死者の日とは “生と死”を祝うメキシコの伝統

世界一カラフルとも言われるグアナファトの街
「死者の日」は、先祖や亡くなった家族を迎え、語らい、感謝を伝えるメキシコの伝統行事。カトリックの「諸聖人の日」と先住民の死者信仰が融合して生まれたといいます。グアナファトでは街のいたるところに“オフレンダ(祭壇)”が並び、そこを飾るのは、写真や故人の好きだった食べ物、キャンドル、花々など。色鮮やかなマリーゴールドの花びらが道に溢れ、家々や広場ではキャンドルが灯り、音楽と笑顔があふれます。
夜になると、墓地や広場にはキャンドルの灯りがゆらめき、音楽隊や仮装した人々が練り歩くパレードが始まります。まるで映画の世界さながら! 観光客もフェイスペイントを体験できるスタンドがあり、骸骨メイクを施して一緒に参加することもできるんだそう。大人も子どもも笑顔で踊る姿に、命の循環を祝うメキシコの心を感じます。
グアナファトの街歩きと絶景ポイント
カラフルな壁や花々で彩られた路地裏、アートが描かれた通りなど、どこを切り取ってもフォトジェニックなグアナファト。カメラ片手に、自分だけの“色の旅”を撮り歩きましょう。カラフルな街を丘から見下ろしたら、今度は下から楽しむためにぜひ街歩きを。筆者おすすめのフォトジェニックスポットを紹介します。
ピピラの丘
グアナファトは、丘陵地にカラフルな家々がぎっしりと並ぶ世界遺産の街。特に「ピピラの丘」から眺める風景は必見! 丘の上に立つ英雄ピピラ像の展望台からは、街全体を一望できます。
ここは写真愛好家の間では「最も美しいメキシコの街並み」として知られ、日の入り前後の時間帯が特におすすめです。赤・黄・青・ピンクの建物が折り重なるように広がり、夕暮れ時にはオレンジとピンクに染まる街並みがロマンチック。ここから街を夕焼けから夜景まで眺める体験はマスト! 必ず一泊する旅程にしましょう。
また、ここへはケーブルカーでのアクセスがおすすめ。往復で買うとチケット代が安くなります。

夕焼けになるとまた美しい
所在地 Cerro de San Miguel S/N, Zona Centro, 36000 Guanajuato, Gto., メキシコ
所在地 De La Constancia 17, Zona Centro, 36000 Guanajuato, Gto., メキシコ
営業時間
月曜〜土曜日 8:00~21:50
日曜日 10:00~20:50
https://funicular.mx
キスの小道
街全体が絵になるグアナファトの中でも、「キスの小道(Callejón del Beso)」は恋人たちの聖地として人気。細い路地の向かい合うバルコニーでキスを交わせば永遠の愛が叶うという伝説も。観光客に大人気の撮影スポットとなっています。早めの時間に訪れると混雑せずにゆっくり写真を楽しめます。
所在地 Belén 22, Zona Centro, 36000 Guanajuato, Gto., メキシコ
クラシックな建物で必見 グアナファト大学の階段&フアレス劇場
グアナファト観光で外せないのが、グアナファト大学周辺とフアレス劇場前のエリアです。街の中心にそびえるグアナファト大学は、まるで映画のワンシーンのように美しい長い石段が特徴。荘厳な白い建物と階段を背景にすれば、誰でも映画の主人公になったような一枚が撮れます。フォトジェニックなスポットとして、観光客にも地元の人にも大人気です。
一方、すぐ近くのフアレス劇場(Teatro Juárez)周辺は、昼と夜でまったく違う表情を見せます。昼間はクラシカルな建築とカフェテラスが並び、穏やかな時間が流れますが、夜になるとライトアップされ、黄金色の光に包まれた幻想的な雰囲気に。
そしてこの場所をより特別にしているのが、街角で響くマリアッチの演奏。映画『リメンバー・ミー』の世界そのままに、陽気なギターとトランペットの音色が広場を満たします。劇場前の通りには、壁面アートや花で飾られたカラフルな路地も多く、どこを切り取ってもSNS映え間違いなし。夜風に吹かれながら、マリアッチに誘われて音楽を楽しむひととき。それこそが、グアナファトらしい至福の時間です。

