阿蘇山麓を走る赤い列車
熊本県が発祥!観光におすすめのスポットも
ふりかけ
ふりかけ ※画像はイメージです。
ふりかけは大正初期に、薬剤師の吉丸末吉氏によって考案されました。当時の日本は食料事情が厳しく、慢性的なカルシウム不足に陥っていました。そこで吉丸氏は、「魚を骨ごと細かくし、おいしく味付けしてご飯にかける」という発想から、栄養補給を目的としたふりかけ「御飯の友」を生み出します。
いりこを骨ごと細かくした「御飯の友」は、誕生当初は近所で配る程度でしたが、魚嫌いな子どもでもおいしく栄養補給できることから評判が広がり、次第に注目を集める存在に。
1934年には、吉丸氏の思いとともに事業が二葉商事(現・株式会社フタバ)へ引き継がれ、以来、食卓の名脇役として熊本県民に親しまれ続けています。
残念ながら、株式会社フタバの工場見学は2025年12月現在、休止しています。しかし、You tube『工場見学 / Factory tour』で気軽に工場見学できますよ。
からし蓮根
からし蓮根
細川藩と縁の深い郷土料理として知られる「からし蓮根」。その起源は、細川忠利が肥後に入国した1632年までさかのぼります。
当時、病弱だった忠利公の健康を案じた羅漢寺の玄宅和尚は、「何か滋養のあるものを」と思案します。そこで目を向けたのが、当時の熊本に多く見られた沼地に自生する蓮でした。和漢の書によれば、れんこんには増血などの効能があるとされていたのです。
熊本城の外堀には、かつて加藤清正が非常食として蓮を植えていました。玄宅和尚はそのれんこんを忠利公に勧めましたが、「泥の中で育った不浄なもの」として口にしようとしませんでした。そこで考案されたのが、味噌と和からしを混ぜたものをれんこんの穴に詰め、衣をつけて油で揚げる調理法です。
この料理を気に入った忠利公は常食するようになり、次第に食欲も増して健康を取り戻したと伝えられています。また、輪切りにしたれんこんの断面が、細川家の家紋である「九曜(くよう)」に似ていることから、製法は藩の秘伝とされ、明治維新まで門外不出の味として守られてきました。
本場の味を求めるなら、「森からし蓮根 本店」がおすすめ。江戸時代から続く製法を今に伝える老舗で、厳選された素材と丁寧な手仕事によって生まれるからし蓮根は、一度食べると忘れられない味わいです。
米焼酎「球磨焼酎」
米焼酎 ※画像はイメージです。
人吉・球磨地方で造られる米焼酎「球磨焼酎」は、約500年の歴史を誇る日本屈指の本格焼酎です。盆地特有の寒暖差がある気候と清らかな水、そして肥沃な大地が熊本有数の米どころを育み、その良質な米を原料に、奥深い味わいの球磨焼酎が生まれてきました。
球磨焼酎の誕生には、当時この地を治めていた藩主・相良氏の存在が深く関わっているとされています。相良氏は東南アジアや大陸との交易を盛んに行っており、その過程で蒸留技術がもたらされたのではないかと考えられています。
現在、人吉・球磨地方には27の蔵元が点在し、それぞれが伝統の製法を守りながら、多彩な個性を持つ球磨焼酎を造り続けています。
こうした長い歴史と土地に根ざした酒造りが評価され、球磨焼酎は日本遺産の構成文化財のひとつに選定され、日本に4つしかない産地呼称が認められた本格焼酎ブランドとして、高い評価を受けています。
球磨焼酎の魅力を体感したいなら、「大和一酒造元」の「焼酎蔵ガイドツアー」へ。球磨焼酎の歴史や知識を学びながら蔵を見学し、飲み比べも楽しめる内容で、1名から参加可能(事前予約制)です。
クルマエビ養殖
クルマエビ
クルマエビ養殖は、いまより100年以上前、上天草市大矢野町・維和島で、天然のクルマエビを畜養する試みから始まったとされています。
その後、藤永元作博士らによって生態や繁殖の研究が進み、配合飼料の開発も発展。その展開をもとにのちに山口県秋穂町(現・山口市)で養殖事業が立ち上げられ、クルマエビ養殖は事業として確立していきました。
熊本でクルマエビを味わいたいのなら、天草近海で自社養殖された新鮮なクルマエビを1年中味わえる「海老の宮川 亀川店」を訪れてみてはいかがでしょうか。海老会席をはじめ、海老おどり定食や海老塩焼き定食、海老かき揚げ定食など多彩なメニューが揃っています。
スクランブル交差点
渋谷のスクランブル交差点
日本初のスクランブル交差点は、有名な渋谷駅前交差点ではありません。実は1968年に熊本市中央区の子飼交差点で導入されたとされています。当時の子飼交差点はT字路で、熊本市電の電停が近接しており、歩行者の安全確保が大きな課題でした。
そこで、車両と歩行者の動きを完全に分離する歩車分離式信号の先駆的な取り組みとして、この方式を採用。その結果、交通の円滑化と事故防止につながったとされています。
熊本市中央区の子飼スクランブル交差点には、「スクランブル交差点発祥の地」の記念碑が建っています。
熊本県熊本市中央区東子飼町
漫画『ONE PIECE』
ONE PIECE × 南阿蘇鉄道 サニー号トレイン
漫画『ONE PIECE』の作者である尾田栄一郎氏は熊本市出身です。2016年の熊本地震発生後、尾田氏は公式サイトを通じて応援メッセージと描き下ろしイラストを発表し、故郷への強い思いを示しました。
その後、熊本県と連携した「ONE PIECE 熊本復興プロジェクト」が始動し、熊本市をはじめ県内各地に麦わらの一味の銅像が設置されるなど、復興と地域活性化を後押ししています。
物語の舞台そのものではないものの、作者の原点であり、作品と現実が重なり合う場所として、熊本市はONE PIECEファンにとって特別な聖地として親しまれています。
ONE PIECEファンなら、まず訪れたいのが熊本市役所前にあるモンキー・D・ルフィ像像です。熊本地震からの復興を後押しする存在として設置され、今や熊本の象徴的スポットとなっています。
熊本は暮らしと文化を形づくる始まりの集積地
熊本県には、ふりかけ「御飯の友」や郷土料理のからし蓮根、米焼酎・球磨焼酎、日本初とされるスクランブル交差点、クルマエビ養殖の歩みなど、食や技術、暮らしに根ざした多彩な発祥が点在しています。さらに、漫画『ONE PIECE』の作者・尾田栄一郎氏の故郷として、復興とともに新たな文化も育まれてきました。歴史と人の営みが折り重なる熊本ならではの始まりの物語に触れる旅をぜひ楽しんでください!
[All photos by PIXTA]


