブラックバスやヘラブナ釣りのメッカとして人気。全国規模の大会も開催されています。

早明浦ダム

【10位】一ツ瀬ダム(宮崎県西都市)|2億6,131万


「九州最大の水がめ」といわれている宮崎県西都市の「一ツ瀬ダム」は、堤高130m、堤頂長415.6mのアーチダムです。下流約3kmにある一ツ瀬発電所は出力18万kWで、一般水力発電としては九州最大の出力を誇ります。

このダムの最大の特徴はデザイン。下流から見ると、左岸、右岸、中央の3カ所にクレストゲートを配し、このうち左岸・右岸はスキージャンプ式の洪水吐で、バランスのとれた美しさです。日本ダム協会が選定した「日本100ダム」にも選ばれています。

一ツ瀬川沿いの国道219号線には「一ツ瀬ダム展望所」があり、ダムのアーチや対岸の建物を見渡すことができますよ。また、ダムの周囲は古くから山紫水明の地として有名な「杉安峡」で、夏はあじさい、秋は紅葉を楽しみながらハイキングや自然散策ができます。

一ツ瀬ダム

出典:一般財団法人|ダム便覧2022 順位表[全て] 総貯水容量順

[参考]
奥只見観光|奥只見観光株式会社
夕張市
飛騨高山旅ガイド|飛騨・高山観光コンベンション協会
ふくいドットコム|福井県公式観光サイト
Hello Navi Shizuoka|公益社団法人 静岡県観光協会
キラッと奥三河観光ナビ|一般社団法人 奥三河観光協議会
なら旅ネット|奈良県観光公式サイト
土佐町
みやざき観光ナビ|宮崎県公式観光サイト

[Photos by Shutterstock.com]

PROFILE

あやみ

Ayami ライター

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

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