劇場前のマリアッチ
所在地 C. Pedro Lascurain de Retana #5, Zona Centro, 36000 Guanajuato, Gto., メキシコ
https://www.ugto.mx
所在地 De Sopena 10, Centro, 36000 Guanajuato, Gto., メキシコ
橋の上でお茶できる人気カフェ Santo Café
フォトスポットとして有名なのがこのアーチ。なんと橋の上がテラス席となっており、「綺麗な街を見ながらコーヒーを飲める!」と人気のカフェ・サント・カフェ(Santo Café)です。小さな橋の上に建つテラス席からは、石畳の道とカラフルな家並みを見下ろせ、フォトジェニックな風景が広がります。昼下がりの柔らかな光に包まれながらコーヒーを味わえば、グアナファトの日常に溶け込むような気分に。
写真好きなら外席がおすすめで、アーチ越しに街を望む構図は絶好の撮影ポイントです。橋の上の席は人気が高く、待ち時間が長くなることも。朝の早い時間帯や、時間帯を選んで訪れるのが安心です。
所在地 Campanero, Del Campanero 4, Zona Centro, 36000 Guanajuato, Gto., メキシコ
営業時間
日曜〜木曜 9:00~22:00
金曜、土曜 9:00~23:00
定休日 火曜日
https://www.santocafegto.com
Plaza de San Roque周辺のパステル住宅街
こちらは、なんの変哲もない住宅街ですが、パステルカラーの民家が可愛すぎるのでご紹介です。グアナファトの街巡りで筆者が一番キュンとした場所です。民家なのでご迷惑をかけないように撮影しましょう。

ブーゲンビリアも美しい
所在地 Del Truco 9-11, Zona Centro, 36000 Guanajuato, Gto., メキシコ
隠れフォトスポット Cda. de Mexiamoraにある狭いカラフルな小道
狭い小道にカラフルな壁が連なるところもグアナファトの魅力。そんな道を探し当てるのは至難の業ですが、この広場を起点に散策すると可愛い壁がたくさんあります!
ほとんどが民家なのでお住まいの方に迷惑にならないように写真を撮るのが前提ですが、地図を見ずにただ勘で歩き回るだけでも楽しくなってしまう場所です。朝の人が少ない時間に撮影すると迷惑にならず、撮影しやすいのでおすすめです。
所在地 メキシコ 〒36000 グアナフアト ソナ・セントロ
グアナファトの治安について
気になる治安ですが、グアナファトはメキシコシティなど比べると安全と言われています。実際に訪れて、グアナファト中心地(フアレス劇場前)は夜遅くでも人通りが多く、不安に思うことはありませんでした。
一方で宿泊はできるだけ繁華街の近くにしておくとディナーやお酒を楽しんだ後でも安心して帰ることができます。実は、グアナファトは石畳の細い路地が多く、タクシーが入れないエリアも少なくありません。そのため、「夜はタクシーで帰れば安心」という一般的な方法が使えないことも。宿泊先の場所は、夜間のアクセスも考えて選ぶと安心です。
日中の大通りや市場周辺など人が密集しているところは念の為、スリに気にかけるようにしましょう。
カラフルで可愛い!グアナファトのお土産選び
死者の日が一大イベントだからこそ、年中死者の日を模った雑貨が販売されています。グアナファトは芸術と工芸の街としても知られ、手作りの雑貨やアクセサリーが充実しています。特に手描きの陶器、骸骨モチーフの民芸品やアレブリヘス(空想上の生き物をかたどったメキシコの民芸品)などは、思い出を持ち帰るお土産にぴったりです。
市場「メルカド・イダルゴ」では、手頃な価格でTシャツやバッグ、スパイス、チョコレートなども手に入ります。見ているだけで心が弾む色の世界を、ぜひお土産として持ち帰ってみては?
所在地 Av. Benito Juárez Mercado, Hidalgo, 36000 Guanajuato, Gto., メキシコ
営業時間 8:00~20:00
グアナファトで味わうカフェとグルメの魅力
グアナファトはカフェ文化が盛んな街。街歩きの途中で立ち寄りたいおいしいカフェと、すぐ近くの絶品ベーカリーをご紹介します
Café Conquistador(カフェ・コンキスタドール)

58メキシコ・ペソ(約480円)
グアナファトで人気のコーヒースポット「Café Conquistador」は、街歩きの途中にぴったりの小さなカフェ。自家焙煎の豆で淹れるコルタード(58メキシコ・ペソ)は、濃厚なエスプレッソとまろやかなミルクが重なり、疲れた体を優しく癒やしてくれます。店内には香ばしいアロマが漂い、静かに過ごす午後のひとときはまるで時間が止まったかのよう。
コーヒー豆の種類も豊富で、お土産として買って帰るのもおすすめです。基本はテイクアウト中心ですが、近くには系列のカフェもあり、ゆっくり座って味わうこともできます。
住所:Positos 35, Zona Centro, 36000 Guanajuato, Gto., メキシコ
営業時間:8:00〜23:00
Casa del Rector Hotel Boutique(カサ・デル・レクトル・ホテル・ブティック)

クロワッサン 50メキシコ・ペソ(約420円)
さらに贅沢な朝を迎えたいなら、「Casa del Rector Hotel Boutique」のカフェへ。焼きたてのクロワッサンや香ばしいパンが評判で、宿泊者でなくても気軽に利用できます。すぐ隣には先ほど紹介したCafé Conquistadorがあり、テイクアウトしたパンをコーヒーと一緒に味わえば、グアナファトの街並みを眺めながら過ごす至福の朝に。
屋上テラスにはバーも併設され、夜にはライトアップされた街を一望できます。朝は香り高いパンとコーヒー、夜は星空とカクテル。このホテルは、一日を通してグアナファトの魅力を味わえる特別な場所です。
所在地 Positos 33, Zona Centro, 36000 Guanajuato, Gto., メキシコ
https://www.casadelrector.com
Casa Valadez · Anfitrión & Gourmet(カサ・バラデス)

ステーキタコス 350メキシコ・ペソ(約2,900円)
絶品タコスを味わいたいなら、フアレス劇場前にある老舗レストラン「Casa Valadez · Anfitrión & Gourmet」がおすすめ。劇場前の広場ではマリアッチの音楽が響き、いつも活気に満ちた雰囲気です。
看板メニューのタコスは地元でも評判で、香ばしいトルティーヤと柔らかい肉の旨みが絶妙です。筆者のおすすめはステーキを使ったタコス! 香ばしいトルティーヤに柔らかいステーキがたっぷり。肉の旨みとスパイスの香りが絶妙に重なります。
少し贅沢な価格ですが、日本では味わえない本場の味です。また、「死者の日」限定で特製ソースを添えたメニューも登場するそう。ランチタイムはもちろん、ライトアップされた劇場を眺めながらのディナーにもぴったりの一軒です。

エビたっぷりのタコスも絶品
所在地 Jdn. de la Unión 3, Zona Centro, 36000 Guanajuato, Gto., メキシコ
営業時間 9:00~23:00
https://www.casavaladez.com
メキシコシティからの行き方
グアナファトへは首都・メキシコシティからバスでのアクセスが一番手軽で便利です。長距離バスが中米では発達しており、特にこの路線はリクライニングシートやモニター付きで、スペイン語のみですが映画も楽しめるなど、飛行機のエコノミー席より快適。所要時間は、最速便で 約4時間30分〜5時間前後です。
毎日複数便運行されており、選びやすいのも嬉しいポイント。席の予約を事前にすることで安心です。また交通渋滞や悪天候により、所要時間が延びる可能性があります。特に帰国日の場合などは余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
- おすすめバス会社
- Primera Plus
- ETN Autobuses
この路線を定期的に運行しており、所要時間・便数とも安定しています。
https://www.primeraplus.com.mx
やや価格が高めですが、その分安心して利用できます。
https://etn.com.mx
まるで映画『リメンバー・ミー』の世界に迷い込んだかのような、色と音楽に満ちた街、グアナファト。「死者の日」には、その幻想的な世界が現実となり、光と祈りが街全体を包み込みます。たとえその季節に訪れなくても、カラフルな街並みと人々の温かさが、いつでもあなたを迎えてくれるでしょう。ここは、訪れるたびに“生きる喜び”を思い出させてくれる場所です。
©︎Keiko Morota
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